抄録
立位で胸椎後彎し,身体重心が後方偏位している症例に対し,踵部を補高すると,脊柱伸展ならびに肩関節挙上角度が改善する印象をうける。本研究では,健常成人24名を対象とし,足関節角度を0°,10°底屈位,10°背屈位の3条件に変化させ,その角度変化が立位における矢状面での脊柱彎曲角度,骨盤傾斜度および立位肩関節挙上に及ぼす影響を立位姿勢タイプ別に検討した。立位姿勢は上半身重心と下半身重心の位置関係に着目して前方群,後方群,中央群の3群に分類した。その結果,全群にて3条件間で肩関節挙上角度は変化しなかったが,後方群では底屈位で,骨盤傾斜度と足圧中心位置が変化し,この骨盤傾斜度の変化が肩関節挙上時の骨盤と腰椎の運動に影響を及ぼした。