イノベーション・マネジメント
Online ISSN : 2433-6971
Print ISSN : 1349-2233
論文
日本の製薬企業における国際戦略的提携に関する一考察
―支配、補完、共創による外部資源の獲得・活用と提携マネジメント―
佐藤 拓
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2025 年 22 巻 p. 101-126

詳細
要旨

外部環境の変化が激しく、不確実性が高まり、国内外の競争が苛烈になる中、内部資源だけで持続的な競争優位性を獲得するのが困難となり、外部資源の獲得・活用が必要となってきている。外部資源を獲得・活用する手段として、80年代後半から「グローバルで」「戦略的な」提携、すなわち、国際戦略的提携で「協調」するケースが増えてきている。

本稿では、日本の製薬企業が国境を越えた戦略的提携を、どのように活用しているのか、その成功に必要な要素は何か、について、提携類型別、戦略類型別に定量的、定性的に分析を行った。

その結果、日本の製薬企業は、国際戦略的提携を通じ、内部資源の「補完」「拠出」よりも、知識等の内部資源を相互に持ち寄り、組織間学習を行い、新たなイノベーション創出を目指す「共創」に取り組んでいる。また、国際戦略的提携を通じた「協調」は、国境を越えた内部資源による「支配」に比して、企業の持続的競争優位性の獲得に寄与している。

国際戦略的提携を成功に導くためには、信頼関係、相互の能力把握、組織間学習、経営陣のコミットメント、パートナー間多様性の活用などに加え、適切に提携を形成、マネジメントする能力と、提携相手にとって魅力的な内部資源・ケイパビリティ、「創薬力」が必要となる。

Abstract

With rapid changes in the external environment, increasing uncertainty and intense domestic and international competition, it has become difficult to gain a sustainable competitive advantage with internal resources alone. Companies need to acquire and utilize external resources. As a means of doing so, “collaboration” through “global” and “strategic” alliances has been increasing since the late 1980s.

This study provides a quantitative and qualitative analysis of how Japanese pharmaceutical companies are utilizing cross-border strategic alliances and what factors are necessary for their success, by alliance type and corporate strategy type. We find that Japanese pharmaceutical companies, through cross-border strategic alliances, are “co-creating” by bringing knowledge and other internal resources to partners, conducting inter-organizational learning, and aiming to create new innovations, rather than “complementing” or “contributing” internal resources. In addition, “collaboration” through cross-border strategic alliances contributes more to sustainable competitive advantage than “domination” by internal resources across borders.

Successful cross-border strategic alliances require the ability to form and manage alliances appropriately, as well as internal resources and capabilities, or “drug discovery capabilities”, that are attractive for the alliance partner, in addition to trust, understanding of each other’s capabilities, inter-organizational learning, commitment of management, and leveraging of diversity among the partners.

1.  はじめに

市場のグローバル化、新たな技術革新、情報化の進展、地政学的な不安定さ等により、企業を取り巻く外部環境は、激しく変化し、不確実性が高まっている。激しい環境の変化の中、企業間の競争は一層苛烈となり、企業は、内部資源だけで競争優位性を獲得するのが困難となり、外部資源の獲得・活用が必要となっている。外部資源の獲得には、市場取引、M&A等の手段があるが、激しい変化・競争に対応する手段として、他企業と提携する例は後を絶たない。特に、1980年代半ばころから、「グローバル」で「戦略的な」な提携が増えてきた(桑田, 2011)。

一方、医薬品産業は、製品化までに長期間・巨額コストを要し、成功確率が極めて低いが、成功した場合には高利益率となる産業特性(ハイリスク・ハイリターン)を有する。近年、バイオテクノロジーの発展、新規モダリティ1の活用等の技術の高度化、新薬開発費用が総額2,900億円を超える(日本経済新聞, 2021)ほどの投資規模の拡大、約22,000分の1(日本製薬工業協会, 2022)と言われる新薬創出の難度の高まりなど、同産業を取り巻く外部環境が大きく変化している。国内市場では、90年代に入り、薬事制度の国際的調和2が外資の参入・ビジネス拡大を促し、競争が激化した。その結果、日本の製薬企業は、従来の売上、利益の確保が困難となり、海外展開を強いられている。海外市場では、医薬品売上高の約9割を欧米メガファーマが占め(厚生労働省, 2022)、その競争環境はさらに厳しい。医療用医薬品の貿易収支は、戦後一貫して入超であり、世界市場における日本企業のプレゼンスは未だに低く、欧米大手との格差は広がるばかりである。

日本企業は、戦後、様々な産業分野で、欧米企業との提携を梃に知識、ノウハウを獲得し、国際競争力を高めてきたが、競争、変化が激しい現下において、日本の製薬企業は、国境を越えた提携を十分に活用できているのだろうか、こうした変化・競争に対応し、競争優位性を獲得、維持するため、提携の重要性は、一層高まってきているのではないだろうか、というのが本稿の問題意識である。

医薬品産業においても、技術の高度化が進み、創薬難度が高まったことで、内部資源だけによる画期的な創薬がより困難になり、外部資源の獲得・活用の必要性が高まっている。ナレッジベースが分散化し、画期的な外部資源(新薬候補、基盤技術)が世界中に点在する中、国境を越えて、有望な外部資源を探索、感知、獲得、活用、深化するには、学会等を通じたインフォーマルな交流から、フォーマルな契約に基づく、提携による「協調」、M&Aにより内部化する「支配」まで、幅広い選択肢がある。提携による「協調」には、内部資源に欠けた部分を補う「補完」、内部資源を他社に託す「拠出」、内部資源を相互に持ち寄り、組織間学習し、新たなイノベーション創出を目指す「共創」がある。

そこで、本稿では、国際戦略的提携を分析対象とし、先行研究を検討した上で、変化の激しい、厳しい外部環境の中で、日本の製薬企業は、有望な外部資源の獲得手段として、国境を越えた「協調」をどのように活用しているのか、その重要性は高まっているのか、その成功要因は何であるか、「協調」では「補完」「拠出」「共創」のいずれを重視しているか等について、定量的・定性的に分析・考察し、その特徴を明らかにする。

本稿の構成は、第2節で先行研究を検討した上で、第3節で研究方法、リサーチクエスチョンを示す。日本の製薬企業の戦略的提携について、第4節で定量的分析、第5節で定性的分析を行い、第6節で分析結果を考察した上で、第7節で限界・今後の課題を示す。

2.  先行研究の検討

2.1  多国籍企業論における提携に係る先行研究

多国籍企業論では、提携による「協調」よりも、海外直接投資(FDI)で「支配」し、海外展開する方法が望ましいとする先行研究が多く見られる。Hymer(1960)によると、企業がFDIを行う理由は、現地企業に対する優位性であり、市場の不完全性の中で、子会社による「支配」により優位性を活用できる。Buckley and Casson(1976)は、取引コスト理論(Transaction Cost Economics: TCE)をFDIに応用した内部化理論にて、企業は、最小限のコスト・ロケーションを選ぶこと、さらなる内部化の利益がそのコストを越える点まで市場を内部化し、成長すること、を仮説化した。知識の内部化と価値連鎖の統合が優位性を生み出し、その優位性がさらなる内部化と統合を促進するという。Rugman(1981)は、提携について、FDIと市場取引の中間的形態とし、企業特殊優位性の消散リスクがあり、FDIの次善策とした。Fayerweather(1969)は、多国籍企業の経営資源の移動の方向は、効率性により決定され、効率性は「支配」と市場地位の維持・保全の可否に左右されるという。結果、完全に統一化できるFDIが最善、提携は次善策とした。

2.2  戦略的提携に係る先行研究

(1)  戦略的提携とは

外部要因としての経営環境の変化に対して、内部要因である経営資源を最適な形で適合させる施策が経営戦略である(Grant, 1991)。外部環境の変化に適合するために、経営戦略を策定するが、調査・分析の結果、自社の内部資源だけでは不十分だと判断した場合、他社の外部資源を活用する戦略的提携が選択肢に入る。企業の戦略的目的を達成するために、他社の経営資源を活用することが戦略的提携である(安田, 2006)。

Yoshino and Rangan(1995)は、①複数の企業が独立したままの状態で、合意された目的を追求するために結びつくこと、②パートナー企業がその成果を分け合い、その運営に対し、コントロールを行うこと、③パートナー企業が重要な戦略的分野にて継続的な寄与すること、の3条件を同時に満たす提携を戦略的提携とし、その戦略的目的は、価値の最大化、学習の促進、柔軟性の維持、コアコンピタンスの防御とした。今日的特性として、国際的提携、競合企業との提携、業際的提携を挙げる。Hubbard(2013)は、多国籍企業のグローバル展開の方法として、資源と時間が最も少ないのがノンエクイティ投資、最も必要なのがエクイティ投資で、前者のすべてと、後者のうち、合弁企業(以下、JV)のみを戦略的提携とした。どんな大企業でも、1社のみで、変化し続ける世界すべて十分に対応できるだけのリソースは持っておらず(Shuman and Twombly, 2010)、世界にナレッジベースが分散化する中、新たな知識を獲得するため、国境を越えた「協調」が増えてきている。

(2)  取引コスト理論(TCE)における戦略的提携

TCEは、企業がどのような活動を内部に取り込み、どのような活動を市場取引に委ねるか、取引コスト(transaction cost)という概念を用いて説明する(Williamson, 1975)。取引コストとは、企業の行動を制約する限定合理性と機会主義の下で、他社との取引にて生ずるコストである(安田, 2016)。入山(2019)によると、TCEでは、市場取引にて、不測事態の予見困難性、取引の複雑性、資産特殊性が高い時、市場取引のコストがかかりすぎるため、自社に内部化し、コントロールすべき、と考える。「内部化された価値連鎖の範囲」がTCEで説明する企業の範囲となる。TCEでは、市場対企業の二者択一だが、現実には中間形態もあり、代表的形態が戦略的提携となる。

(3)  資源ベース理論(RBV)における戦略的提携

資源ベース理論(Resource Based View: RBV)では、企業を「保有する経営資源の集合体」とみなし、組織の成長、持続的な競争優位性は、企業の内部資源に左右され、企業は様々な経営資源を活用し、企業価値の最大化を目指す(Barney, 2002)。RBVにて、戦略的提携が持続競争優位の源泉となるかは、経済価値(V)、稀少性(R)、模倣困難性(I)、組織一体性(O)の有無で決まる(Barney, 2002)。さらに、代替困難性(N)も影響する。

稀少性(R)は、海外展開の際、進出先で補完的な経営資源・ケイパビリティを有する提携候補が限られるか等、提携により得られる便益から判断される。模倣困難性(I)について、経営資源・ケイパビリティを模倣するには、直接的複製、代替がある。直接的複製は、パートナー間に社会的に複雑で、自己犠牲的な関係性がないと難しい。代替する手段には、内部開発とM&Aがあるが、内部開発では、各企業が異なる協力のケイパビリティを持ち、同様の範囲の経済が同程度の低コストで実現可能な場合、戦略的提携と代替関係になる。一方、M&Aでは、法的な制約、お荷物組織の有無などが代替性に影響する。組織一体性(O)については、パートナーの裏切りの可能性を最小化し、提携から得られる恩恵を最大限享受する必要がある。裏切りを防ぐには、ノンエクイティ提携での明示的契約・法的制裁、エクイティ提携での契約と資本による制限、合弁会社設立、信頼関係などがある。提携を成功させるには、信頼関係が最も重要である。

(4)  知識ベース理論(KBV)における戦略的提携

安田(2016)によると、知識は、無形の経営資源であり、技術、ノウハウ、顧客データ、管理手法などは、いずれも知識として企業の競争優位の源泉となる重要な経営資源である。知識ベース理論(Knowledge Based View: KBV)では、企業を「知識の束(今野, 2007)」とみなし、知識の創出と活用を効率化する、という視点から提携を論じる(安田, 2016)。

企業が有する知識について、Badaracco(1990)は、移動型知識と埋没型知識、野中・竹内(1996)は、形式知と暗黙知に区分した。暗黙知を形式知へ変換する「分節化」、形式知を暗黙知の変換する「内面化」は、知識変換過程のダイナミズムを内在し、知識創造を最も豊かに生成しうる(野中・竹内, 1996)。企業の生命線をなす知識は、熟練、ノウハウ、企業文化など、組織の中に埋没しているが、表面的には目に見え難い埋没型知識の獲得、移転、蓄積、保有が重要である(松行, 1996)。知識を統合する存在としての企業は、内部知識を積極的に活用し、イノベーションを継続して創出することで、持続的競争優位を獲得しようとしている(今野, 2007)。

一方、戦略的提携について、野中(1991)は、補完性の獲得を目的とする相互補完型、パートナー間で新たな価値の創造が達成される共同創造型、に区分し、戦略的提携は、新しい知識の創造が行われる共同創造の段階に到達することで、真に意味のあるものになるという。Badaracco(1990)は、戦略的提携を製品連鎖と知識連鎖に大別し、前者を製品の「補完」を主たる目的とする機能的な提携、後者を新しい知識や能力の学習および知識の創造を目的とする戦略的な提携、とし、知識連鎖構築による知識学習こそが戦略的提携の中心的命題で、埋没型知識の移転の重要性を強調する。松行(1996)は、知識連鎖において、企業間の知識の学習、構築、共有、支配および知識創造を重視すべきという。

戦略的提携を成功に導くには、相手先から学ぶこと(Hamel et al., 1989)、緊密な人的関係や学習を促す内的インフラを有し、コラボレーションになること(Kanter, 1994)、戦略的目的に相対的な優先順位を付け、経営者が「協調」と競争間の相互作用の最適化を図ること(Yoshino and Rangan, 1995)、自社能力の経営戦略的な理解、パートナー企業の能力等の調査・分析、暗黙知の蓄積と形式知への変換、トップマネジメントのコミットメント、対境担当者の養成(松行, 1996)、創造された知識を移転する組織プロセス、ナレッジ・マネジメントの効果的な実行・利用を促す組織風土(Inkpen and Dinur, 1998)、提携パートナーからいかに知識獲得を進めるか、という提携能力(今野, 2007)等が重要となる。

2.3  医薬品産業における提携に係る先行研究

日本の製薬企業の国境を越えた提携に係る先行研究をレビューする。まず、海外大手製薬企業との提携について、富田(2010)は、共同研究では能力的信頼と長期的関係が両者の「協調」に影響を与えるという。小久保・新藤(2011)によると、日本の製薬企業は、海外大手との販売に係る提携で、自社製品の海外展開に取り組んでいるが、海外大手との技術に係る提携は、「補完」的技術のライセンス等に限られる。一方、海外スタートアップ(以下、SU)との提携について、藤原(1990)は、バイオ医薬品に係る戦略的提携は米国SUへの依存度が高いという。平井(2002)によると、日本の製薬企業は、欧米企業と比して、リスク回避的な行動をとるため、開発後期のライセンス契約が多い。小久保・新藤(2011)によると、日本の製薬企業は、技術に係る提携で、開発後期のバイオ技術の導入を目指し、研究開発の川下部分での提携マネジメントに貢献しているという。

2.4  先行研究における限界とリサーチクエスチョンの設定

先行研究をレビューした結果、TCEでは、戦略的提携を市場取引と企業の中間的形態と捉えているが、石井(2003)によると、提携を視野に入れた分析を目的にしていないこと等から、TCEで提携を論じるのは限界がある。KBVでは、知識の創出と活用を効率化する、という視点から提携を考えるが、提携による「協調」において、外部知識を獲得する「補完」、内部知識を相互に持ち寄り、組織間学習、知識連鎖により、新たな知識創造を目指す「共創」、内部知識を他社に託する「拠出」のいずれを重視しているのか、を分析・考察した研究は限られている。RBVでは、戦略的提携が競争優位の源泉となるかは、経済価値(V)、稀少性(R)、模倣困難性(I)、組織一体性(O)の有無による(Barney, 2002)。提携の「協調」により、模倣困難性(I)、希少性(R)を有する新たな知識(新薬候補・基盤技術)を獲得し、競争優位の源泉としているか、を検証した先行研究、とりわけ、医薬品産業、日本の製薬企業に焦点を当てた研究の蓄積は十分にない。多国籍企業論の提携に係る先行研究では、海外直接投資(FDI)による「支配」を最善策と捉えているが、徳田(2000)は、FDIによる完全な「支配」を確保しなくとも、提携を柔軟に織り交ぜ、成長を達成しうる、と先行研究の限界を示す。日本の製薬企業に焦点を当て、「支配」「協調」のいずれが競争優位性の獲得に寄与しているか、について焦点を当てた研究は限られている。また、医薬品産業における提携に焦点を当てた先行研究の中で、海外企業との提携について、富田(2010)は共同研究、小久保・新藤(2011)は販売と技術、という類型に絞った分析・考察に留まっており、網羅的に提携類型の特徴を把握するに至っていない。

先行研究の限界を踏まえると、日本の製薬企業に着目し、国境を越えた戦略的提携の「協調」について、網羅的に提携類型別・戦略類型別に経年分析・考察すること、その重要性の変化、成功要因等を考察すること、には意義があるのではないか。また、日本の製薬企業は、「協調」の中で、「補完」、「共創」、「拠出」のいずれを重視しているか、内部資源による「支配」と外部資源を活用した「協調」のいずれが競争優位性の獲得に寄与しているのか、を分析・考察することで、先行研究を補完する理論的貢献ができると考える。

そこで、先行研究の限界を補うため、以下を本稿のリサーチクエスチョン(RQ)とする。

RQ1:日本の製薬企業において、国際戦略的提携による「協調」の重要性は高まっているか、「協調」では、知識等の外部資源で内部資源を補う「補完」、相互に内部資源を持ち寄り、学習する「共創」、内部資源を託す「拠出」、いずれを重視しているのか

RQ2:日本の製薬企業において、内部資源による「支配」に比して、国際戦略的提携による「協調」が競争優位性の獲得に寄与しているか

RQ3:日本の製薬企業が、国際戦略的提携を成功に導くために、重要な要素は何か

3.  研究方法

3.1  定量的分析について

本稿では、国内大手製薬企業のうち、医薬品売上高上位11社(表1参照)を分析対象とし、提携を通じた「協調」の実態を分析、考察する。提携に係るデータとしては、有価証券報告書に記載された「経営上の重要な契約」3(ただし、医療用医薬品に係るもの)を用いる。製薬企業の「経営上の重要な契約」には、技術導出、共同研究など医薬品ビジネスにて重要な役割を果たし、経営に大きな影響を与える契約が多数含まれていることから、分析対象とする意義は大きい(佐藤, 2004)。

表1 日本の製薬企業大手11社の財務指標(2023年度、単位:億円)

武田 大塚HD アステラス 第一三共 中外 エーザイ 小野 協和キリン 田辺三菱 塩野義 大日本住友
売上高 42,638 20,186 16,037 16,017 11,114 7,418 5,027 4,422 4,374 4,351 3,146
営業利益 2,141 1,396 255 2,116 4,392 534 1,599 968 689 1,533 ▲ 3,549
売上高
営業利益率
5.0% 6.9% 1.6% 13.2% 39.5% 7.2% 31.8% 21.9% 15.8% 35.2% ▲112.8%
研究開発費 7,299 3,078 2,942 3,643 1,749 1,690 1,122 721 630 1,026 1,126
時価総額 65,817 44,761 30,855 99,980 112,833 17,287 9,520 17,572 8,000 18,715 2,292

(出所)各社WEBサイト、日本経済新聞WEBサイト(2024)4から筆者作成。

次に、本稿で分析対象とする戦略的提携の範囲・類型について、Yoshino and Rangan(1995)は、企業間結合を契約関係、資本関係に大別する(図1参照)。契約関係には、従来型契約と非従来型契約があり、前者には、売買(市場取引)、フランチャイズ、ライセンス、クロス・ライセンス、後者には、共同研究開発、生産委託、共同販売等がある。一方、資本関係には、既存資本(少数投資、資本スワップ)、資本構築(JV)、資本解消(M&A)がある。

図1 企業間結合の分類

(出所)Yoshino and Rangan(1995)に基づき筆者作成・追記。

Yoshino and Rangan(1995)は、前述の3条件を同時に満たす提携を戦略的提携とし、従来型契約とM&Aを除外するが、安田(2006)は、従来型契約のうち、売買は除外するものの、フランチャイズ、技術ライセンス、クロス・ライセンスは、企業がその戦略目的達成のために他社との間で経営権の使用権を交換する限りにおいて、戦略的提携と見なす。

ここで、製薬企業の「経営上の重要な契約」の記載内容をレビューした結果、本稿における戦略的提携の範囲は、ライセンス(技術導出、技術導入)が数多く行われる医薬品産業の特徴を鑑み、安田(2006)同様の範囲(図1のうち、売買とM&Aのみ除外)とする。

以上のことから、本稿では、日本の大手製薬企業11社の「経営上の重要な契約」のうち、医療用医薬品に関するもので、かつ、市場取引とM&Aを除くYoshino and Rangan(1995)の類型に該当するものを「日本の製薬企業の戦略的提携」と定義し、特に、国境を越えた提携に着目し、分析・考察を行う。

本稿の分析対象とする提携類型について、図1の類型と「経営上の重要な契約」の契約の類型を比較、検討した結果、表2に示す12類型(①~⑫)とし、各類型を取引フローに従い、IN型、OUT型、CO型に分類する。分析対象年度は、国内水平合併発生期(2005~2008年:表3参照)前後の変化を分析するため、直前の2003年度(以下、期初)5、直後の2008年度(以下、期中)と、その後の変化を見るため、10年後の2017年度(以下、期末)とする。

表2 本稿における戦略的提携の提携類型

フロー分類 提携類型
OUT型 ① 技術導出、② 製造委託、③ 販売委託
IN型 ④ 技術導入、⑤ 研究受託、⑥ 販売受託
CO型 ⑦ クロス・ライセンス、⑧ 共同研究、⑨ 共同開発、⑩ 共同販促
⑪対等合弁会社(JV)、⑫非対等合弁会社(JV)

(出所)Yoshino and Rangan(1995)佐藤(2004)および各社有価証券報告書に基づき筆者作成

なお、本稿では、価値連鎖の機能について、新薬候補の探索、最適化等を「研究」、新薬候補の前臨床・臨床試験等を「開発」、販売、マーケティング等を「販売」と定義する6

3.2  定性的分析について

本稿では、定量的分析を補完し、定性的にアプローチするため、ケース・スタディ(事例研究)という手法を用いる(Yin, 1994)。ケース・スタディ設計にあたっては、得られた証拠がしばしば説得力があると考えられ、それゆえ研究全体がより強固であるとみなされる、複数ケース・スタディ(Multiple case studies)を選択する(Herriott and Firestone, 1983)。

日本の大手製薬会社は、国内外での競争が激化する中、2000年代に入り、その多くが国内競合との水平合併を選択した。他方、中外製薬(以下、中外)は、海外大手との包括的な連携、武田薬品工業(以下、武田)は、海外企業の買収、を軸とする戦略を選んだ。

本稿では、選択した戦略から、分析対象となる国内大手11社を、国内水平合併型海外包括連携型独立連携型海外買収型の4つの戦略類型に大別する(表3参照)。事例研究対象は、定量的分析結果を踏まえ、それぞれの戦略類型から選定する。戦略的提携による「協調」の事例に加え、海外買収型である「支配」の事例も選定する。両者を比較・分析することで、「協調」の特性に加え、「支配」との共通点、差異を浮き彫りにする。

表3 本稿における日本の製薬企業の戦略類型

戦略類型 戦略の軸 対象(合併年:合併元)
国内
水平
合併型
国内大手製薬同士での水平合併 アステラス製薬(2005年:山之内製薬+藤沢薬品工業)
第一三共(2005年:三共+第一製薬)
協和キリン*1(2008年:協和発酵工業+キリンファーマ)
田辺三菱製薬*2(2007年:田辺製薬+三菱ウェルファーマ)
住友ファーマ*3(2005年:大日本製薬+住友製薬)
*1親会社:キリンHD、*2同:三菱ケミカルHD、*3同:住友化学
海外
包括
連携型
海外大手製薬との包括的な連携 中外製薬
独立
連携型
国内外で
合併・買収は
限定的、連携
は活用
大塚HD、エーザイ
塩野義製薬、小野薬品工業
海外
買収型
海外スタート
アップ等の
垂直型買収
武田薬品工業

(出所)各社WEBサイト等から筆者作成 (注)HD:ホールディングス

4.  定量的分析

4.1  「協調」に係る分析・考察

「協調」を示す戦略的提携数(表4)は、期初(384件)と期末(380件)で大きな変化はないが、期中に一度減少した(338件)。分析対象企業の半数弱(5社)を占める国内水平合併型企業が重複した提携を集中・選択し、一時的に提携数が減ったと考える。その後、新薬候補確保等のため、戦略的提携を通じた外部資源の獲得・活用に積極的になった、と考える。そのうち、海外との提携も、期中に一度減少した(275件)が、期初(296件)と期末(299件)で大きな変化はない。総数に占める海外比率は、8割前後で推移し、2000年代初頭より、日本の製薬企業が国際戦略的提携に積極的に取り組んできたことを示す。

表4 戦略的提携数・関係会社数・協調度(AS、OAS)の推移

提携類型 2003期初 2008期中 2017期末 03-08変化 08-17変化 03-17変化
OUT 161 102 81 59 21 80
① 技術導出 122 88 62 ▲34 ▲26 ▲60
② 製造委託 0 1 2 +1 +1 +2
③ 販売委託 39 13 17 ▲26 +4 ▲22
IN 163 167 171 +4 +4 +8
④ 研究受託 0 0 1 +0 +1 +1
⑤ 技術導入 99 124 143 +25 +19 +44
⑥ 販売受託 64 43 27 ▲21 ▲16 ▲37
CO 60 69 128 +9 +59 +68
⑦ クロス・ライセンス 2 2 0 +0 ▲2 ▲2
⑧ 共同研究 13 21 47 +8 +26 +34
⑨ 共同開発 0 13 33 +13 +20 +33
⑩ 共同販促 20 15 38 ▲5 +23 +18
⑪ 対等JV 0 7 5 +7 ▲2 +5
⑫ 非対等JV 25 11 5 ▲14 ▲6 ▲20
戦略的提携数 384 338 380 46 +42 4
国内提携数 88 63 81 ▲25 +18 ▲7
海外提携数 296 275 299 ▲21 +24 +3
海外比率 77.1% 81.4% 78.7%
関係会社数 326 378 543 +52 +165 +217
国内関係会社数 103 87 96 ▲16 +9 ▲7
海外関係会社数 223 291 447 +68 +156 +224
提携関係会社比率(AS 1.2 0.9 0.7
海外提携関係会社比率(OAS 1.3 0.9 0.7

(出所)各社有価証券報告書に記載された「経営上の重要な契約」から筆者作成

一方、提携の相手先は、大きく変化した(表5参照)。海外での提携先は、大手製薬企業(期初➡期末:▲45件)から、中堅中小企業(同:+33件)へ大きくシフトしている。これは、日本の製薬企業が、海外大手と同様に、海外SUと「協調」する「垂直統合型モデル」へ適合したためと考える。

表5 戦略的提携の提携先別推移

海外
大手製薬
海外
中堅中小
海外
アカデミア
海外
異業種
国内
大手製薬
国内
中堅中小
国内
アカデミア
国内
異業種
合計
2003 167 134 4 0 19 58 2 0 384
2008 126 143 2 8 13 26 3 17 338
2017 122 167 7 3 22 40 10 9 380
変化03-08 ▲41 +9 ▲2 +8 ▲6 ▲32 +1 +17 ▲46
変化08-17 ▲4 +24 +5 ▲5 +9 +14 +7 ▲8 +42
変化03-17 ▲45 +33 +3 +3 +3 ▲18 +8 +9 ▲4

(出所)各社有価証券報告書に記載された「経営上の重要な契約」から筆者作成

ここで、海外との提携に係る先行研究と比較・分析すると、小久保・新藤(2011)では、日本の製薬企業は、海外大手との販売に係る提携で自社製品の海外展開に取り組むとするが、販売に係る提携は、海外大手との提携の約1割に過ぎない。また、海外大手との技術に係る提携は、「補完」的技術のライセンス等に限られる、とするが、技術に係る契約のうち、「補完」は4割に過ぎない。一方、海外SUとの提携について、藤原(1990)は、米国SUへの依存度が高いとするが、その割合は一層、高まっており、海外SUとの連携に占める米国SUの割合は5割を超える(期中34%➡期末51%)。

一方、国内での提携先について、期中に減少(▲32件)した中堅中小企業との提携数は、期末までに増加(+14件)した。これは国内バイオSUの質・量の高まりを示す。しかし、その数は、未だ海外の約1/4に留まり、さらなる質・量の向上が期待される。

4.2  「協調」の提携類型に係る分析・考察

「拠出」であるOUT型は半減している(期初➡期末:161件➡81件)。内訳を見ると、①技術導出の減少(同:▲60件)は、日本発の有望な新薬候補の減少、競争力の低下等が原因と考える。③販売委託の減少(同:▲22件)は、海外関係会社数の倍増(期初➡期末:223社➡447社)から見る限り、自社による海外販路の確立、拡大の結果と考える。

次に、IN型は、総数の4割前後を推移し、他のフローに比して、自社に不足する内部資源を「補完」する提携が多いことを示す。内訳を見ると、④技術導入の大幅な増加(同:99件➡143件)は、有望な新薬候補、基盤技術を外部から獲得し、内部資源を「補完」する動きが増えたことを示す一方、⑥販売受託の半減(同:64件➡27件)は、国内外資が国内販路を確立し、日本大手へ委託する必要性が低下したことが原因と考える。

最後に、CO型は倍増しており(同:60件➡128件)、相互の資源を活用した「共創」の提携が増え、期末、その約7割(88件)を海外との提携が占める。内訳を見ると、⑩共同販促など販売(S)に係る提携も増えたが(同:20件➡38件)、⑧共同研究(同:+34件)、⑨共同開発(同:+33件)と研究(R)、開発(D)における「共創」が大幅に増えた。期末の⑧共同研究、⑨共同開発(計80件)の7割(56件)が海外であることから、新たなイノベーション創出のための「共創」は、海外との「協調」が軸となっている。海外での協業先の6割(32社)が中堅中小企業、大手製薬(20社)、アカデミア(4社)が続く。

4.3  「協調」「支配」の比較分析と協調度

戦略的提携による「協調」の特性を明確にするため、自社内部資源による「支配」との比較・分析を行う。本稿では、有価証券報告書における「関係会社」の数を「支配」の度合いを示す値として取り扱う。関係会社は、国内外に内部資源を切り出した一部であり、「支配」された内部資源である。

次に、関係会社の「支配」に対する、戦略的提携によって外部資源を活用する「協調」の割合を「協調度」とし、「協調度」を測る指標として、戦略的提携数を関係会社数で除した提携関係会社比率(AS、国際戦略的提携数を海外関係会社数で除した海外提携関係会社比率(OASを算出した(表4参照)。AS、OASともに、1.0より大きいほど協調度が高い、1.0より小さいほど協調度が低い、とする。

総数から算出したAS・OASは、期初1.2・1.3となり、内部資源による「支配」より、戦略的提携による「協調」の活用が多い。しかし、両者とも期中に1.0を下回り、期末には0.7まで低下、期初から期末までに、いずれも4割超低下した。この間、戦略的提携の総数に大きな変化がないことから、関係会社数の増加(約1.5倍)が協調度低下の要因と考える。関係会社数の増加は、武田の海外企業買収(13社)等により、買収先の拠点が多数吸収され、内部化されたことが主たる要因と考える。

4.4  戦略類型から見た「協調」「支配」に係る分析・考察

戦略類型別に戦略的提携を見ると(表6表7参照)、国内水平合併型の場合、戦略的提携は一度減少した後、微増した(期初➡期中➡期末:40.8件➡27.8件➡33.0件)。この期中の減少は、水平合併で重複した提携の整理が原因と考える。AS、OASともに、期初から期末まで概ね1.0以下と協調度は低く、戦略的提携を積極的に活用しているとは言い難い。本類型で売上高が最大で、「協調」の活用が最も多く、類型平均値と概ね同様の傾向を示すアステラス製薬(以下、アステラス)を本類型の事例研究対象とする。

表6 戦略類型別に見た戦略的提携数・関係会社数・協調度の推移

国内水平
合併型
(5社)
アステラス 海外包括
連携型
(中外)
海外
買収型
(武田)
独立
連携型
(4社)
小野
1社あたり戦略的提携数(2003) 40.8 76.0 27.0 69.0 21.0 23.0
1社あたり戦略的提携数(2008) 27.8 40.0 21.0 63.0 28.8 36.0
1社あたり戦略的提携数(2017) 33.0 59.0 37.0 73.0 26.3 49.0
1社あたり関係会社数(2003) 39.6 78.0 14.0 24.0 22.5 8.0
1社あたり関係会社数(2008) 42.2 65.0 21.0 53.0 23.3 6.0
1社あたり関係会社数(2017) 41.4 91.0 17.0 146.0 43.3 7.0
提携関係会社比率(AS)(2003) 1.03 0.97 1.93 2.88 0.93 2.88
提携関係会社比率(AS)(2008) 0.66 0.62 1.00 1.19 1.24 6.00
提携関係会社比率(AS)(2017) 0.80 0.65 2.18 0.50 0.61 7.00

:ASが1.0以下=協調度が標準かあるいは標準以下

(出所)各社有価証券報告書に記載された「経営上の重要な契約」から筆者作成

表7 戦略類型別に見た国際戦略的提携数・海外関係会社数・海外協調度の推移

国内水平
合併型
(5社)
アステラス 海外包括
連携型
(中外)
海外
買収型
(武田)
独立
連携型
(4社)
小野
1社あたり国際戦略的提携数(2008) 20.8 34.0 17.0 55.0 24.8 31.0
1社あたり国際戦略的提携数(2017) 24.8 45.0 29.0 62.0 21.0 40.0
1社あたり海外関係会社数(2008) 35.4 54.0 15.0 29.0 17.5 2.0
1社あたり海外関係会社数(2017) 34.2 85.0 12.0 134.0 32.5 4.0
海外提携関係会社比率(OAS)(2008) 0.59 0.63 1.13 1.90 1.42 15.50
海外提携関係会社比率(OAS)(2017) 0.73 0.53 2.42 0.46 0.65 10.00

:OASが1.0以下=協調度が標準かあるいは標準以下

(出所)各社有価証券報告書に記載された「経営上の重要な契約」から筆者作成

次に、海外包括連携型の場合、期末に戦略的提携が大幅に増加した(期中➡期末:21件➡37件)。その要因は、中外がロシュ(スイス)との包括的な戦略的パートナーシップを活かし、双方向のライセンスを増やしたこと(技術導出+10件、技術導入+5件)にある。期中から期末にAS(同:1.00➡2.18)、OAS(同:1.13➡2.42)ともに倍増し、高い協調度を示す中外を本類型の分析事例対象とする。

また、他の3類型に属さない会社(4社)が属する独立連携型の平均協調度(期末)は、AS(0.61)、OAS(0.65)と低い。一方、画期的新薬「オポジーボ」により業績が好調な小野薬品工業(以下、小野)の値と、平均値には大きな差異がある。小野の協調度は、総数(最大値:期末7.00)、海外(同:期中15.50)ともに、分析対象11社の中で最も高い。最も高い協調度を示し、オポジーボのような「協調」好例を有する小野を本類型の事例研究対象とする。

最後に、海外買収型では、戦略的提携を積極的に活用(期初➡期末:70件前後)する一方、関係会社数が著しい伸びを示す(同:24社➡146社)。これは、武田が期初から期末にかけて海外企業(13社)を買収し、買収先の拠点が多数、吸収され、内部化したことが原因である。この結果、AS、OASともに、期末には0.5以下となった。このように、戦略的提携を活用した「協調」は継続しつつも、海外企業買収を活用した「支配」する戦略を軸とする武田を本類型の分析事例対象とする。

以上のことから、次節では、以下の事例研究(複数ケーススタディ)を行う。

① 中外製薬(海外包括連携型):包括的な「協調」から「補完」「共創」「拠出」へ

② 小野薬品工業(独立連携型):「共創」で創出、「拠出」で販路拡大

③ アステラス製薬(国内水平合併型):国内水平合併から「協調」「支配」へ

④ 武田薬品工業(海外買収型):「協調」から「支配」へ

5.  定性的分析・事例研究

5.1  中外製薬(海外包括連携型):包括的な「協調」から「補完」「共創」「拠出」へ

中外は、1925年創業、国内売上高は、第5位(2023年度)だが、売上高営業利益率は、39.5%(同年度)、時価総額は、約11兆円(同年度)、いずれも国内業界第1位である。2000年代に入り、国内競合他社の多くが国内水平合併を選択する中、中外は、2001年、海外大手のロシュ(スイス)と戦略的パートナーシップを結び、海外包括連携型の戦略をとった。提携関係会社比率(AS海外提携関係会社比率(OASは、期中(1.00・1.13)から期末(2.18・2.42)にかけて倍増し、小野(独立連携型)に次いで高い協調度を示す。

ここで、松崎(2013)によると、バイオ医薬品は、80年代から世界各地で本格的な開発が始まり、インターフェロン、エリスロポエチン(EPO)などが次々と上市された。しかし、その後10年間、世界的に大型の新製品が生まれない低迷期が続いた。その間、バイオ医薬品の研究開発について、米国では、バイオSUが続けたが、日本では、多くの大手製薬企業は続けなかった7。90年代後半、有望なバイオ医薬品が次々と実用化され、バイオ成長期を迎えた時、欧米企業と日本企業のバイオ医薬品の「創薬力」に大きな差が生じた。

一方、永山(2007)によると、ロシュとの連携以前の中外は、国内売上高は10位、研究開発費は500億円以下、海外売上比率は13.8%に留まっていたが、80年代前半から、バイオ医薬品の研究開発を開始し、エポジン(90年発売)等の抗体医薬品の開発に成功した。その後も研究を継続したが、バイオ医薬品は、技術的なハードルが高く、生産設備に多額の投資が必要だった。その頃、ロシュ日本法人の売上高は、国内32位と低迷していた。

こうした状況の中、2001年、中外とロシュは、包括的な戦略的パートナーシップを結び、「協調」を開始した。ロシュは、中外株式の50.1%を取得したが、中外の独立経営が確保された。中外は、ロシュ製品の日本国内開発・販売の優先権を持つ一方、海外展開では、ロシュの販路を活用した。また、共同研究開発により、中外の「創薬力」が向上し、ロシュを通じ、海外の最先端の企業、アカデミア、知識へのアクセスが可能となった。巨額な研究開発投資は、ロシュと補完し、抑制が可能になった。中外の戦略的提携(期末:37件)のうち、ロシュとの提携は、全提携の約6割(23件)を占め、技術導入等の「補完」(11件)、技術導出等の「拠出」(6件)から、共同研究、共同開発の「共創」(3件)まで多岐に及び、包括的な連携が多様な「協調」を生み出した。

包括的な「協調」を開始して23年で中外の売上高は、約5倍(2001年度➡2023年度:約2,121億円➡約1兆1114億円)、営業利益は、約16.5倍(同:約267億円➡4,392億円)と著しく増加し、国内売上高は10位から5位に躍進した。売上高営業利益率は、3倍超(同:12.6%➡39.5%)になり、時価総額は、国内第1位(約11兆円)となった。

以上のように、中外は、2001年のロシュとの包括的な「協調」を基盤に、研究、開発、製造、販売での各機能を強化し、ロシュからの導入による「補完」や、共同研究、共同開発により新薬開発を目指す「共創」等によって、国内時価総額第1位となる競争優位性を獲得した事例と考える。

5.2  小野薬品工業(独立連携型):「共創」で創出、「拠出」で販路拡大

小野は、1717年創業、国内売上高は、第7位(2023年度)だが、売上高営業利益率は、中外(39.5%)、塩野義(35.2%)に続き、国内業界第3位(31.8%)と高水準にある。提携関係会社比率(AS海外提携関係会社比率(OASは、いずれも最も高く(期初2.88・n.a➡期中6.0・15.5➡期末7.0・10.0)、日本の製薬企業の中で、最も戦略的提携、国際戦略的提携を活用する企業である。

小野は、元々、韓国、台湾などニッチな地域へのアプローチを行い、スペシャリティファーマとしての生き残りが見込まれる独自性を有していた(佐藤, 2004)が、2000年代に入り、国内競合の多くが国内水平合併を選択したのに対し、国内外大手との合併、海外SUの買収を行わない立連携型の戦略を取った。

小野が「協調」と「共創」を活用し、成功した画期的新薬にがん治療薬「オポジーボ」がある。小野は、京都大学との共同研究(共創)で抗がん効果を有する抗体(抗PD-1抗体)を発見、2002年、その基盤特許の共同出願を行った。次に、2005年、実用化に向け、抗体技術を有するメダレックス(米国)と抗PD-1抗体の共同研究(共創)を開始、2006年、米国での臨床試験(開発)を開始する。

しかし、2009年、米国大手ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(以下、BMS)がメダレックス社を買収し、「支配」下に置いたことで、小野の「共創」環境は変化する。ここで、小野は、米国で臨床試験を開始していた優位性を活かし、BMSとの共同開発(共創)を選択、オポジーボ実用化に向けた「共創」を継続する。その結果、オポジーボは、日米で悪性黒色腫薬としての薬事承認取得に成功、その後、肺がんなど他の腫瘍性疾患に適用を拡大し、画期的新薬として、世界的なブロックバスター8となった。小野は、海外拠点が4か所(期末)と大手10社の中で最も少なく、自社海外販路は極めて限られているが、共同開発したBMS等へオポジーボを技術導出(拠出)することで年間979億円(2023年度)のロイヤリティを得る。小野は、全社売上収益(5,027億円:2023年度)の約6割をオプジーボとその関連特許で稼いだ(日経ビジネス, 2024)。「オポジーボ」の成功によって、小野は、その年商が期初(1,394億円)から約3.7倍(5,027億円:2023年度)と急増し、国内売上高は、第7位(期初14位)となった。

このように、小野は、共同研究・共同開発で「共創」し、画期的新薬を実用化、多額の売上を得たのみならず、技術導出で「拠出」し、BMSの海外販路を活用、多額のロイヤリティを得た。この事例は、共同研究・共同開発による「共創」と、技術導出による「拠出」という、複数の「協調」を組み合わせた好例と考える。

なお、2031年にオポジーボのパテントクリフ9が迫る中、2024年4月、小野は、デシフェラ・ファーマ(米国)を約3,700億円で買収した。同社は、癌領域での医薬品の研究開発、販売に強みを持つ。今後、小野は、独立連携型から新たな新薬確保のために海外買収型への脱却を図っていくのか、新たな画期的な新薬・新薬候補を確保できるのか、今後の行方が注目される。

5.3  アステラス製薬(国内水平合併型):国内水平合併から「協調」「支配」へ

アステラスは、2005年、山之内製薬と藤沢薬品工業の合併で誕生した国内水平合併型の企業である。国内売上高は、第3位(2023年度)だが、売上高営業利益率は、国内業界第10位(1.6%)、自己資本利益率(ROE)は、同10位(1.1%)と低水準にある。国内水平合併前(期初)の戦略的提携は76件、関係会社数は78社といずれも国内最多、海外売上高比率は82.7%(2023年度)と高く、国内水平合併後に戦略的提携による「協調」と、内部資源による「支配」を併用し、海外展開を進めた。

アステラスには、2009年、メディベーション(米国)が有する開発後期の新薬候補を技術導入し、前立腺がん薬「イクスタンジ」として上市させた「補完」の成功例(年商約7,500億円)がある。他方、2001年に海外大手と包括的な連携を決断した中外や、2004年より海外企業買収を一気に始めた武田と比べ、グローバル化が遅れた印象がある。合併後の集中・選択や体制整備に時間と労力を要したのが一因だろうか。さらに、「支配」では、遺伝子治療への参入のため、2019年に約3,200億円で買収したオーデンテス(米国)の有望医薬品候補が2021年に開発中止となり、2024年、サンフランシスコ拠点の閉鎖に至った。こうした厳しい状況が、財務指標に表れている(表1表11参照)。

さらに、総売上高の半分弱を占める「イクスタンジ」のパテントクリフが2027年に迫っている中、アステラスは、競合他社に比して、新薬候補品、特に承認が近い開発後期の新薬候補が少ない(日本経済新聞, 2024)ことから、新薬不足、売上高の減少が懸念されている。こうした財務指標と新薬候補不足から市場の評価も厳しい。

戦略的提携による「協調」にも積極的に取り組んでいるが(期末:59件)、今後の短期的な対策として、開発後期の新薬候補を有する海外企業の買収、技術導入などが選択肢となる。2023年、アイベリック・バイオ(米国)を約8,000億円で買収し、予想売上高(2025年)が1,000億円超の有望な眼科疾患薬「アイザーウェイ」を手に入れた(東洋経済, 2024)が、未だ「イクスタンジ」後を埋めるだけのポートフォリオには至っていない。短期のみならず、中長期で売上高を維持できるだけの新薬候補の確保が求められている。

その他、国内水平合併型では、国内売上11位の住友ファーマが約3,549億円の営業赤字に転落するなど、厳しい経営環境に陥るケースが見られる一方、同4位の第一三共は、抗体薬物複合体(ADC)を活用した事業展開により、時価総額が伸びた(国内2位)。各社の今後の行方が注目される。

5.4  武田薬品工業(海外買収型):「協調」から「支配」へ

武田は、1781年創業、国内売上高は、第1位(2023年度)。期初の戦略的提携は、69件、提携関係会社比率(ASは、国内大手で最も高い協調度(2.88)を示し、戦略的提携による「協調」を軸とする企業だった。国際戦略品(リュープリン等4品)がブロックバスターとなり、2002年、医療用医薬品売上高が初めて1兆円を超えた。しかし、2000年代に入り、武田は、国際戦略品が特許切れとなる「2010年問題」解消のため、海外買収型の戦略に転換し、次々と海外SUを買収した(表8参照)。海外大手の「垂直統合型モデル」を追従したと考える。このうち、特筆すべきは、2008年のミレニアム(米国)と2018年のシャイア(アイルランド)の買収である。中尾(2021)表9参照)によると、武田の代表的な海外売上高上位9品目のうち、3品目がミレニアム、2品目がシャイアが起源となっており、5品目の海外売上高(2019年度)は、総額1.46兆円と総売上の半分弱を占める。武田の海外買収型の戦略は、有利子負債の増加、M&A後の人材流出などの負の側面もあるが、少なくとも「支配」による外部資源の獲得が武田の売上高確保、競争優位性の獲得に寄与した、と考える。

表8 武田の行った主なクロスボーダーM&A

買収年度 被買収企業(所在国・買収概算金額)
2004 シリックス(米国・280憶円)
2006 パラダイム(英国・非公表)
2007 アムジェン日本法人(米国・900億円)
2008 ミレニアム(米国・0.9兆円)
2009 IDM(米国・52億円)
2011 ナイコメッド(スイス・1.1兆円)
インテリキン(米国・2億US$+マイルストン※)
2012 URLファーマ(米国・8億US$
リゴサイト(米国・0.6億$+マイルストン※)
エンボイ(米国・1.4億US$
マルチラブ(ブラジル・1.5億円)
2013 インビラジェン(米国・0.35億US$+マイルストン※)
2016 アリアド(米国・0.62兆円)
2018 シャイア(アイルランド・6.8兆円)
ティジェニクス(ベルギー・710億円)
2021 マーベリック(米国・非公表)
2022 ニンバス(米国・0.55兆円)

(注)※ マイルストン:開発進捗に伴う支払金

(出所)武田の有価証券報告書、WEBサイト等から筆者作成

表9 武田の代表的な海外売上高上位製品一覧(抜粋)

製品名 主要疾患領域 モダリティ 海外売上高・上市年
(2019年度:億円)
起源
エンティビオ 消化器系 抗体 3,411・2014年 ミレニアム
ガンマガード 免疫不全 血漿分画製剤 2,987・1994年 バクスター
ビバンセ 精神疾患 低分子 2,737・2007年 シャイア
アドベイド 血友病 タンパク製剤 1,508・2003年 バクスター
ベルケイド 抗腫瘍薬 低分子 1,183・2003年 ミレニアム
ニンラーロ 抗腫瘍薬 低分子 728・2015年 ミレニアム
トリンテリックス 精神疾患 低分子 703・2014年 ランドベック
Takhzyro 血管性浮腫 抗体 683・2018年 シャイア
リュープリン 抗腫瘍薬 ペプチド製剤 683・1985年 自社

(出所)中尾(2021)より武田分を筆者が抽出・加筆。

なお、武田には、戦略的提携による「協調」を「支配」の準備・前捌きに活用した例がある。海外企業とインフォーマルな関係を構築した上で、有望な新薬候補を有すると判断した場合、フォーマルな「協調(共同研究、ライセンス契約など)」、出資を行い、さらに、新薬実用化の可能性が高まった場合、買収で内部化し「支配」する。パーキンソン病等の有望な創薬候補を有するエンボイ・セラピューティクス(米国)は、その好例のひとつで、武田は、2009年、子会社のCVC、武田ベンチャー投資を通じ出資した後、2010年、中枢神経分野の共同研究(共創)を開始、その経過が良好だったことから、2012年、約1億4000万ドルで買収した。これは、「支配」に向けて「協調」を活用した、両者を相互補完させた事例である。

以上のように、武田は、外部資源の獲得にあたり、数多くの国境を越えた「協調」を活用しながらも、2004年以降、戦略を転換し、M&Aを多用し、海外企業の外部資源を内部化し、「支配」する戦略をとった事例と考える。武田は、新薬・新薬候補の不足、ROEの低下などから、必ずしても市場の評価は高くない。2024年、サンディエゴの研究拠点を閉鎖するなど、さらなる事業再構築を進めており、市場の評価を得られるような、競争優位性を獲得できるか、今後の行方が注目されている。

6.  分析結果と考察

6.1  RQ1に係る考察

RQ1:日本の製薬企業において、国際戦略的提携による「協調」の重要性は高まっているか、「協調」では、内部資源を補う「補完」、相互に内部資源を持ち寄り、学習する「共創」、内部資源を託す「拠出」、いずれを重視しているのか、について考察する。

まず、定量的分析の結果、日本の製薬会社は、期初から期末まで300件超の戦略的提携を有し、その8割超を国際戦略的提携が占める。国境を越えた「協調」が多い背景は、①国内の創薬エコシステムが脆弱で、「協調」「支配」する価値のある相手(国内SU等)が未だ限られていること、②ナレッジベースが分散化し、有望な外部資源が世界中に点在するため、模倣困難性(I)、希少性(R)の高い画期的な知識、新薬候補について、国境を越えて探索し、獲得・活用する必要性、重要性が高まっていること等がある。

ここで、「協調」相手として、模倣困難(I)で稀少(R)で有望な内部資源を有する海外SUの重要性が高まっている。定量的分析から見ると、海外での提携先は、海外大手から海外SUに大きくシフトしている。定性的分析から見ると、海外拠点がない小野にとって、海外SU(メダレックス)との共同研究(共創)なしに、「オポジーボ」の米国での開発は困難だった。アステラスの「イクスタンジ」は、海外SU(メディベーション)が有する開発後期の新薬候補を技術導入で、不足する内部資源を「補完」した。両者は「協調」により、自社売上の半分超を占める有望な外部資源を確保した好例である。

また、海外大手との「協調」は、定量的分析によると、総数が約3割減少しているものの、定性的分析を見る限り、その重要性は、引き続き高い。中外は、ロシュとの包括的な連携の下、多様な「協調」(ロシュ新薬の「補完」、中外新薬の「拠出」、両者による「共創」)を活用し、財務指標が大幅に改善、成長し、国内第1位の時価総額となった。また、小野の「オポジーボ」の薬事承認には、海外大手(BMS)との共同開発が不可欠であり、海外展開には、技術導出した拠出先(BMS)の販路を活用し、大きなロイヤリティを獲得した。

以上のことから、日本の大手製薬企業にとって、海外SU、海外大手との「協調」を中心とする国際戦略的提携の重要性は、以前にも増して高まっている、と考える。

次に、「協調」における「補完」「共創」「拠出」を分析・考察する。定量的分析から見ると、「拠出」のOUT型が半減(技術導出減、販売委託減)、「補完」のIN型が微増(販売受託数減少を技術導入数増が相殺)したのに対し、「共創」のCO型は、倍増した(共同研究、共同開発の増加)。そのうち、国際戦略的提携は、「拠出」減少分の9割を占めたが(海外への技術導出が大幅に減少)、「補完」は、国内減少分を海外増加分で補い、海外の有望な外部資源の獲得が増えた。「共創」増加分の約6割が国際提携であり、国境を越えた「共創」が増えた。このように、日本の製薬企業は、知識などの内部資源を相互に持ち寄り、組織間学習を行い、新たなイノベーションを創出する「共創」を、国境を越えて強化している。

一方、定性的分析から見ると、画期的新薬につながるような新薬候補や創薬基盤技術は、模倣困難で(I)、稀少(R)であり、世界各地に点在している。オポジーボ、イクスタンジ、ロシュ・中外の例では、日本の製薬企業が、国内外の競合他社に先駆け、有望な外部資源を海外に見出し、「協調」を形成した。小野、中外は、海外提携先と国境を越えて、双方の知識を持ち寄り、「共創」を上手くマネジメントし、新たなイノベーションを創出した。戦略提携は、新しい知識の創造が行われる「共同創造」の段階に到達することによって、真に意味のあるものになる(野中, 1991)。「共創」を通じ、模倣困難で(I)、稀少(R)な内部資源を相互にインプットし、組織間学習を通じ、シナジー効果を生み、スキルや能力の獲得・創造できるようになり、企業の企業価値創造へとつながっていく(桑名, 2011)。

なお、「拠出」について、小野のオポジーボのような画期的新薬であれば、海外販路がなくとも、技術導出により多額のロイヤリティも確保できる。また、中外は、提携により、ロシュへ技術導出し、その海外販路を活用できることとなった結果、販売管理費が大幅に圧縮され、営業利益率は、約40%に達する(東洋経済, 2024)。したがい、日本の製薬企業にとって、自社の関係会社による「支配」に頼ることなく、「拠出」により海外展開を図るのも、競争優位性を獲得するための有効な手段の一つになると考える。

以上のことから、日本の製薬企業にとって、国際戦略的提携の重要性は、以前にも増して高まっており、「協調」の中では、「補完」「拠出」よりも、「共創」を活用している。「補完」による内部資源の強化、「支配」を代替する「拠出」の活用も、重要な役割を持つ。

6.2  RQ2に係る考察

RQ2:日本の製薬企業において、内部資源による「支配」に比して、国際戦略的提携による「協調」が競争優位性の獲得に寄与しているのか、について考察する。

「支配」を示す関係会社には、自社内部資源により設立した拠点と、M&Aによる被買収企業の拠点が含まれる。一般的に、M&Aは、拠点、人材、研究基盤等の外部資源を短期で速やかに獲得し、内部資源化ができるメリットがあるが、大きなコスト、不可逆性などのデメリットがある。高コスト、不可逆性は、自社による拠点設立にも該当し、設置後の変更が難しく、フレキシビリティが低いのが「支配」の特徴といえる。一方、「協調」を示す戦略的提携は、M&Aほど迅速ではないが、相対的に低コストで柔軟性がある。

ここで、「支配」を示す関係会社数と、「協調」を示す戦略的提携数を比較すると、日本の製薬企業の提携関係会社比率(AS海外提携関係会社比率(OASは、期初は、いずれも高く、戦略的提携による「協調」を積極的に活用し、外部資源を獲得したことを示す。その後、戦略的提携数の水準・総数に大きな変化はないが、海外大型買収等により関係会社数が大幅に増加し、AS、OASともに0.7まで低下、協調度は低下した。

次に、戦略類型別に「支配」と「協調」を比較する。国内水平合併型の場合、戦略的提携数は、期中に一度減少したが、期末に期初の水準を回復した。しかし、協調度は常に低く、戦略的提携を優先的に活用しているとは言い難い。海外でも協調度は低い(OAS:期中0.59➡期末0.73)。協調度が低い要因として、他の戦略類型に比して、国内の整理統合に時間を要したことに加え、海外企業買収(表10参照)による「支配」を合併後の新たな選択肢に加えたことが挙げられる。今後、海外買収先の外部資源を活かすことができるかどうか、が競争優位性に大きな影響を与える。アステラスの海外買収拠点閉鎖の例を見ても、被買収企業の内部資源化、画期的新薬の実現は容易ではない。今後、競争優位性の獲得に「支配」「協調」をどのように活用していくのか、国内水平合併型企業の戦略の選択が注目される。

表10 国内水平合併した日本企業による主な海外企業買収

合併時期 合併後新会社 買収年 買収した海外企業(国名)
金額・目的
2005年 アステラス製薬 2010年 OSI Pharmaceuticals(米国)
約3,700億円・がん領域強化
2005年 第一三共 2008年 U3 Pharma(ドイツ)
約245億円・がん抗体技術獲得
2005年 大日本住友製薬 2009年 Sepracor(米国)
約2,500億円・事業基盤拡大
2007年 田辺三菱製薬 2017年 NeuroDerm Ltd(イスラエル)
約1,241億円・中枢神経系疾患薬強化
2008年 協和発酵キリン 2023年 Orchard Therapeutics(英国)
約707億円・遺伝子治療技術獲得

(出所)各社有価証券報告書、WEBサイトから筆者作成

一方、海外包括連携型の場合、当初大きな変化はなかったが、期末に戦略的提携が急増した。2001年の包括的な連携の結果、戦略的提携の約6割(23件)をロシュとの提携が占める。AS、OASともに倍増し、協調度が大幅に高まっている。中外は、今後も「支配」を選択することなく、「協調」戦略を継続するであろう。

ここで、「支配」と「協調」の差異、競争優位性の獲得との関係性などを確認するため、「支配」を軸とする海外買収型の武田と、「支配」をほぼ活用せず、「協調」を軸とする独立連携型の小野の事例を比較する。戦略的提携については、武田に大きな変化がなかった(期初➡期末:69件➡73件)が、小野は倍増させた(同:23件➡49件)。一方、関係会社については、武田が約6倍(同:24件➡146件)と著しく増やしたのに対し、小野はほぼ変化がない(同:8か所➡7か所)。その結果、小野のACは、武田と比して、期初、同値(2.88)だったが、期末、武田の約14倍となった。さらに、小野のOACは、期中、武田の約8倍であったのが、期末に同20倍超と著しい伸びを見せる。

この背景には、武田の「支配」(海外企業買収)による関係会社の急増にある。武田の関係会社数をみると、ナイコメッド(スイス)の買収を行った2011年は、126社(前年度比+79社)、シャイア(アイルランド)の買収を行った2018年は、343社(同比+231社)と著しく増加し、協調度は著しく低下した。他方、小野は、内部資源による「支配」ではなく、「協調」による海外展開を徹底する戦略を選択、実行し、大手11社の中で最も高い協調度を示す。

ここで、武田と小野の財務指標(表11参照、2023年度)を比較すると、武田の売上規模は、小野の約8倍であるが、小野の売上高営業利益率、ROEは、武田の約6倍、約8倍であり、利益率は、小野の方が著しく高い。財務指標から見る限り、小野の「支配」を活用せず、戦略的提携を軸にした「協調」に特化した戦略が競争優位性の獲得に寄与している。

表11 事例研究対象企業の財務指標(2023年度、[]内は国内大手11社における順位)

分類 社名[売上高] 売上高営業利益率 自己資本利益率(ROE) 時価総額(百万円)
海外買収型 武田[1位] 5.0%[9位] 2.11%[9位] 6,581,708[3位]
国内水平合併型 アステラス[3位] 1.6%[10位] 1.10%[10位] 3,085,475[5位]
海外包括連携型 中外[5位] 39.5%[1位] 21.34%[1位] 11,283,267[1位]
独立連携型 小野[7位] 31.8%[3位] 16.68%[2位] 952,004[9位]

(出所)各社WEBサイト、日本経済新聞WEBサイト(2024)10から筆者作成。

一方、武田は、海外企業の買収による効果(海外発売有望薬の4割が買収先の起源等)を確実に享受しているものの、大型買収による有利子負債の急増と、それに伴う部門売却などの集中と選択、次の稼ぎ頭となるような画期的な新薬・新薬候補の確保に苦労する状況を鑑みると、数々の海外買収が財務改善に大きく寄与しているとはいえない。また、2014年から始まった研究の集中と選択の中で、現在、注目を集める肥満症薬11の領域を手放した。研究の集中と選択、重点疾患領選定の難しさが窺われ、結果、小野との財務指標の大きな差異(表11参照)が生じている。

さらに、「支配」を軸とする武田と、「協調」を軸とする中外との差異は、小野以上に大きい。中外は、海外大手(ロシュ)との包括的な連携により、新薬の開発費、販管費などのコストを低減し、メガ新薬で売上、利益を確保し、抗体等の自社創薬力を活かした結果、売上高営業利益率、ROEは、武田の約8倍、約10倍であり、時価総額は2倍に迫る勢いである。中外は、ロシュの傘下に入ってからも、自社の技術を中心とし、疾患領域を限定せず、医薬品を開発する「技術ドリブン」な研究戦略をとった結果、約5,600億円(2028年)の年商が予想される画期的な肥満症薬を見出すことができた(東洋経済, 2024)。

以上のことから、定量的分析に加え、戦略的提携による「協調」を活用する国内合併型(アステラス)、海外包括連携型(中外)および独立連携型(小野)の事例と、「支配」を軸とする海外買収型(武田)の事例の定性的分析を行い、それらを比較・分析・考察した結果、日本の製薬企業において、戦略的提携による「協調」は、内部資源による「支配」に比して、より高い有効性を示し、競争優位性の獲得に寄与している。

6.3  RQ3に係る考察

RQ3:日本の製薬企業が、国際戦略的提携を成功に導くために、重要な要素は何か、について考察する。

戦略的提携を成功に導くには、信頼関係(Barney, 2002)、自社能力の経営戦略的な理解、パートナー企業の能力等の調査・分析、トップマネジメントのコミットメント(松行, 1996)、知識の移転する組織的プロセス、とナレッジ・マネジメントの効果的な実行・利用を促す組織風土(Inkpen and Dinur, 1998)等が重要となる。

国境を越えた戦略的提携について、安田(2016)は、外国企業との組織文化の相違がアライアンス運営に負の影響を与える一方、外国企業の多様性(パートナー間多様性)が新知識の創出に正の影響を与え、アライアンスの成果に寄与するという。桑田(2011)は、グローバル・アライアンスのマネジメント・プロセスを形成、ガバナンス、進化の3段階に分け、形成段階では、パートナーの決定が最も重要で、相互補完性と親和性が鍵となる(Kale and Singh, 2009)。ガバナンス段階では、コミットメント、信頼関係の構築、コンフリクト解決のメカニズムが必要となる(Kale and Singh, 2009)。アライアンスを長期で価値あるものにするには、共同学習によって、進化させることが重要となる(Doz and Hamel, 1998)。そして、組織間学習により、新たなスキルや能力を獲得し、新たなスキルや能力を共同で創出し(共創)、提携を進化させるマネジメントが求められる(桑田, 2011)。同時に、提携パートナーからいかに知識獲得を進めるかという提携能力が重要となる(今野, 2007)。

それでは、医薬品産業の場合、国際戦略的提携を成功に導くには、さらに、どのような要素が重要だろうか。提携相手にとって、自社の内部資源を「補完」しうる新薬候補や、「共創」により、組織間学習を行うことで、新たなイノベーションを創出しうる内部資源・ケイパビリティを有する製薬企業が魅力的な提携先になる。つまり、よりよい戦略的提携を締結するためには、自社内に模倣困難で(I)、稀少(R)で、優れた内部資源・ケイパビリティが必要となる。特に、「共創」では、中長期的な協業の中で、画期的な新薬・新薬候補、創薬基盤技術の創出、進化が見込まれる相手でなければ、提携をする意味はない。

ということは、自社の模倣困難で(I)、稀少(R)な内部資源・ケイパビリティ、すなわち、医薬品産業での「創薬力」が戦略的提携による「共創」には必要となる。ロシュとの包括的な連携で競争優位性を高める中外は、他社が撤退する中、抗体医薬の開発を続け、その「創薬力」を蓄積していた。さらに、多くの製薬企業が重点疾患領域を絞り込む中、中外は、ロシュ傘下になってからも、疾患領域を限定せず、自社の技術を活かし、創薬に取り組む「技術ドリブン」な研究戦略をとり、その結果、通常成功確率が7割程度の開発最終段階で、新薬候補5品目すべての製品化に成功した(東洋経済, 2024)。また、小野は、京都大学との共同研究、特許共同出願により、オポジーボに係る研究基盤を確保していた。この基盤が海外企業にとって魅力的な、小野の内部資源・ケイパビリティとなった。

これらのことから、日本の製薬企業が国際戦略的提携を成功に導くためには、信頼関係、相互の能力把握、組織間学習、経営陣のコミットメント、パートナー間多様性の活用などに加え、適切に提携を形成、マネジメントする能力が必要となる。加えて、模倣困難で(I)、稀少(R)で、他社にとって魅力的な内部資源・ケイパビリティ、「創薬力」が必要となる。

7.  本稿の限界と今後の課題

本稿では、「経営上の重要な契約」というフォーマルな企業間結合に焦点を当てたが、アカデミア発のシーズを実用化することが多い医薬品産業の産業特性を鑑みると、アカデミアとのインフォーマルな関係構築も重要である。中村(2014)は、移動型知識と形式知はフォーマルなコミュニケーションによって、埋没型知識と暗黙知はインフォーマルなコミュニケーションによって、知識が移動することが多い、という。藤原(1990)は、知的所有権の早期発表という基礎研究の競争において、共同研究グループの形成は、公式(フォーマル)でオープンな場よりも、非公式で(インフォーマル)クローズドな機会の方が、より発生しやすいという。インフォーマルな「協調」のさらなる分析・考察が求められる。

次に、事例研究の中で、武田が「協調」を「支配」の準備に利用する、両者が相互補完となる例が見られた。池上(2019)は、「協調」するクロスボーダー・ラインアンス(国際戦略的提携)のアライアンス・ガバナンス、「支配」するクロスボーダーM&Aの買収後統合(PMI)両者の研究が相互補完となる可能性を示唆する。とすれば、日本の製薬企業の「支配」と「協調」に相互補完性はあるのか、についても、分析・考察が必要と考える。

また、桑田(2011)によると、グローバル・アライアンス(国際戦略的提携)のマネジメント・プロセスでは、形成段階以上に、ガバナンス段階、進化段階におけるマネネジメントがより重要であり、組織間学習による「共創」など、戦略的提携をさらに進化させることが重要である。本稿においては、形成された戦略的提携そのものを分析対象としたが、マネジメント段階、進化段階における提携のマネジメント能力について、さらなる分析、考察が求められる。

最後に、戦略的提携を分析・考察する理論について、本稿では、内部化理論、TCE、RBV、KBVなどを取り上げたが、リアル・オプション理論、ネットワーク理論などの理論に基づく分析・考察も、新たな切り口から、戦略的提携を分析・考察するのに有用と考える。

1  モダリティとは、抗体、核酸など、バイオ医薬品における基盤技術のこと。

2  薬事制度の国際的調和とは、欧米での臨床試験データを日本でも活用できるよう、主に日米欧地域の医薬品承認審査の基準を合理化・標準化すること。

3  一部の企業では、有価証券報告書の「6 研究開発活動」内に戦略的提携と考えられる記載があり、戦略的提携として定量的分析に計上しているケースがある。

4  時価総額は、日本経済新聞WEBサイト(2024)を参照。田辺三菱のみ、2019年度概算を記載。

5  2003年度は、佐藤(2004)のデータを元に集計したが、国内水平合併型の企業については、合併前企業両社の数値を合計した。

6  「経営上の重要契約」がいずれの価値連鎖に属するかは、有価証券報告書の記載に従うが、複数の機能が記載されている契約は、最も上流の機能に分類する。

7  国内大手製薬企業で、当時、バイオ医薬品の研究開発を継続したのは、中外、協和発酵工業、キリンファーマの3社だけであった。

8  ブロックバスターとは、一般的に年商10億ドル以上の医薬品を指す。

9  パテントクリフとは、特許切れにより、後発品(ジェネリック)が登場し、売上が激減すること。

10  ROE、時価総額は、日本経済新聞WEBサイト(2024)を参照。

11  ピーク時の年商は、イーライリリー「ゼップバウンド」が3.9兆円、ノボノルディクス「ウゴービ」は2.6兆円と予想される(東洋経済, 2024

参考文献
  • Badaracco, J. L. (1990) The knowledge link, Boston: Harvard Business School Press.(中村元一、黒田哲彦訳『知識の連鎖』ダイヤモンド社、1991年)。
  • Barney, J. (2002) Gaining and Sustaining Competitive Advantage, NY: Price Hall.(岡田正大訳『企業戦略論』ダイヤモンド社、2003年)。
  • Buckley, P. J., & Casson, M. (1976) The future of the multinational enterprises, Macmillan.(清水隆雄訳『多国籍企業の将来[第2版]』文眞堂、1993年)。
  • Doz, Y. L., & Hamel, G. (1998) Alliance advantage: the art of creating value through partnering, Boston: Harvard Business School Press.(和田正春訳『競争優位のアライアンス戦略:スピードと価値創造のパートナーシップ』ダイヤモンド社、2001年)。
  • Fayerweather, J. (1969) International business management: a conceptual framework, MaCraw-Hill.(戸田忠一訳『国際経営論』ダイヤモンド社、1975年)。
  •  藤原 孝男(1990)「バイオテクノロジー医薬品での戦略的提携」『経営会計研究』54、pp.51–78、愛知大学経営研究所。
  •  Grant,  R. M. (1991) Resource based theory of competitive advantages: Implication for strategy formulation. California Management Review, Spring, 1991, pp.114–135.
  • Hamel, G., Doz, Y. L., & Praharad, C. K. (1989) Collaborate with your competitors and win. Harvard Business Review, June-February.
  •  Herriott,  R. E., &  Firestone,  W. A. (1983) Multisite qualitative policy research: optimizing description and generalizability. Educational Researcher, 12, pp.14–19.
  • Hubbard, N. A. (2013) Conquering global markets: secrets from the world’s most successful multinationals, Palgrave, Macmillan.(KPMG監訳、高橋由紀子訳『欧米・新興国・日本16か国50社のグローパル市場参入戦略』東洋経済新報社、2013年)。
  • Hymer, S. (1960) The international operation of national firms: a study of direct foreign investment, doctoral dissertation, MIT.(宮崎義一編訳『多国籍企業論』岩波書店、1976年)。
  • 平井浩之(2002)『日米欧製薬企業のアライアンス~主要企業にみるアライアンスの分野と形態』政策研レポートNO.4、9月。
  • 池上重輔(2019)「クロスボーダーM&Aとクロスボーダー・アライアンスの統合マネジメント」『国際ビジネス研究』11巻(2019)2号、pp.1–13。
  • 石井真一(2004)『企業間提携の戦略と組織』中央経済社。
  • 入山章栄(2019)『世界標準の経営理論』ダイヤモンド社。
  •  Inkpen,  A. C., &  Dinur,  A. (1998) Knowledge management process and international joint ventures. Organization Science, VOL.9, No.4, Jult-August, pp.454–468.
  •  Kale,  P., &  Singh,  H. (2009) Managing strategic alliances: what do we know now, and where do we go from here?. The Academy of Management Perspectives, 23(3), pp.45–62.
  •  桑田 義晴(2011)「グローバル・アライアンス戦略のダイナミズム―競争優位の構築の視点から―」『桜美林経営研究』第2号(2011年度)、pp.15–30。
  • 厚生労働省(2022)「医薬品産業ビジョン2021」。
  • 国内大手製薬企業各社(2024)WEBサイト、有価証券報告書、年次報告書など。
  •  小久保 欣哉・ 新藤 晴臣(2011)「日本の製薬企業による国際展開に関する考察:海外企業とのアライアンスと保有資源の視点から」『国際ビジネス研究』4(1)、pp.81–93。
  •  今野 喜文(2007)「イノベーション創出と提携能力の構築:戦略的提携と知識ベース・アプローチとの関わりから」『三田商学研究』、Vol.50、No.3(2007)、pp.365–383。
  •  中尾 朗(2021)「国内主要製薬企業の海外売上高上位製商品の特徴」『政策研ニュース』、No.62、pp.70–78。
  • 中村裕哲(2014)「戦略的提携による海外市場参入」『商学研究第55巻第1号』pp.39–76。
  •  永山 治(2007)「技術力をベースにしたグローバルな戦略的アライアンス」『經營學集』77(0)、pp.64–68、日本経営学会。
  • 日経ビジネス(2024)「小野薬品、売り上げ6割消失危機「オプジーボ」の特許切れ迫る」、電子版、2024年10月14日10;40時点参照。
  • 日本経済新聞(2021)「AI創薬がコロナでも活躍 薬候補特定、数年が数日で」、7月16日。
  • 日本経済新聞(2024)「アステラス製薬、再び迫る特許の崖 大型買収で負債5倍」、7月18日。
  • 日本経済新聞WEBサイト(2024)日経会社情報DIGITAL(2024年9月15日9:40時点)
  • 日本製薬工業協会(2022)「てきすとぶっく製薬産業2022–2023」。
  •  野中 郁二郎(1991)「戦略提携序説―組織間知識創造と対話」『Business review』一橋大学イノベーション研究センター編 38(4)、pp.1–14。
  • 野中郁二郎・竹内弘高(1996)『知識創造企業』‎東洋経済新報社。
  •  松崎 淳一(2013)「バイオ医薬品産業の現状と課題」『生物工学』第91巻、第9号、pp.495–498。
  •  松行 彬子(1996)「戦略的提携における知識連鎖と相互浸透」『三田商学研究』、Vol.39、No.1、pp.107–124。
  • Rugman, A. M. (1981) Inside the multinationals, Croom Helm.(江夏健一・中島 潤・有沢孝義・藤澤武史訳『多国籍企業と内部化理論』ミネルヴァ書房、1983年)。
  • 佐藤拓(2004)「医薬品産業における企業間提携:川上におけるインフォーマリティと川下におけるフォーマリティの重要性」企業家養成コース研究成果集、法政大学大学院経営学専攻。
  •  Shuman,  J. C., &  Twombly,  J. M. (2010) Corporative networks are the organization: an innovation in organization design management. The journal for decision makers, Vikalpa, 35(14), pp.1–13.
  • 東洋経済(2024)「特集 製薬サバイバル」『週刊東洋経済』第7197号、10月5日、東洋経済新報社。
  • 徳田昭雄(2000)『グローバル企業の戦略的提携』ミネルヴァ書房。
  •  富田 健司(2010)「日米製薬企業間の戦略的提携における信頼構築」『組織化学』Vol.43 No.3、pp.18–32。
  • Williamson, O. E. (1975) Markets and hierarchies: analysis and antitrust implications, Free Press.(浅沼万里・岩崎 晃訳『市場と企業組織』日本評論社、1980年)。
  • 安田洋史(2006)『競争環境における戦略的提携~その理論と実践~』NTT出版。
  • 安田洋史(2016)『新版 アライアンス戦略論』NTT出版。
  • Yin, R. A. (1994) Case Study Research: Design and Methods, Second Edition, Sage publications Inc.(近藤公彦訳『新装版 ケース・スタディの方法』千倉書房、1996年)。
  • Yoshino, M. Y., & Rangan, U. S. (1995) Strategic alliances: an entrepreneurial approach to globalization, Boston: Harvard Business School Press, 1995.
 
© 2025 法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
feedback
Top