抄録
健常者28名を対象に,立位を保持させ左右両側を前方より他者が歩いて接近し通り過ぎていく視覚的外乱情報が提供される状況下で,平行支持台内に立つか平行支持台のない環境内に立つか,視線を固定するか自由とするかの各条件で,重心動揺を測定した。その結果,平行支持台の有無,視線条件の相違は重心動揺に影響しなかった。人が通ることを強く意識した群は,平行支持台がある場合に限って固定した視線に対する自由な視線の重心動揺面積が高値であった。以上より,健常者において人が通ることへの意識が高かった者は,視線を自由にすると周辺視野に入力される平行支持台の視覚情報も手伝って近づく人からの影響を受け,視線を固定したときよりも重心動揺が大きくなると考えられた。