理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
くぐり動作における身体接触の実証的研究
─発達障害児は物にぶつかることが多い─
島谷 康司田中 美吏金井 秀作大塚 彰沖 貞明関矢 寛史
著者情報
キーワード: 発達障害児, くぐり動作
ジャーナル フリー

2008 年 23 巻 6 号 p. 721-725

詳細
抄録

[目的]本研究の目的は,くぐり動作を用いて,発達障害児と健常児の障害物への身体接触を比較検証することであった。[対象]5~6歳の健常児と発達障害児,各9名を対象とした。[方法]課題は7種類の遊具と高さの異なる6つのバーを交互に設置したコースを通り抜けることであった。障害物との接触回避に関する注意喚起を与えない条件,接触回避を与える条件,そして接触回避および早く移動することを促す条件の3条件を設け,それぞれ1試行ずつ行わせた。[結果]発達障害児は健常児に比べて,条件に関わらず接触頻度が高かった。また,発達障害児は腰部の接触頻度が高かった。[結語]発達障害児の接触の多さは,注意の欠陥が原因ではないと考えられる。また,視覚フィードバックを随時利用して,接触しないようにくぐり動作を行うことが困難な状況において身体接触が多いことから,身体特性情報に基づく行為の見積もりの不正確さが,発達障害児の身体接触の多さの原因であることを示唆した。

著者関連情報
© 2008 by the Society of Physical Therapy Science
前の記事 次の記事
feedback
Top