理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
研究論文
平行棒を使用した立ち上がり動作時の関節モーメントの分析
金田 有美子葛山 元基小林 武雅古谷 美帆吉田 大記成 命奇勝平 純司
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2006 年 21 巻 3 号 p. 227-232

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抄録
本研究の目的は,健常男性8名を対象に,理学療法士の指示が椅子からの立ち上がり動作の下肢関節モーメントに与える影響を3次元動作解析装置を用いた動作分析手法により明らかにすることである。理学療法士の指示は,free(対象者の任意で平行棒を使用して立つ),push(平行棒を押して立つ),pull(平行棒を引いて立つ)とし,臀部離床時の股関節,膝関節,足関節の各モーメントを測定した。平行棒を押すように指示した際の立ち上がりでは膝関節伸展モーメントが小さい値を示し,平行棒を引くように指示した際の立ち上がりでは膝関節伸展モーメント,足関節底屈モーメントが大きい値を示した。平行棒を押した場合,平行棒には上向きの反力が発生するため床反力ベクトルの鉛直成分は小さくなり,膝関節伸展モーメントが小さい値を示した。以上の結果から,患者の立ち上がり動作の際に理学療法士が平行棒を押すように指示することは,下肢関節への負担を減らし,安定した立ち上がりにつながると考えられる。
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© 2006 by the Society of Physical Therapy Science
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