森林は多くの利益を私たちに提供している。昨今、気候変動が深刻化するなかで、特に自然災害は森林や付随する林道設備等に対して多大な影響を与えるものであり、これとの関連を分析しておくことは、インフラとして重要な役割を担っている林道を考察する上で必須の課題であると考えられる。そのためには自然災害の種類、発生頻度、災害規模などについて過去からの傾向を調べる必要がある。本稿では62年間にわたる自然災害の推移、林道災害復旧工事歳出額などについて調べ、その相関関係を示した。それは降雨量に強い傾向があることが示唆された。また、林野庁の提供資料から、14年間にわたる国有林林道災害リストの林道のほぼ中央位置を割出し、災害発生日の降水量を調べ、その傾向を調査した。その結果、日降水量の合計50mmから150mmに対して、1時間降水量の最大は、特に10mmから35mm付近に集中し、このような要因の降雨イベントから林道災害の危険が高まり、近年の林道災害復旧工事歳出額が大規模化する可能性を示唆している。