抄録
本研究は,第6頸髄(C6)損傷者における寝返り動作可否の要因を,3次元動作解析装置を用いて分析することを目的とした。C6損傷者11名を対象とし,寝返り動作時の力源である頭部と上肢の手関節の動きを分析した。寝返り可能群と不可能群における頭頂部の変位・速度・加速度が水平・鉛直・奥行き成分すべてにおいて可能群の方が有意に大きかった。手関節の変位・速度は水平・鉛直・奥行きの3成分において共に寝返り可能群の方が不可能群より有意に大きかった。加速度においては水平・鉛直成分でのみ寝返り可能群の方が有意に大きかった。このことから,C6レベルの寝返り動作において,肩関節屈曲方向に振る上肢の振りに続く,大きく・速く・強い頭頸部の動きが必要ではないかと考えられた。