2003 年 18 巻 4 号 p. 235-239
本論文は訪問理学療法によりADL能力に改善を示した慢性期脳卒中患者の症例報告である。症例は75歳男性,失語症を伴う重度の右片麻痺を呈していた。発症後9ヶ月で自宅へ退院し,以後週2回の頻度で通院して外来でのリハビリテーションを継続していた。発症18ヶ月後の初回訪問時には大半のADLに中等度の介助を要していた。訪問理学療法は週1回の頻度にて開始した。訓練内容は主として非麻痺側下肢筋力強化と持久力訓練を行なった。介入から3ヵ月後には移乗動作や立ち上がり動作がほぼ自立し,1年後には軽介助での歩行が可能となった。以上のことから慢性期脳血管障害に対する訪問理学療法の有用性が示唆された。