2006 年 21 巻 2 号 p. 185-189
今回,我々は携帯型呼気ガス代謝装置を用いて脳卒中片麻痺者に6分間歩行検査を施行し,短下肢装具(AFO)の有無が歩行能力ならびに歩行時エネルギー消費に与える影響について検討した。当施設に入所している歩行可能な脳卒中片麻痺者12名を対象に,AFOの装着あるいは非装着状態で6分間歩行検査を実施し,歩行距離と歩行速度をみるとともに,歩行時の酸素消費量(VO2)および心拍数(HR)を測定した。歩行時の運動エネルギー効率として1 mあたりのVO2とPhysiological Cost Index(PCI)を算出した。装具装着時と非装着時を比較すると,歩行距離・歩行速度および 1 mあたりのVO2で有意な差を認めた。また,非装着時と比較して装着時のPCIは低値を示した。運動障害を有する脳卒中片麻痺者はAFOを装着することにより歩行能力が向上し,歩行時のエネルギー消費において軽減することが示唆された。