理学療法学
Online ISSN : 2189-602X
Print ISSN : 0289-3770
ISSN-L : 0289-3770

この記事には本公開記事があります。本公開記事を参照してください。
引用する場合も本公開記事を引用してください。

慢性炎症性脱髄性多発神経炎の多巣性後天性脱髄性感覚運動型症例に対する運動療法の効果
─シングルケースによる検討─
長岡 孝則富樫 拓也栗田 宜享殿塚 実里
著者情報
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: 11800

この記事には本公開記事があります。
詳細
抄録

【目的】多巣性後天性脱髄性感覚運動型慢性炎症性脱髄性多発神経炎(以下,MADSAM)により感覚性運動失調を呈した症例に対する,バランスおよび歩行機能改善に向けた理学療法経過を報告する。【対象と方法】症例は40 歳台の女性である。入院時は自立歩行が困難であったが,下肢の運動神経脱髄所見は軽度であり,筋活動に伴う固有受容感覚を重視した体性感覚フィードバックが有効と考え,動作課題を中心とした運動療法を立案した。下肢の活動誘発性脱力に留意し,CR–10 を用いて負荷量の設定を行った。【結果】およそ3 ヵ月後,感覚障害に変化はなかったが,立位バランスと歩行機能の改善を認め,自宅へ退院となった。【結論】感覚性運動失調を呈するMADSAM 患者への理学療法では,姿勢制御にかかわる複数の感覚モダリティに着目した運動療法と,CR–10 に基づいた負荷量や頻度の調整が有効であると考えられた。

著者関連情報
© 2020 日本理学療法士学会
feedback
Top