理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
24 巻 , 3 号
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原著
  • 川田 教平, 山本 澄子
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 311-315
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,健常者の駆動中の身体運動を分析して,車いす片側下肢駆動の基礎データを得ることである。〔対象〕対象は健常者3名とした。〔方法〕自由駆動と背もたれ駆動の2条件の車いす片側下肢駆動動作を3次元動作解析装置VICON MXより計測した。〔結果〕2条件の駆動様式ともに骨盤と上部体幹は,水平面と前額面上で逆方向へ動く傾向を示した。背もたれ駆動において,駆動速度とストライド,ケイデンスは上昇する傾向を示した。〔結語〕健常者では体幹伸展位での車いす片側下肢駆動でも姿勢を左右対称に保つ能力があることが推察された。
  • 佐々木 誠
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 317-321
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,理学療法教育校における「卒業研究」の科目開設状況とその理由,卒業生における「卒業研究」についての認識に関して把握することである。〔対象〕対象は,理学療法教育校 231校ならびに3年制専門学校の卒業生113名であった。〔方法〕理学療法教育校において「卒業研究」の開設の有無とその理由,卒業生において「卒業研究」のカリキュラム上の位置づけ,卒後,役立っているかどうか,また,そうである理由を調査した。〔結果〕「卒業研究」は回答した教育校122校中90校で開設されていた。4年制教育校での開設が多く,3年制教育校での開設が少ない傾向があった。開設している理由として多岐にわたる回答があった。開設していない理由として,特に3年制教育校で時間的な制約を挙げ,その多くの教育校においては他の科目・方法で代用していた。卒業生の回答者47名中38名が「すべてのカリキュラムの中で必要であった」と回答した。知識を統合する学びの過程からの影響を認識できていた卒業生は,卒後,役立っていることに肯定的な回答をしていた。〔結語〕理学療法教育校は学習目的を学生と共有し,また,本科目の学習内容を卒後に反映させる,あるいは本科目を履修しなかった者の卒後教育を充実させるためには職場内研修,地域単位・全国レベルでの更なる取り組みが必要であると考える。
  • 上田 泰之, 浦辺 幸夫, 山中 悠紀, 宮里 幸, 野村 真嗣
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 323-328
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,上肢挙上運動時にさまざまな負荷を与えた際の肩甲骨および体幹の運動を分析することにより,どの程度の負荷量が肩甲骨上方回旋,後傾運動および体幹伸展運動を増大させるかを明らかにすることを目的とした。〔対象〕対象は肩関節に疼痛の訴えがない健常成人男性15名とした。〔方法〕無負荷,2 kg,4 kg,6 kgを上肢に負荷した状態での上肢挙上動作を,デジタルビデオカメラにて撮影し,肩甲骨上方回旋角度,肩甲骨後傾角度,胸椎伸展角度,腰椎伸展角度,骨盤前傾角度を算出した。〔結果〕肩甲骨上方回旋角度は上肢挙上角度150°以降で6 kgの負荷が無負荷より有意に大きかった。胸椎伸展角度は上肢挙上角度60°,90°で4 kg,6 kgの負荷が無負荷より有意に大きく,上肢挙上角度120°以降では2 kg,4 kg,6 kgの負荷が無負荷より有意に大きかった。〔結語〕負荷を与えた上肢挙上動作では,肩甲骨上方回旋に加え,胸椎伸展運動も大きくなっていた。
  • 望月 久, 金子 誠喜
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 329-336
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕パフォーマンスに基づくバランス能力評価指標(以下,基本バランス能力テスト)を考案し,その信頼性,妥当性,および臨床における実用性を検討することを目的とした。〔対象〕検査対象者総数は種々の疾患によりバランス能力低下を呈する患者122名であった。〔方法〕基本バランス能力テストは,端座位における姿勢保持と重心移動,立位における姿勢保持・重心移動・ステップ動作,および立ち上がり動作を検査課題とした。検査項目は25項目とし,各項目を不可:0点,不安定:1点,安定:2点で評定し,合計で50点満点とした。信頼性は理学療法士20名が3ヵ月おいて2回測定を実施し,検査項目の評定の一致度を調査した。妥当性はBerg balance scaleとの相関により検討した。実用性は基本バランス能力テストの測定に要する時間,歩行能力との対応関係より検討した。〔結果〕再評価の各検査項目の一致率は平均で81.6±10.9%であった。Berg balance scaleとの相関はr=0.88(p<0.01)であった。測定時間は平均で8.6±5.2分であり,合計点は対象者の歩行能力に従って推移した。〔結語〕以上の結果,考案した基本バランス能力テストは臨床的なバランス能力評価指標として有用と考えた。
  • 岡田 裕隆, 濱田 輝一, 肥後 成美, 永崎 孝之, 二宮 省悟, 福留 英明, 山本 広伸, 甲斐 悟, 高橋 精一郎
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 337-341
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕超音波診断装置を用いて足関節角度変化に伴う連続した遠位脛腓結合の可動性を明らかにすることである。〔対象〕足部機能に問題のない健常成人14名で,左右を合わせ28肢とした。〔方法〕対象者に底背屈運動を行わせ,前額面における連続した遠位脛腓結合の変化を超音波画像にて記録し,画像解析により脛骨と腓骨の開離距離を計測した。〔結果〕脛骨と腓骨の開離距離は,足関節の底背屈変化に伴い増大を示した。また,その変化は均一的,直線的ではなく,底屈及び背屈初期までは緩やかに増加し,背屈後期では急速に増加するという特徴的なものであった。〔結語〕遠位脛腓結合の開離には,足関節背屈時の距骨滑車関節の前後における左右幅の変化だけでなく,筋収縮による腓骨自体の動きや距骨の中枢側への引き込みによる距骨の上下の左右幅の変化に伴った一連の複合的な作用が影響する可能性が示唆された。
  • 川井 謙太朗, 安保 雅博
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 343-346
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕選択的にinner muscleを鍛えることができるCKCでのcuff-exを考案した。考案したcuff-exを自主トレーニングとして3週間行わせた後,ハンドヘルドダイナモメーターにて,自主トレーニング前後の筋力増強効果を客観的に調べることである。〔対象〕健常女性40名(右40肩)とした。〔方法〕考案したCKCでのcuff-exを1日50回×2セットを自主トレーニングとし,3週間行わせた。3週間後にHHDを使用し,筋力を測定した。〔結果〕全ての筋群(inner muscle)において有意差をもって自主トレーニング後に筋力増強が確認された。〔結語〕考案したCKCでのcuff-exは筋力増強訓練として有効な訓練手段と考えられる。
  • 崎田 正博, 熊谷 秋三, 高杉 紳一郎
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 347-352
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕下腿筋筋紡錘と足関節の求心性信号のいずれが動的立位姿勢制御に寄与するかを検討することである。〔対象〕10名の男性を対象とした。〔方法〕被験者は閉眼で可動式プラットフォーム上の立位時に下腿筋(下腿振動刺激条件:CV)と足部内外果(足関節振動刺激条件:MV)で振動刺激(92 Hz)を加えたときの前後軸上の重心(COGy)および足圧中心(COPy)の最大偏位および最大偏位到達時間を抽出した。〔結果〕プラットフォーム後方外乱では,MVにおけるCOGy・COPyの最大偏位到達時間がコントロール条件よりも有意に遅延した(p<0.05)。プラットフォーム前方外乱では,MVにおけるCOPyの最大偏位到達時間およびCOGyの最大偏位がコントロール条件よりも有意に遅延(p<0.05)と増加(p<0.05)を示した。〔結論〕足部後方外乱時はヒラメ筋筋紡錘よりも足関節からの求心性信号がCOGyやCOPyの偏位に寄与し,足部前方外乱時では前脛骨筋以外の他筋の代償性活動によりCOGyやCOPyは制御されている可能性が考えられた。
  • 田村 拓也, 関 貴子, 末綱 太, 岩田 学
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 353-358
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,降雪地域において,冬期間でも行える運動を指導した2型糖尿病患者の退院後の運動継続度および運動頻度の違いと血糖コントロールの関連性を調査することである。また併せて運動療法の継続と食事療法の実施状況との関連性を検討した。〔方法〕対象は運動処方された2型糖尿病患者101名とした。これらの患者に対し,我々理学療法士が監視型運動療法を実施し,患者が退院してから一年後の運動継続度を,電話アンケートにて追跡調査した。〔結果〕対象患者の88%が退院一年後も運動を継続していた。また運動頻度が高い患者ほど血糖コントロールが良好であった。また食事療法と糖尿病運動療法との間に,有意な関連性が認められた。〔結語〕降雪地域では,冬期間も継続的に行える運動を2型糖尿病患者に指導することにより,降雪期間に運動療法として「踏み台昇降・足踏み・歩行」をする患者が多く,一般的に言われている運動継続度よりも向上したことが示唆された。
  • 小島 聖, 細 正博, 松崎 太郎, 渡邊 晶規
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 359-364
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ラット膝関節拘縮モデルを用い,温浴と短時間伸張刺激が関節軟骨に及ぼす病理組織学的変化を観察することである。〔対象と方法〕9週齢のWistar系雄ラット20匹(Control群,拘縮のみの群,自然治癒群,温浴群,温浴と短時間伸張刺激併用群それぞれ4匹)を用いた。Control群を除く他の群は右膝関節を屈曲位で4週間ギプス固定した。温浴は約36 ℃で4週間,短時間伸張刺激は2.5 Nの力で伸張した。右膝関節を採取後,組織切片を作成しヘマトキシリン・エオジン染色を行い光学顕微鏡下にて組織切片を観察した。〔結果〕温浴と短時間伸張刺激併用群は他の群に比して癒着の程度は弱く部分的であった。温浴を行った群には軟骨の変性,血管の走行が確認された。〔結語〕温浴と短時間伸張刺激の併用により癒着の程度が軽減した。
  • 世古 俊明, 隈元 庸夫, 伊藤 俊一, 田邉 芳恵, 信太 雅洋, 吉川 文博
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 365-368
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕立ち上がり動作での前方空間の有無が体幹と下肢に及ぼす影響を筋電図学的に検討し,前方空間が狭小した環境における立ち上がり動作時の留意点を得ること。〔対象〕健常成人男性6名を対象とした。〔方法〕前方空間を確保した環境と制限した環境での立ち上がり動作を行わせ動作時の筋活動について比較検討した。〔結果〕前方空間を制限した環境では,前方空間を確保した環境に比べて大殿筋の早い筋活動,前脛骨筋と大腿直筋の筋活動量の増加を認めた。〔結語〕前方空間が制限された環境での立ち上がり動作では,重心の上方移動が早い段階で必要となるため大殿筋の筋活動が早期に見られ,重心の後方逸脱を制御する戦略として大腿直筋と前脛骨筋の強い筋活動が必要となる可能性が示唆された。
  • 吉澤 隆志, 松永 秀俊, 藤沢 しげ子
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 369-374
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕グループディスカッション授業(GD授業)と従来授業における授業意識の比較と,学習意欲との関係を検討した。〔対象〕某A専門学校理学療法学科学生(103名)とした。〔方法〕GD授業と従来授業とを実施し,GD授業における授業意識アンケート結果について因子分析を行い,両授業の下位尺度得点を比較した。また,GD授業における下位尺度得点と学習意欲アンケート結果との相関を調べた。〔結果〕GD授業における因子分析結果のうち第1因子(自ら積極的に授業に取り組む姿勢)および第3因子(学習への動機付け)は,従来授業よりも下位尺度得点が高かった。また,第1因子および第3因子は学習意欲の中でも特に内発的動機づけと高い相関が見られた。〔結語〕GD授業は,従来授業よりも内発的動機づけを高めることのできる授業形式であると考えられた。
  • 崎田 正博, 臼井 裕太, 太田 歩, 後藤 裕樹, 末石 菜津美, 松尾 仁紀, 松永 智行
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 375-379
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,鏡を用いた一側上肢の運動時に視覚による運動錯覚によって対側上肢のα運動ニューロンの興奮性に影響を与えるか検討することである。〔対象〕対象は健常成人10名とした。〔方法〕課題は鏡あり・なし条件と一側上肢の手関節掌屈運動あり・運動なしを組み合わせた4条件で行った。各条件で記録した対側上肢の橈側手根屈筋(FCR)H波から最大H波振幅(Hmax)を抽出した。対応のあるt検定で2条件比較した。〔結果〕鏡なしでの一側手関節掌屈運動あり・運動なしでは運動なしの方が有意に低下した。鏡ありでの手関節掌屈運動あり・運動なしでは,有意差はみられなかった。手関節掌屈運動下では鏡あり条件が有意に増加した。〔結語〕視覚による対側上肢の運動錯覚が生じることで,対側上肢のα運動ニューロンの興奮性の低下を抑制することが明らかとなった。
  • 関川 清一, 磯田 亜美, 岩本 えりか, 高橋 真, 稲水 惇
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 381-385
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕嚥下前後の呼吸コントロールが飲み込みやすさに与える影響を明らかにする。〔対象〕健常成人22名とした。〔方法〕自由嚥下および嚥下前後の4つの呼吸位相パターンでの嚥下中の舌骨上筋群活動量と時間,喉頭運動時間,および主観的飲み込みやすさを測定した。〔結果〕指示嚥下では,自由嚥下と比較して,喉頭運動時間には有意差が認められなかったが,舌骨上筋群筋活動量は有意に低値を示した。主観的飲み込みやすさは,指示嚥下と自由嚥下間に有意差が認められ,指示嚥下内での比較では嚥下前が呼気であると高値を示した。〔結語〕指示嚥下は,自由嚥下と比較すると,主観的には飲み込みにくくなるが,効率よく嚥下ができる可能性があり,その中で,嚥下前後に呼気コントロールを行うことが,主観的にも飲み込みやすいパターンになることが示唆された。
  • 中山 恭秀, 安保 雅博
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 387-390
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕健常成人及び片麻痺(以下CVA)患者で,つま先上がりの斜面板上で立位姿勢を保持させる介入が,直後の平地上における足圧中心(COP)位置及び前後方向の最大重心移動域に及ぼす影響を調べることを目的とした。〔対象〕健常成人7名(平均年齢56.9歳),片麻痺患者9名(平均年齢60.6歳)を対象とした。〔方法〕10°のつま先上がりの斜面板上で1分間立位姿勢保持をとらせる介入前後において,重心動揺計を用いてCOP位置,ならびに前後方向への最大重心移動域を測定し,各群内及び群間で比較した。〔結果〕COP位置は,各群内において,介入後は有意に増加したが,群間に有意差はみられなかった。前後方向へCOP位置を最大に移動可能な範囲は,介入前・介入後ともに群間で有意差がみられた。各群内での比較では,CVA群でのみ有意さが認められた。〔考察〕本介入は片麻痺患者において,前後方向へCOP位置を最大に移動可能な範囲を拡大させる即時効果がある可能性が示唆された。
  • 福島 浩史, 高橋 精一郎, 宮原 寿明
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 391-395
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕人工膝関節置換術後1病日と2病日の可動域訓練開始日の違いによる膝関節可動性改善の差異の有無を検証した。〔対象および方法〕人工膝関節の機種,術者,術式が同一である対象者を無作為に1病日群15名と2病日群17名に分け,可動域訓練開始日以外は訓練内容・回数・量を統一して理学療法を3週実施した。〔結果〕膝関節他動屈曲角度,膝関節他動屈曲120度獲得日数,膝関節他動屈曲120度・130度・140度到達人数,膝蓋骨上縁最頂位周径,可動域訓練時疼痛の改善は2群間で有意差は認められなかったが,2群の膝関節他動屈曲角度,膝蓋骨上縁最頂位周径の改善と,2病日群の可動域訓練時疼痛の改善に有意差が認められた。測定項目すべてで,1病日群が2病日群に比べて改善が遅い傾向がみられた。〔結語〕可動域訓練開始日の違いによる膝関節可動性の改善には差がなかったが,1病日群の膝関節他動屈曲角度の増大が遅延したことから,1病日から訓練を開始する利点は認められなかった。現行2病日からの可動域訓練開始でも良い結果が得られ,本研究は,十分な検証もなく早期化が進む人工膝関節置換術後の理学療法に対する警鐘と捉えられた。
  • 上村 さと美, 秋山 純和
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 397-401
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕反復起立運動と自転車エルゴメータによる運動負荷を実施し,自転車エルゴメータより求めた無酸素性代謝閾値を基準として,二者の方法による運動強度の関係を検討した。〔対象と方法〕対象は健常男性29名とした(平均年齢19.9歳)。心肺機能を捉える項目を設定し,安静時から運動終了時までの過程において測定を行った。起立頻度は6から30(回/分)を設定,負荷時間は各3分間とした。無酸素性代謝閾値の測定は,自転車エルゴメータによるランプ運動負荷試験により求めた。分析は,各起立頻度における起立運動から求めた酸素摂取量と心拍数を,自転車エルゴメータで測定した無酸素性代謝閾値の各値に占める割合を求めた。〔結果〕起立頻度6から30(回/分)の酸素摂取量,心拍数は無酸素性代謝閾値の各々45.9から119.8%,67.6から106.9%に該当した。〔考察〕起立回数24から30(回/分)は無酸素性代謝閾値前後に相当する運動強度と考えられる。
  • 渡邊 晶規, 細 正博, 由久保 弘明, 松崎 太郎, 小島 聖
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 403-409
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕拘縮後のストレッチが関節包に及ぼす影響を病理組織学的に検討すること。〔方法〕9週齢のWistar系雄ラット14匹を用い,通常飼育のみを行う正常群,ギプス固定のみを行う拘縮群,固定後4週間の通常飼育を行う非治療群,固定後4週間ストレッチを行う治療群の4群にわけた。各群の膝関節可動域の測定と,組織標本による関節包組織の観察を行った。〔結果〕拘縮群は膠原線維束の肥厚と密性化を認め,関節包は肥厚していた。これに比べ治療群,非治療群ともに改善傾向を示したが,両群間に明らかな違いは認められなかった。一方,膝関節可動域は固定後3週以降の治療群で有意な改善を示した。〔結語〕可動域の改善に伴った関節包組織の明らかな改善は認められなかった。
  • 金子 諒, 藤澤 真平, 佐々木 誠
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 411-416
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,足趾把持筋力トレーニングが最大速度歩行の床反力に及ぼす影響を検討することを目的とした。〔対象〕健常な学生27名とした。〔方法〕対象者を男女別に無作為にトレーニング群,対照群に振り分けた。足趾把持筋力,10 m最大速度歩行時の速度,歩数,歩行率,歩幅,最大速度歩行時の床反力を介入期間の前と後に測定した。トレーニング群には4週間の足趾把持筋力トレーニングを行わせ,対照群には普段通りの生活をさせた。〔結果〕トレーニング群は有意に足趾把持筋力が増強し,10 m最大歩行速度が速くなった。また,床反力横方向第3波,歩行率において増加傾向がみられた。〔結語〕蹴り出しにおける脚の運びの方向性が適正化することで,歩行率が改善し,最大歩行速度が向上する可能性が示唆された。また,最大歩行速度向上に対して床反力垂直方向の最大波に増加がみられなかったことから,足趾による制動力が高まったことでソフトに踵接地でき,踵接地による衝撃が減少したことが示唆された。
  • 岡田 洋平, 古手川 登, 生野 公貴, 高取 克彦, 梛野 浩司, 徳久 謙太郎, 鶴田 佳世, 小嶌 康介, 中村 潤二, 三ツ川 拓治 ...
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 417-421
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中患者を対象にSingle Side-Step Test(SSST)の検者内・検者間再現性および麻痺側下肢の荷重能力との妥当性について検討した。〔対象〕妥当性の検討は脳卒中患者27名を対象とし,うち18名において再現性の検討を行った。〔方法〕SSSTにより非麻痺側への一歩の最大サイドステップ距離(Maxima Side Step Length:MSSL)を測定した。麻痺側下肢の最大荷重率は床反力計により求めた。〔結果〕MSSLの検者内,検者間再現性は良好であり,MSSLは麻痺側下肢の最大荷重率と中等度の相関関係にあった。〔結語〕SSSTは脳卒中患者における麻痺側下肢の荷重能力の一部を反映する可能性があると考えられる。
  • 中尾 英俊, 橋本 雅至, 宮本 靖, 桝田 康彦, 高藤 裕美, 伊佐地 弘基
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 423-426
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕足部内側縦アーチの荷重負荷に対する反応を検討した。〔対象〕健康成人女性10人とした。〔方法〕足関節背屈角度を0°位と10°位の2条件とし椅座位にて体重の50%,100%,150%,200%の順に荷重負荷を加え,各荷重時の4つの筋(下腿三頭筋,長腓骨筋,前脛骨筋,母趾外転筋)の筋活動と足部アーチ高率を計測した。〔結果〕背屈0°位では荷重量の増加に伴う筋活動の増加は認められず,背屈10°位では測定した筋で50%に対して200%の荷重での筋活動において有意な増加が確認された。足部アーチ高率は足関節角度に関わらず荷重量に比例して有意に低下した。〔結語〕足関節背屈10°位では荷重負荷に対して,筋活動が関与することが示唆された。
  • 龍田 尚美, 中嶋 正明, 秋山 純一, 野中 紘士, 斉藤 圭介, 川上 照彦
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 427-433
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,ラットを用いて関節固定期間中に「1日に1度,1度に5回のROM ex」を週あたりの実施日数を変えて行うことで,ROM ex実施頻度の違いが固定関節の関節可動範囲の減少,関節内組織の変性に与える影響を検討した。〔対象〕実験動物にはWistar系の雄ラット30匹を使用した。〔方法〕ラットは無作為に,(1)無処置群,(2)ROM exなし群,(3)ROM ex週1日群,(4)ROM ex週3日群,(5)ROM ex週5日群の5群に分け,各ROM ex実施条件にて関節可動範囲の経時的変化および実験終了後の組織像を評価した。〔結果〕ROM exの週あたりの実施頻度が多いほど,関節可動範囲の減少が抑制される傾向にあった。しかし,週に5日実施する条件でも関節可動範囲の減少を予防することはできなかった。組織学的評価では,ROM exなし群,ROM ex週1日群で関節腔内が結合組織により充填されていた。ROM ex週3日群,ROM ex週5日群では軟骨表面に少量の結合組織の増殖像が確認された。〔結語〕今回行ったROM exの条件では,関節可動範囲の減少を予防することはできなかった。しかし,その減少に対するROM exの抑制効果は実施頻度(週あたりの実施日数)に依存してみられる傾向にあった。
  • 白濱 知子, 根地嶋 誠, 横山 茂樹, 有川 康弘
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 435-438
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,膝関節伸展運動時における下腿部への抵抗部位の違いが大腿四頭筋の筋活動に及ぼす影響を把握することである。〔方法〕対象は健常男性7名とした。膝関節90°屈曲位における等尺性膝関節伸展時の筋活動を計測した。被験筋は,右側の内側広筋(VM),外側広筋(VL),大腿直筋(RF)とした。測定条件は,(1)下腿遠位部のみ抵抗を加える場合(遠位部抵抗)と,(2)下腿遠位部と近位部に抵抗を加える場合(遠位+近位部抵抗)の2条件とした。〔結果〕最大筋力の60%程度の抵抗運動(遠位+近位部抵抗)は(遠位部抵抗)よりもVMとRFの筋活動量を高めた。〔結論〕今回の結果から,大腿四頭筋の筋活動はdual shin padを用いることによって高められる可能性が示唆された。
  • 佐々木 賢太郎, 千田 益生, 太田 晴之, 堅山 佳美
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 439-443
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕先行研究において,急性期の筋炎患者の筋力評価として有用性を示した3項目総和筋力(sum)が,CK値が正常化した安定期においても有用であるかを検討するため,30週間以上にわたって筋力と病勢を反映するクレアチンキナーゼ(CK)の推移を,プレドニン(PSL)内服量とともに追跡し,それらの関連性を検討することを目的とした。〔対象〕女性5症例(36.2±12.7 歳)であった。〔方法〕筋力測定は徒手筋力計を用い,頸部屈曲筋力(HU),肩関節外転筋力,下肢伸展挙上筋力の3項目の筋力を測定した。同時にCK測定とPSL投与量を評価した。〔結果〕3項目の総和した筋力(sum)は,5例中4例においてCK値と負の相関関係を認めたが,その相関係数は低値であった。単一筋力ではHU筋力が最も多くの症例においてCKと相関を認めた。PSL内服量との関係においても,sumは5例中3例において負の相関を認めたのに対し,HUは4例において有意な負の相関が認められた。〔結語〕安定期においても,PM患者のsumはCKをある程度反映し得るが,急性期ほどの有用性は示されなかった。安定期PM患者を長期に追跡する場合,HU単一筋力の測定でも病勢や投薬の影響を把握し得る可能性が示唆された。
  • 上村 さと美, 秋山 純和
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 445-450
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕起立運動を負荷法に利用して心肺機能評価を検討した。〔方法〕対象は,健常男性16名とした。評価は30(回/分)の頻度で5分間の起立動作を反復したときの生理的反応から判断した。起立運動に利用した椅子の高さは,各対象者の立位姿勢における床から腓骨頭までの距離とした。測定項目は,酸素摂取量,心拍数,血圧,身長,体重,座高,椅子高として,評価項目は仕事量,代謝当量(MET),%到達心拍数,心筋酸素消費量とした。〔結果〕仕事量の平均は592.5±130.3(kg ·m/min)であり,酸素摂取量の平均は24.8±2.1(ml/min/kg)であった。代謝当量,%到達心拍数から対象者の心肺機能をGood:31%(5名),Fair:63%(10名),Poor:6%(1名)と判定した。〔考察〕仕事量はPoorと判定された者において最も大きい傾向から,起立運動負荷法を利用して心肺機能評価を行う際は,仕事量についても考慮する必要がある。
  • 谷本 正智, 水野 雅康, 田村 将良, 磯山 明宏
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 451-457
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的・対象〕今回我々は,HTLV-I associated Myelopathy(以下HAM)患者に対して外来リハビリテーション(以下リハビリ)を行った。HAMは,その病態から廃用症候群を惹起しやすく,意欲を持って継続実施できるホームエクササイズ(以下Home ex)の設定が必要であった。そこでHome exを従来から実施している筋力訓練期間と乗馬マシンでの運動期間とに分け,その効果を比較することを目的とした。〔方法〕ABAB型シングルケーススタディにより乗馬マシンを用いたHome exを操作導入期に実施し,基礎水準測定期には体幹・下肢筋力訓練を用いた。〔結果〕評価項目の座位側方Reach,Functional Reach Test,重心動揺検査において操作導入期の改善が認められた。〔結語〕乗馬マシンでのHome exにより姿勢バランス向上を認め,主目標である家事動作,伝い歩きの向上を認めた。HAM外来患者へのリハビリの際,患者を取り巻く家庭環境等に合わせた具体的なHome exの設定が重要であり,これらが緩徐進行性で難治性神経疾患であるHAMに対しても,機能改善が図れることが示唆された。
  • 山田 実, 樋口 貴広, 森岡 周
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 459-462
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,肩関節周囲炎患者を対象に簡易型メンタルローテーション介入の有用性を検討することである。〔方法〕対象者は肩関節周囲炎患者40名(54.8±10.5歳)であり,無作為にメンタルローテーション介入群(以下,介入群)20名とコントロール群20名に分けた。両群ともに1ヶ月間の標準的リハビリテーションを実施した。介入群にはそれに加えて簡易型メンタルローテーションを実施した。〔結果〕1ヶ月後の肩関節機能,肩関節屈曲角度,外転角度,1 st外旋角度は両群ともに有意な改善を示していた(p<0.05)。介入群ではコントロール群に比べ,さらに顕著な改善を示した(p<0.05)。〔結語〕この結果からは,肩関節周囲炎患者における肩関節機能向上に,簡易型メンタルローテーション介入が有用であることが示唆された。
  • 吉澤 隆志, 松永 秀俊, 藤沢 しげ子
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 463-466
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕平成19年度と20年度前期定期試験において,定期試験成績向上に学習意欲が影響を及ぼしたかを検討した。〔対象〕某A専門学校理学療法学科学生(101名)とした。〔方法〕平成19年度および20年度前期定期試験を基に各学生の偏差値を算出した。また,定期試験の直前に学習意欲に関するアンケートも実施した。ここで,定期試験において成績が向上した学生と低下した学生とについて,学習意欲アンケート結果との関係を多重ロジスティック回帰分析にて検討した。〔結果〕外発的動機づけと精神的健康度が有意な説明変数として抽出された。〔結語〕今後,学習意欲を向上させることの出来るような対応の検討を行っていきたいと考えた。
  • 奥 壽郎, 廣瀬 昇, 加藤 宗規, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 467-472
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕体幹・下肢屈曲姿勢での歩行において,杖の使用が呼吸循環反応に与える影響を高齢者擬似体験装(以下,装具)を用いて検討することである。〔対象〕若年健常者11名(男性7名・女性4名,平均年齢19.1±0.8歳)を対象とした。〔方法〕装具を装着しないかつ杖も使用しない条件(以下,条件A),装具を装着して杖は使用しない条件(以下,条件B),装具を装着して杖を使用する条件(以下,条件C)の3条件により,トレッドミル歩行速度3.5 km/hで5分間の定常負荷を行い,呼気ガス分析,血圧,自覚的運動強度(RPE)を計測して,3条件間での比較検討を行った。〔結果〕条件Aより条件Bは,HR・VE・TV・VO2/W・SBP・RPEが有意に高値を示した。一方,条件Bより条件Cでは,HR・VE・TV・VO2/W・RPEが有意に低値を示した。条件Aより条件Cでは,SBP・RPEのみ有意に高値を示した。〔結語〕若年健常者が高齢者擬似体験装具を装着した上で杖を使用することは,杖を使用しない時よりも同一運動時の,呼吸循環器系への負担を軽減できることが示唆された。
  • 原 毅, 久保 晃
    原稿種別: 原 著
    2009 年 24 巻 3 号 p. 473-477
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕座位での下肢荷重力測定動作に伴う血圧変化および日常生活活動レベル(以下ADLレベル)の影響について検討することとした。〔対象〕高齢慢性期患者28名(男性8名,女性20名,年齢78.6±8.6歳:mean±SD)とした。〔方法〕対象者の血圧は,測定動作前,測定動作後1分,3分,5分の4水準の血圧測定時期に測定した。測定動作は,座位下肢荷重力測定動作とした。対象者のADLレベルは,FIMの合計得点は80点を境に2群(Low群,High群)に分類した。血圧測定時期とADLレベルを要因とした反復測定の二元配置分散分析で,収縮期血圧(以下SBP)と拡張期血圧(以下DBP)を比較,検討した。また,対応の無いt検定で,ADLレベル各群における下肢荷重力体重比(%)を比較,検討した。〔結果〕SBPとDBPは,血圧測定時期とADLレベルの要因において主効果は認められなかった。下肢荷重力体重比は,群間に有意差が認められた。〔結語〕座位下肢荷重力測定動作は,心血管系に対し低リスクであり,様々なADLレベルの対象者にも適用可能であることが示唆された。
総説
  • 上村 さと美, 秋山 純和
    原稿種別: 総 説
    2009 年 24 巻 3 号 p. 479-486
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/24
    ジャーナル フリー
    運動障害を有する人や高齢者が医療機関以外の施設や在宅で理学療法を受ける機会が多くなっている。本論では,理学療法における心肺機能評価の面から機械的負荷法および非機械的負荷法に関する知見を整理した。一般的に実施されている非機械的負荷法に関する文献を渉猟してその応用について検討した。結果として,非機械的負荷法の一つである起立動作を利用した運動負荷方法が今後の応用に関して有用になると考えられた。課題として起立動作の応用には物理的仕事量の調整と対象者に対する至適負荷量を明確にする必要がある。
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