本研究は、日本の地域振興モデルを模索し、特に農水産業を起点とした地域振興のあり方を検討する。イタリアのテリトーリオモデルを参考にしつつ、日本の農村の現状に即した日本型テリトーリオの構築を目指す。イタリアのテリトーリオモデルは、農村コミュニティと市場経済の交易層が相互に支え合い、地域の持続可能な発展を促進するボトムアップ型のアプローチを特徴とする。他方、日本では農村コミュニティが必ずしも確立しておらず、政策的支援も限定的であるため、イタリアのモデルをそのまま適用することは難しい。そこで本研究は、鹿児島県大隅地域を事例に、農水産物生産者と第2セクターのアクターとの協力関係や互酬的な取引関係に着目し、地域ブランドの形成やコミュニティ意識の醸成を通じた持続可能な地域発展の可能性を探る。政策的には、こうした自律的な地域農村コミュニティの支援、およびネットワーク形成や販路開拓の促進が重要であることが示唆される。