理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
脳卒中患者に対するFIT(Full-time integrated treatment)プログラムの現状分析
─2005年度での検討─
奥山 夕子園田 茂永井 将太谷野 元一登立 奈美坂本 利恵矢箆原 弥生菊池 麻里川原 由紀奈
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キーワード: 脳血管障害, FIM, 訓練量
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2010 年 25 巻 2 号 p. 275-280

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抄録

〔目的〕訓練単位数が多くなればアウトカムもよくなるであろうという臨床上の印象を,訓練時間上限が2時間であった時点での訓練単位数とActivities of daily living(以下,ADL)の帰結との関係を後方視的に調査することで検証し,訓練時間上限3時間の効果検証を行う際の基礎情報を得ることを目的とした。〔対象〕2005年度に藤田保健衛生大学七栗サナトリウム回復期リハビリテーション病棟に入退棟した脳卒中患者362名とした。〔方法〕在棟期間を通しての理学療法と作業療法を加えた総訓練単位数と1日あたりの平均単位数を調査し,Functional Independence Measure(以下,FIM)運動項目合計点(以下,FIM-M)の相関関係と自宅復帰率を分析した。〔結果〕総訓練単位数は入退棟時のFIM-Mと負の相関があり,FIM-M利得とは正の相関を示した。1日平均5-6単位を行った群はそれより少ない訓練量の群に比べて良い成績を示さなかったが自宅復帰率は高かった。〔結語〕上限(6単位)訓練を行うことが必ずしも高いADLの帰結に結びついていなかった。訓練量と帰結の関係を検討する際は,訓練量の制限や訓練時間外の生活の影響などを考慮するべきである。

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© 2010 by the Society of Physical Therapy Science
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