2008 年 23 巻 1 号 p. 61-65
右視床出血により左上肢のComplex regional pain syndrome type 1(CRPS1)を呈した1症例に対し,Moseleyの運動イメージ・プログラム(Motor imagery program: MIP)を実施した。MIPは3種類の介入(1.手の左右認知,2.患手の運動イメージ,3.Mirror therapy)で構成されており,皮質ネットワークの賦活を目的としたものである。介入効果は一事例研究デザインにて検証した。結果としては,MIP実施期間に特異的な疼痛軽減が認められ,その効果はMIP終了後も持続していた。また患手の模写による身体図式の評価ではMIP後,より詳細な描写に変化した。これらのことからMIPは脳卒中後CRPS1患者の身体図式を変化させ中枢性の疼痛軽減効果を持つ可能性が示唆された。