2005 年 20 巻 2 号 p. 93-98
市販されている3軸角速度センサを用い,臨床での動作分析に応用できるような簡単な角速度計測システムを構築した。3つのセンサを同時に接続可能ながらコンパクトなシステムであり,動作を拘束することなく計測可能なものとなった。計測例として,被験者の大腿,下腿,足部の3カ所にセンサを装着し,歩行時の下肢関節回りの角速度を導出した。計測結果は各関節の3次元空間の動きを忠実に反映したものが得られた。計測データより1歩行周期のデータを取り出してみると,一般的に知られている歩行時の二重膝作用や足部の内反や内転等の細かな動きまでとらえることが出来ていた。アナログデータをEXCEL形式のファイルに出力することも可能であり,細かな分析に対応できるものであると考えた。また,角速度から移動角度,角速度の算出も可能であり,必要とされる分析方法に柔軟に対応できると考えた。今後,計測データの効果的な分析手法の確立が必要と考える。