2025 年 22 巻 p. 175-205
本研究は、アルプス電気の盛岡事業部によるリストラと事業停止によって輩出されたスピンオフ現象を取り上げる。40社超のスピンオフのほとんどが生存をし続け、その中のいくつかは成長をしている。本研究は、それらスピンオフが20年超に渡って形成してきたスピンオフ・ネットワークを、過程追跡法に従って分析した。そのネットワーク形成と発展のプロセスは、アンカー企業の事業と組織文化(前提)、リストラによる一期スピンオフ出現(第一段階)、事業停止による二期スピンオフ出現(第二段階)、スピンオフ間インタラクション(第三段階)、スピンオフネットワークの発展(成果)であった。アンカー企業時代に刷り込まれた能力やルーチンをスピンオフが活用するという二次的刷り込みが起こり、分業や共同製品開発の際には、その能力やルーチンが更新されていった。