抄録
3次元動作分析システムを用いて1名の片麻痺者(下肢Br.stage 4,発症後18週)の歩行を計測し,結果を正常歩行と比較しながら片麻痺歩行に共通した特徴について述べる。計測項目は,体重心の動き,麻痺側と非麻痺側の床反力,関節角度,関節モーメント,関節パワーである。正常歩行では両脚支持期に低い位置にあった体重心が単脚支持期に向けて上昇していくが,片麻痺者の麻痺側接地時にはこの動きが見られない。これは麻痺側の接地時に足関節背屈筋と股関節伸展筋の活動が正常に行われないことが原因と考えられる。これらのことから,非麻痺側から麻痺側への体重移動の重要性について考察した。