2009 年 24 巻 4 号 p. 549-553
〔目的〕本研究の目的は,咳嗽力の指標としてPEFを測定し,非脳卒中者や嚥下障害の有無で比較するとともに,脳卒中患者のPEFに関連する因子を明らかにすることである。〔対象〕対象は,発症後6ヶ月以内の脳卒中患者46名(嚥下障害群22名,非嚥下障害群24名)と対照群として非脳卒中者24名であった。〔方法〕PEFの測定は電子ピークフローメータを用いた。本研究では脳卒中患者の咳嗽力に関連すると考えられる因子として年齢,身長,体重,BMI,Brunnstrom recovery stage,Barthel Index,血清アルブミン値,摂食・嚥下能力グレードを取り上げた。〔結果〕PEFは, 対照群,非嚥下障害群, 嚥下障害群の順に低値を認めた。体重,BMI,PEF値,血清アルブミン値,Barthel Indexは非嚥下障害群より嚥下障害群の方が有意に低い値を示した。全脳卒中患者のPEF値を目的変数にしたステップワイズ重回帰式に取り込まれた因子は,血清アルブミン値,身長,摂食・嚥下能力グレードであった。〔結語〕脳卒中患者の咳嗽力は非脳卒中者より低下しており,その原因には嚥下障害による低栄養状態が関連していることが示唆された。