理学療法科学
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Print ISSN : 1341-1667
原著
理学療法の学校教育における「卒業研究」に関する調査
佐々木 誠
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2009 年 24 巻 3 号 p. 317-321

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抄録

〔目的〕本研究の目的は,理学療法教育校における「卒業研究」の科目開設状況とその理由,卒業生における「卒業研究」についての認識に関して把握することである。〔対象〕対象は,理学療法教育校 231校ならびに3年制専門学校の卒業生113名であった。〔方法〕理学療法教育校において「卒業研究」の開設の有無とその理由,卒業生において「卒業研究」のカリキュラム上の位置づけ,卒後,役立っているかどうか,また,そうである理由を調査した。〔結果〕「卒業研究」は回答した教育校122校中90校で開設されていた。4年制教育校での開設が多く,3年制教育校での開設が少ない傾向があった。開設している理由として多岐にわたる回答があった。開設していない理由として,特に3年制教育校で時間的な制約を挙げ,その多くの教育校においては他の科目・方法で代用していた。卒業生の回答者47名中38名が「すべてのカリキュラムの中で必要であった」と回答した。知識を統合する学びの過程からの影響を認識できていた卒業生は,卒後,役立っていることに肯定的な回答をしていた。〔結語〕理学療法教育校は学習目的を学生と共有し,また,本科目の学習内容を卒後に反映させる,あるいは本科目を履修しなかった者の卒後教育を充実させるためには職場内研修,地域単位・全国レベルでの更なる取り組みが必要であると考える。

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© 2009 by the Society of Physical Therapy Science
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