抄録
本研究の目的は介護予防トレーニング前後における高齢者の歩行能力を三次元動作分析装置を用いて比較することである。27名の要介護高齢者に対して3ヶ月の介護予防トレーニングを実施し,廃用性疾患群,整形疾患群,中枢疾患群の各グループから1名ずつを被験者として抽出した。トレーニング前後において歩行速度,歩幅,ケイデンスなどの歩行パラメータ計測と三次元動作分析装置を用いた歩行分析を実施した。結果として,廃用性疾患群の被験者Aと整形疾患群の被験者Bに関しては歩行パラメータが大きく改善し,関節モーメントとパワーの波形パターンが健常者に近似した。中枢疾患群のCに関しては歩行パラメータに変化はみられず,トレーニングの前後で関節モーメント,パワーに変化はみられなかった。以上より,今後は中枢疾患者のトレーニングと効果判定の方法を更に検討する必要性が示唆された。