抄録
〔目的〕本研究はPT学生にPBLテュートリアルによる臨床推論能力達成レベルの把握とグループ間での格差の比較検討をした。〔対象と方法〕4年制理学療法士養成校の3年生36名にPBLテュートリアルを実施し,「全体像把握」「情報活用」「評価の統合と解釈」「問題点抽出」「予後予測」「プログラム」の6項目からなる臨床推論達成レベルについて学生グループ毎の教員評価および学生の自己評価を実施した。〔結果〕教員評価と学生自己評価は共に「問題点の発想」と「予後予測」の項目が他の項目に比較して低い評価であった。教員評価では全グループで「全体像把握」や「評価の統合と解釈」などが比較的良い評価となり,学生評価では全グループで「情報活用」や「全体像の把握」などが比較的良い評価であった。臨床推論の総合評価において教員評価では7~8名の学生で構成されたグループ間での有意差はみられなかった。〔結語〕グループ学習における臨床推論能力は比較的高い達成レベルが得られ,テューターは最小限の介入でも格差はみられず,均等な学習効果が得られていた。