理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
17 巻, 1 号
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特集
  • 山本 澄子
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2002 年 17 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/24
    ジャーナル フリー
    3次元動作分析システムを用いて1名の片麻痺者(下肢Br.stage 4,発症後18週)の歩行を計測し,結果を正常歩行と比較しながら片麻痺歩行に共通した特徴について述べる。計測項目は,体重心の動き,麻痺側と非麻痺側の床反力,関節角度,関節モーメント,関節パワーである。正常歩行では両脚支持期に低い位置にあった体重心が単脚支持期に向けて上昇していくが,片麻痺者の麻痺側接地時にはこの動きが見られない。これは麻痺側の接地時に足関節背屈筋と股関節伸展筋の活動が正常に行われないことが原因と考えられる。これらのことから,非麻痺側から麻痺側への体重移動の重要性について考察した。
  • 臼田 滋
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2002 年 17 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/24
    ジャーナル フリー
    脳血管障害者の理学療法において臨床動作分析は重要であるが,実施が困難な項目の一つである。本稿では,問題解決過程や理学療法の基本的な考え方,動作分析を行う際の展開と視点について説明する。加えて,理学療法効果を判定するためには標準化された評価尺度の活用が必要であり,代表的な評価尺度を紹介する。
  • 福士 宏紀
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2002 年 17 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/24
    ジャーナル フリー
    本稿では,歩行における運動制御について随意性と自動性の観点から概説した。まず随意性の高い運動の制御について「システムアプローチ」の視点から解説した。また自動性の高い運動の制御については,近年その役割がさらに明確にされてきている中枢性パターン発生器の機能を中心にして述べた。
  • 吉田 浩一
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2002 年 17 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/24
    ジャーナル フリー
    モーターコントロールのなかで述べられている診療の概念的枠組み,そこで用いられている課題指向型アプローチを最初に概説し,後半では実際歩行分析し診療につなげるために必要な戦略(strategy)レベルの概念および評価について述べた。
  • ─弛緩例を中心にして─
    古澤 正道
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2002 年 17 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/24
    ジャーナル フリー
    昨今,典型的なウェルニッケ・マンの肢位を示す脳卒中後遺症者は少なくなったようにみられる。歩行時に麻痺側骨盤,体幹,肩甲帯は弛緩し崩れる傾向が高い。脳梗塞例が増すにつれて,宮井等(1999)は皮質網様体脊髄路の活動が低下した状態と仮説を立てている。理学療法士は立脚相下肢の機能向上のため,腰腹部から殿筋の持続した抗重力の同時活動を強調する必要がある。遊脚相での下肢挙上のため,両側下部体幹の連動した筋収縮の改善が求められる。足部で生理的な支持面をえるために,脱感作と,感覚の再獲得が必要である。
  • 今井 基次
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2002 年 17 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/24
    ジャーナル フリー
    歩行の再教育は段階的,誘導的に課題を運動学習させることである。運動学習を効率良くする方法は深部感覚のセンサーを効果的に刺激できる抵抗を用いて促通することである。異常歩行は骨盤運動(前・後傾斜,側方傾斜,前・後方回旋)が制限されることが原因のことがある。PNF法による骨盤運動の促通法と歩行練習の関連性との重要性を説明する。
研究論文
  • 小林 修二, 森田 秋子, 水内 佐和子, 原 瑞穂
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2002 年 17 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は脳血管障害患者の機能回復過程を類型化し,その判別に関連する要因を明らかにし,それぞれの群の特徴を示すことである。対象は131名の片麻痺患者。MOAの短期回復群と長期回復群との判別に関連する要因は,MOA初期値,発症から入院までの期間,知的低下の有無の3要因で,長期回復群の特徴はMOA初期値が低いが発症から入院までの期間が短く,知的低下がないことであった。MFSの両群間の判別に関連する要因は,MFS初期値と年齢の2要因で,長期回復群の特徴はMFS初期値が低く年齢は50歳代と70歳代であった。BIの両群間の判別に関連する要因は,BI初期値,年齢,発症から入院までの期間の3要因で,長期回復群の特徴はBI初期値が低く発症から入院までの期間が長いが,年齢が若いことであった。
  • 浅賀 忠義, 斎藤 展士, 吉田 直樹, 浦上 大輔, 鎌田 幸司
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2002 年 17 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/24
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,低摩擦床面において歩行開始1歩目の動作がどのようにコントロールされているかを明らかにすることである。対象は,9名の健常者であった(年齢:22.6±3.0歳)。高摩擦床面と低摩擦床面において歩行開始1歩目の動作を,1枚のフォースプレートと動作解析システムを用いて測定した。その結果,1歩目の歩幅と遊脚肢の踵接地時から足底接地時までの時間差は,低摩擦床面では高摩擦床面の場合よりも有意に減少し,遊脚肢の外果と床面との最大垂直距離は低摩擦床面では高摩擦床面の場合よりも有意に増加していた。これらの知見から,低摩擦床面における歩行開始1歩目の動作は,歩幅を減少させ,足部を高く上げ,踵接地時はフットフラットになるようにコントロールされることが示唆される。
  • 藤本 亜耶, 内山 靖, 新谷 和文
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2002 年 17 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/24
    ジャーナル フリー
    慢性脳血管障害患者の在宅生活に重要な要素となる安全性について行動評価形式で評価することによって,動作の安全性にかかわる要素と安全性が及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。入院中の34例(平均年齢65.2±12.7歳)を対象に,車椅子駆動,移乗動作,歩行,トイレ動作の4動作における機能性と自己管理能力の評価を行い,理学療法士のみた安全性と比較するとともに実際の退院先との関連を調査した。さらに患者自身が感じている主観的安全性との比較,半側無視の有無による違いについても検討した。その結果,安全性は機能性よりも自己管理能力との関連が大きく,理学療法士のみた安全性が高い患者で実際に自宅退院が多くなっていた。また,PTによる安全性の評価と主観的安全性とは必ずしも相関せず,半側無視がある症例では自己の安全性を高く認識している傾向があった。以上のことから,理学療法評価においては機能性とともに自己管理能力を含んだ安全性の視点から評価を行うことの重要性が示唆された。
  • 長谷川 真人
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2002 年 17 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/24
    ジャーナル フリー
    1999年の世界理学療法連盟学会の日本開催をはじめとして,国際交流の重要性が注目されるなか,国内外において理学療法士の交流がいくつか行われているが,理学療法学生の範囲での交流状況は明らかでない。本調査では,インターネットを使用して,日本と海外諸国における理学療法学生の交流について,学生団体の有無,活動目的,活動内容を調査し,今後の展望について検討した。調査の結果,日本における理学療法学生団体や国際団体の存在は認められなかったが,いくつかの国によっては学生団体が存在し,インターネット等の活用により,有意義な活動を行っていた。理学療法分野における学生交流は,将来の理学療法士として学生の発達に有用であり,今後の日本における理学療法学生の国際団体の結成が早急に望まれる。
  • -筋電学的研究-
    藤村 昌彦, 河村 光俊, 奈良 勲
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2002 年 17 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/24
    ジャーナル フリー
    今回,9名の健常者を対象として持ち上げ動作時の重量物質量の変化が四肢体幹筋に及ぼす影響について調査した。実験では,筋電計を用いて筋積分値と%MVCを計測した。四肢体幹筋活動について重量物の質量の変化との関連について検討し以下の結果を得た。1)重量物を持ち上げる重量が大きくなれば脊柱起立筋,大腿直筋への負担よりも僧帽筋,上腕二頭筋への負担が大きくなることが示唆された。2)各筋の随意最大筋収縮時の数値と比較した結果,上腕二頭筋が大きい数値を示し,他方,大腿直筋の示す数値は小さかった。特に大腿直筋は,重量物の重量が増加しても%MVCに大きな変化は認められなかった。
  • -FIMを用いた検討-
    仙波 浩幸, 関口 毬子, 中山 均, 南雲 浩隆, 今村 陽子, 須田 美雅, 福田 典子, 阪田 薫, 関根 正幸, 菊地 善行, 橋本 ...
    原稿種別: なし
    専門分野: なし
    2002 年 17 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2002年
    公開日: 2002/07/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,慢性精神科病棟に入院する精神分裂病患者の日常生活動作について機能的自立度評価法(FIM)を用いて評価し,各日常生活動作項目の難易度,類似性や関連性,加齢による能力低下を明らかにし,日常生活動作の障害構造を究明することを目的とした。平成12年10月現在東京都立松沢病院慢性精神科病棟に入院中の精神分裂病患者478名のうち無作為抽出した男性36名57.9±10.1歳,女性95名58.6±12.6歳計131名を対象とした。日常生活動作の難易度を各項目の平均値および標準偏差から判断した。また,各項目の類似性や関連性はクラスター分析で求めた。その結果,18項目は3クラスターにわかれた。精神分裂病患者の日常生活動作の難易度や構造は,非精神疾患患者のそれらとは大きく異なり,運動機能と精神機能の間には深い関連があることが推測された。精神分裂病患者の日常生活動作の向上を図る方策として,3つのクラスター毎にそれぞれプログラムを作成する必要がある。
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