抄録
本研究の目的は,側方へのステップ動作開始時における姿勢制御の加齢による変化を明らかにすることである。対象は健常成人女性20名(若年群10名:年齢24.3±1.8歳,中高年群10名:年齢60.6±3.7歳)とした。課題は側方へのステップ動作とし,ステップ側第5中足骨頭から10~20 cmの間(S10)および20~30 cmの間(S20)の2種類の距離を設定した。動作開始時における時間因子,足圧中心移動距離(CoP)および重心移動距離(CoG),肩および骨盤の移動距離と傾斜角度,両側の脊柱起立筋,中殿筋,長内転筋の各筋活動量を測定した。S10において,中高年群は若年群よりも体重移動時間,CoPのステップ側への移動,CoGの支持側への移動,肩の傾斜および肩・骨盤の支持側へ移動,両側脊柱起立筋の活動量が増加した。S10とS20の比較において,若年群では支持側中殿筋の活動量が増加し,骨盤はよりステップ側へ移動した。中高年群では支持側の中殿筋と長内転筋の活動量が増加したが,姿勢の変化は認めなかった。以上より,加齢にともない,一旦支持側へ身体を移動させることでより安全性を重視した姿勢制御戦略を用いている可能性が示唆された。