論文ID: 11761
【目的】肺炎で入院後の高齢者は,ADL 能力が低下する。本研究は,肺炎高齢者の入院後48 時間以内の離床が,ADL 能力,退院先,在院日数に及ぼす影響を検討した。【方法】対象は2016 年4 月~2017 年3 月に肺炎の病名で入院した65 歳以上の連続症例とした。傾向スコアマッチング分析を用いて,早期離床したか否かでADL 能力・退院先・在院日数を比較した。【結果】適格基準を満たした376 名のうち,各群でマッチングした患者は55 名であった。早期離床群は,有意に入院前のADL 能力を維持して(64% vs 26%, p< 0.001),もとの居住地に退院していた(53% vs 37%, p< 0.001)が,在院日数には有意な差がなかった(中央値15 日vs 18 日,p=0.099)。【結論】48 時間以内の離床はADL 能力や退院先などの臨床転帰に影響を与える可能性がある。本研究の知見を確認するためには,さらなる前向き研究が必要である。