論文ID: 11576
【目的】人工膝関節全置換術(以下,TKA)前後の歩行中の両下肢間協調性の変化と影響を与える要因について,Phase coordination index(以下,PCI)を用いて検討した。【方法】対象はTKA 患者55 名とし,各対象者の術前と退院前日のPCI を比較した。また,各時期でPCI と基本属性,術側膝関節痛,両膝関節伸展筋力,両膝関節可動域の関係について,相関係数および重回帰分析を用いて検討した。【結果】TKA 患者のPCI は術前6.43 ± 3.20% で,退院前日(術後約17 日)7.01 ± 3.14% と同程度であった。また,術前はPCI と非術側膝関節伸展筋力,疼痛と有意な相関が認められ,非術側筋力がもっとも影響の強い項目として抽出された。一方,術後はPCI と年齢とにのみ有意な相関が認められた。【結論】TKA 術前後の歩行中の両下肢間協調性は同程度であるが,各時期で関連する要因が異なることが明らかとなった。