2026 年 53 巻 4 号 p. 280-285
【目的】全身麻酔下で胃瘻造設術を予定した呼吸機能低下の著しいDuchenne型筋ジストロフィー(Duchenne Muscular Dystrophy:以下,DMD)児に対し,術前から水吹きを用いた呼気筋トレーニングを含む呼吸理学療法を実施し,呼吸・咳嗽機能の改善を認めたため報告する。【方法】症例は16歳男児。最大呼吸気圧,最大強制吸気量,咳嗽力はいずれも低値であった。術前約70日間,エアスタッキングを伴う吸気筋トレーニング,機械的排痰補助による肺リクルートメント,水吹き呼気筋トレーニングを継続した。【結果】介入後,呼吸・咳嗽機能は改善し,術後呼吸器合併症を認めず自宅退院した。【結論】DMD児の周術期において,肺リクルートメントと呼吸筋トレーニングを組み合わせた包括的介入は,呼吸・咳嗽機能改善に寄与する可能性がある。特に水吹き呼気筋トレーニングは,負荷量を調整しやすく,簡便かつ在宅でも安全に継続しやすい実用的な介入として有用である可能性が示された。