論文ID: 11722
【目的】地域在住高齢者の有する腰痛と膝痛が,急性もしくは慢性疼痛であるかの違いによって身体機能に及ぼす影響を明らかにする。【方法】地域コホート研究(垂水研究2018)に参加した65 歳以上の高齢者735 名を対象とした。質問紙により急性・慢性疼痛の有無を聴取し,歩行速度および握力との関連を分析した。【結果】ロジスティック回帰分析の結果,慢性疼痛の有無は歩行速度低下と有意に関連していたが(調整後オッズ比2.55,p = 0.001),急性疼痛との関連はなかった(調整後オッズ比1.19,p = 0.632)(年齢,性別,GDS-15,内服薬数,ASMI,握力を共変量)。急性・慢性疼痛の有無と握力低下との関連はなかった(急性疼痛有無:調整後オッズ比1.22,p = 0.477.慢性疼痛有無:調整後オッズ比0.85,p = 0.530)。【結論】地域在住高齢者において,慢性疼痛を有することと歩行速度低下との関連が示唆された。