2007 年 22 巻 1 号 p. 119-123
本研究の目的は,中学生サッカー選手における身長成長速度曲線の成長区分(phase)と下肢筋の柔軟性との関係について検討することである。対象は中学生男子サッカー部員107名とし,傷害の有無や身長成長速度,下肢筋柔軟性について調査・測定した。その結果,体幹・下肢に傷害のない70名のphaseの内訳は,phase I 4名(phase I群),phase II 28名(phase II群),phase III 38名(phase III群)であった。また,phase II群およびphase III群間で下肢筋柔軟性を比較した結果,phase III群の右腸腰筋,左大腿四頭筋,右ハムストリングス,左下腿三頭筋が有意に低下していた。これは,身長の成長促進現象に伴う骨および筋・腱の成長の不均衡の長期的な蓄積およびサッカーの競技特性のひとつであるキック動作が影響を及ぼしたものと考える。今後,縦断的に身長成長速度曲線と筋柔軟性の関係を検討していくことの必要性が示され,成長期スポーツ障害予防への関与の可能性が示唆された。