イノベーション・マネジメント
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査読付き研究ノート
日本における黎明期のソーシャル・ビジネスに関する一考察
―北海道光生舎の取り組みを事例に―
佐藤 俊恵
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2023 年 20 巻 p. 195-213

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抄録

本稿では、社会的企業やソーシャル・ビジネスという概念が生まれる前、いわば黎明期に、障害者に「働く場」を提供するという社会的課題を掲げ、1956年に障害者の自立のためにクリーニング業を興した北海道光生舎を事例として取り上げる。当事者団体として発足した北海道光生舎は、日本のWISEの草分け的な存在である。現在は、光生舎グループという非営利の社会福祉法人と営利法人である株式会社で構成されるハイブリッドな組織となり、北海道でもトップクラスのクリーニング業者に成長している。北海道光生舎が、どのように生まれ、どのように成長したのか。その取り組みを創業から創業後10年までのプロセスに焦点を当て、時代背景を視野に入れ時系列に分析した。北海道光生舎は、事業を模索、展開する組織構築のプロセスの中で最適解を選んだ結果、ハイブリッドな組織へと変遷していったことが明らかになった。また、北海道光生舎には様々なステークホルダーの関与があったが、官との関係性が強いことが窺われた。こうした北海道光生舎の取り組みから、日本のソーシャル・ビジネスの原点を見出すことができる。

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© 2023 法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
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