論文ID: 11712
【目的】膝関節固定術後という稀有な症例を経験し,理学療法を展開する中で縦断的な歩行解析の結果,その特徴と新しい運動パターンの習熟の過程を示すことができたので報告する。【症例紹介】多発骨折後,2 度の手術を経て膝関節固定術に至った50 代男性であった。【治療プログラムと経過】回復期病院入院中は非荷重から開始し,荷重量増加に合わせ身体機能向上を図った。退院時には身体機能や動作能力は一定水準に向上したが,1 歩行周期ごとのバラつきが多いなどの特徴を認めた。なかでも術側立脚期を構成する股関節前額面上の動きに注目し,外来クリニックにて運動パターン習得を目的に治療を継続した。結果,改善は認めたが,術側股関節最大伸展角度出現遅延,術側足関節最大底屈角度減少,床反力2nd ピーク値減少といった特徴は残存した。【結語】膝関節固定術後症例は,同年代と遜色ない動作能力の獲得は可能となったが,術側膝関節以外の角度変化や床反力に特徴を示した。