2026 年 53 巻 4 号 p. 286-292
【目的】本報告の目的は,パーキンソン病(Parkinson’s disease:以下,PD)当事者・家族,理学療法士,学生が協働する震災対策交流会の企画・実施を通じて得られた,当事者の経験に根ざした防災課題を整理すること,および参加動機と交流会後の意識変化の特徴を把握することである。【方法】PD当事者・家族,理学療法士,学生の計51名が参加した。講話の後,3テーマについてグループワークを実施し,得られた意見をKJ法による質的分析とKH Coderによるテキストマイニングで整理した。また,質問紙調査により,参加者の立場ごとの参加動機と交流会後の意識変化を比較した。【結果】グループワークからPD特有の防災課題として服薬管理の確保,症状の不可視性に伴う周囲の無理解,ストレスによる症状悪化への対応などが抽出された。質問紙調査では参加動機の質に立場による差異が認められ,交流会後には全群共通して防災意識の向上が自己報告された。【結論】多主体協働型の交流会は,当事者の経験知に基づく防災課題を抽出し,参加者の共通認識の形成に寄与する可能性が示唆された。