論文ID: 12210
【目的】近年,感覚運動経験を重視する発達理論に基づいたアプローチへの変化が求められているが,本邦では定義がまだ明確ではない。今回,ダウン症候群を併存した脳性麻痺痙直型両側性麻痺GMFCSレベルIVの男児に対して選択的脊髄後根切断術(以下,SDR)後に感覚運動経験アプローチを行ったことで,両親の目標設定項目と粗大運動能力の改善を認めたため報告する。【症例と経過】6歳2ヶ月時にSDRを行い,その後,子どもにとって意味のある課題(遊び)で,探索に焦点を当てた能動的な問題解決,試行錯誤学習をサポートする,感覚運動経験アプローチを行った。術前の2点間では変化は見られなかったが,術後2~6ヶ月で目標設定項目と粗大運動能力で改善がみられた。また,遊び方にも変化がみられた。【結論】SDR後の感覚運動経験アプローチが,両親の目標と粗大運動能力の改善につながったと考える。