抄録
【目的】本研究では,薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合失調症者への環境調整を併用した運動療法を行い,その効果の持続性を検討した。【対象】精神科病院閉鎖病棟入院中の薬原性錐体外路症状を合併した慢性統合失調症者24名とした。【方法】介入期として動作確認表の作成とビデオカメラの使用による環境調整を併用した運動療法を4週間(40分/回,週2回,計8回)実施し,その後12週間の効果判定期を設けた。【結果】運動療法終了時には,陰性症状および身体機能に有意な改善を認めたが,運動療法終了後8週までにはそれぞれ運動療法前の値まで低下した。【結論】本研究から,環境調整を併用した運動療法が,薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合失調症者の陰性症状および身体機能において,運動療法介入効果および8週で基準値の数値に戻ることが示唆された。