2020 年 47 巻 6 号 p. 523-530
【目的】急性期虚血性脳梗塞患者において初回の背臥位から端座位への姿勢変換による血圧変動とその後の神経症状増悪との関連を検討することを目的とした。【方法】発症24 時間以内に入院した虚血性脳梗塞患者165 名を対象に初回離床時に端座位を10 分間以上行い,背臥位と比較して端座位3 分後または10 分後の血圧変動の有無を評価した。対象者を入院7 日以内にNIHSS 値で2 点以上増加を認めた神経症状増悪群と非増悪群の2 群に分け, 調査項目や生化学的項目,血圧関連指標と神経症状増悪との関連を多重ロジスティック回帰分析を用いて検討した。【結果】増悪群は25 名(15.2%)であった。神経症状増悪の独立した関連因子として,穿通枝領域の脳梗塞,HDL コレステロール値,端座位時の血圧低下が抽出された。【結論】急性期虚血性脳梗塞患者において発症後早期の初回端座位時の血圧低下は入院7 日以内の神経症状増悪と関連することが示唆された。