理学療法学
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研究論文(原著)
論証モデルに基づいた理学療法士の症例報告会における議論の分析
—臨床推論評価尺度の開発に向けて—
吉澤 悠喜 川上 ちひろ芳野 純木村 大輔西城 卓也
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電子付録

2025 年 52 巻 1 号 p. 28-36

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抄録

【目的】理学療法士が獲得すべきコンピテンシーとして臨床推論能力が上位に挙げられるが,その能力を評価することは難しい。本研究の目的は,臨床推論における課題を理解し解決策を提案するために,評価項目を抽出することである。【方法】症例報告会で交わされる会話を録音し,逐語録を作成した。分析は内容分析法を用い,6ステップ,Toulmin’s model of Argumentに基づき分析した。【結果】7つのカテゴリー,45のサブカテゴリーが形成された。6ステップに示されている項目は全て抽出された。6ステップに含まれない項目として環境設定,推論の確からしさや確率,反証における除外条件に関する項目が新たに抽出され,Toulmin’s model of Argumentに基づき分類できた。【結論】症例報告会でのやり取りは臨床推論の正当性を論証する項目で構成されることが明らかになった。今後,これらの知見を基に臨床推論評価尺度を開発する予定である。

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© 2025 日本理学療法学会連合
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