抄録
【目的】変形性股関節症患者の骨盤傾斜角と股関節形態を定量的に評価し,腹部引き込み運動時の腹横筋厚変化率との関連性について明らかにすること。【方法】変形性股関節症群と健常者群を対象に超音波診断装置で安静時腹横筋厚と腹部引き込み運動時の腹横筋厚から腹横筋厚変化率を算出し比較した。また,変形性股関節症群では腹横筋厚変化率を従属変数とし,骨盤傾斜角,骨頭外方化指数,骨頭上方化指数,大腿骨頭被覆率に対して有意な相関が認められた項目を独立変数とした重回帰分析を実施し,腹横筋厚変化率への影響因子について検討した。【結果】変形性股関節症群は健常者群よりも腹横筋厚変化率は低値を示した。重回帰分析では,腹横筋厚変化率と関連がある項目は骨盤傾斜角(標準化偏回帰係数0.533)と大腿骨頭被覆率(標準化偏回帰係数0.599)であった。【結論】変形性股関節症患者の腹横筋厚変化率は,骨盤前傾角と股関節形態が関連している可能性が示唆された。