理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
25 巻 , 2 号
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原著
  • 田中 亮, 戸梶 亜紀彦
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,運動療法に取り組む外来患者の顧客満足と運動に対する動機づけの関連性を明らかにすることである。〔対象〕対象は,運動療法に取り組んでいる外来患者189名とした。〔方法〕顧客満足の測定には,Customer Satisfaction Scale based on Need Satisfaction(CSSNS)を使用した。運動に対する動機づけの測定には,Behavioral Regulation in Exercise Questionnaire-2(BREQ-2)を使用した。〔結果〕相関係数の算出およびカテゴリカル回帰分析の結果,顧客満足全体や顧客満足の下位概念は,運動に対する自己決定的な動機づけと有意に関連することが認められた。〔結語〕運動療法に取り組む外来患者の顧客満足は,運動に対する自己決定的な動機づけと関連するといえる。
  • 井上 順一朗, 小野 玲, 竹腰 久容, 三輪 雅彦, 黒坂 昌弘, 岡村 篤夫, 松井 利充, 佐浦 隆一
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 165-169
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status Scale(ECOG PS)の基準関連妥当性を同種造血幹細胞移植(同種移植)患者にて検討することである。〔対象〕同種移植患者27名(男性13名,女性14名,平均年齢47±14.1歳)であった。〔方法〕ECOG PSのGrade 1-3と歩数計による平均歩数との関連性を検討した。〔結果〕ECOG PS Grade 1-3の3群における平均歩数は順に2,411±1,068,1,205±572,597±216 steps/dayであった。〔結語〕ECOG PSは同種移植患者の全身状態を測定する簡便かつ妥当なツールであることが明らかになった。
  • 島谷 康司, 大澤 裕子, 島 圭介, 辻 敏夫, 沖 貞明, 大塚 彰
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 171-175
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳血管障害後の乳児の運動麻痺が悪化していくことを臨床上経験することがある。このような乳児には,運動麻痺の経過に応じて評価・治療が重要となるため,四肢の運動麻痺の詳細な経時的変化を検証することを目的とした。〔方法〕対象は脳性麻痺男児1名(出生28週)と健常男児2名(出生1週)であった。脳性麻痺児の四肢自発運動の臨床的観察評価およびビデオカメラによる運動計測・解析を行った。〔結果〕脳性麻痺児の右上肢の活動量は低下し,活動時にも運動範囲が小さいことから運動麻痺が増大していることが示唆され,臨床的観察評価と一致した。一方,健常児は活動量が減少しているからといって運動範囲も減少しているとは限らず,左右差も見られなかったことから脳性麻痺児とは異なる結果を示した。〔結語〕自発運動は皮質下の影響を受けるため,中枢神経系が成熟する以前の生後早期には脳性麻痺児は自発運動が可能であった。しかし,大脳皮質の神経細胞のシナプス形成や下行性神経の髄鞘形成に伴い,損傷された大脳皮質から影響を受け,右上下肢の運動麻痺が悪化して自発運動が低下したものと考える。
  • 田中 真一, 村田 伸, 兒玉 隆之
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 177-180
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,周回歩行や足踏みテストなどに上肢が影響しているか否かを検討することである。〔対象〕対象は,健常成人女性17名(平均年齢19.6±7.9歳)であった。〔方法〕周回運動の右・左回りそれぞれ1周する最速歩行時間の計測,また同様に1分間に歩いた距離を計測した。足踏みテストでは閉眼にて回転角度と方向を測定し,その際上肢の動きを自由にさせたものと体側に上肢を固定した条件で測定した。〔結果〕周回では左周回の方が有意に1周所要時間は短く,1分間の歩行距離が長かった。足踏みテストは上肢を固定した時と比較すると,手振り有りの足踏みテストにおいて,身体が回転する角度が有意に小さかった。〔結語〕このことから立位動作において上肢の運動が影響していることが推測され,下肢や体幹,上肢を含めた理学療法の必要性が示唆された。
  • 松村 純, 横川 正美, 塩本 祥子, 森 健太郎, 三秋 泰一, 洲崎 俊男
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 181-184
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,端座位での側方リーチテストの再現性を検討することである。〔対象〕対象は,若年健常男性7名(平均年齢24.0±3.2歳)とした。〔方法〕右側方への最大リーチ動作を3試行し,リーチ距離および身体の傾斜角度(頭部,肩甲帯,骨盤,下腿)を算出した。4~7日後に同様の測定を再度行った。〔結果〕リーチ距離の級内相関係数(ICC)は,初回0.679,2回目0.858と測定日内の再現性が認められたが,測定日間のICCは0.377と再現性は要再考であった。リーチ距離を比較すると初回よりも2回目のほうが有意に高値を示した。〔結語〕身体の傾斜角度では骨盤が初回と比べ2回目は有意に高値であり,リーチ距離の増大には骨盤傾斜の影響が示唆された。
  • 中野 英樹, 川見 清豪, 藤田 浩之, 吉田 慎一, 河村 章史, 森岡 周
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 185-187
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,利き手と非利き手の手関節伸展運動が運動関連脳電位に及ぼす影響について検討することである。〔対象〕対象は,エディンバラ利き手テストにて右利きを示した健常成人11名とした。〔方法〕対象者は,利き手および非利き手にて随意的な手関節伸展運動を各々50回行った。利き手および非利き手の手関節伸展運動時の運動関連脳電位を測定した。測定部位は国際10-20法におけるCzとした。筋電図は橈側手根伸筋から測定し,波形の立ち上がりをトリガーとした。抽出項目は運動関連脳電位の出現時間と最大振幅とした。〔結果〕非利き手では,利き手に比べ運動関連脳電位の最大振幅に有意な増加が認められた。〔結語〕利き手と非利き手における運動学習経験の違いが,運動関連脳電位の出現様式に影響を及ぼすことが示唆された。
  • 知念 紗嘉, 菅沼 一男, 岩佐 知子, 中村 壽志, 芹田 透, 榊原 僚子
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 189-192
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,ハンドヘルドダイナモメーター(以下,HHD)を使用し等尺性肩関節内旋・外旋筋力測定をする際の,検者内・検者間再現性について検討した。〔対象〕検者内再現性の対象者は,健常者21名(男性8名,女性13名)であった。検者間再現性の対象者は,健常者17名(男性9名,女性8名)であった。〔方法〕検者内再現性は,1名の検者が,等尺性肩関節内旋・外旋筋力の測定を3日間の間隔をあけ2日間行った。検者間再現性は,2名の検者が,等尺性肩関節内旋・外旋筋力を測定した。異なる検者の測定間は疲労を考慮し,30分以上の間隔をあけ,同日中に測定し測定順はランダムとした。〔結果〕検者内および検者間再現性について,対応あるt検定,および級内相関係数(以下,ICC)を用いて分析した結果,有意差は認められず,ICCにおいて良好な結果となった。〔結語〕HHDを使用した等尺性肩関節内旋・外旋筋力の測定は,上肢と体幹をベルトで固定することで検者内・検者間再現性はともに良好な結果が得られた。
  • 神谷 晃央, 名越 央樹, 竹井 仁
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 193-197
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕股関節周囲筋力を徒手筋力計(Hand Held Dynamometer;以下HHD)を用いて測定する方法は被験者の身体をベルト固定する手法や,自身の四肢を用いて固定する手法などがあるが,固定手法や固定力によって筋出力は変化する。そこでこれら固定方法を用いることなく自身の体幹固定筋力を反映した機能的な股関節周囲筋力測定法の信頼性を検討した。〔対象〕同意を得た健常男性20脚とした。〔方法〕HHDの固定に検者が関与しないこと,自身の四肢を用いない状況にて測定姿勢を保持することという2点を厳守した場合の股関節屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋筋力を測定した。統計処理は検者内・検者間信頼性を級内相関係数にて算出した。〔結果〕級内相関係数(検者内/検者間)は,股関節屈曲0.76/0.88・伸展0.92/0.93・外転0.90/0.90・内転0.96/0.97・外旋0.81/0.76・内旋0.88/0.86となった。〔結語〕本法は高い信頼性が示され臨床的に有用な筋力測定手法となりうる。
  • 田中 貴士, 山田 実
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 199-202
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,回復期病棟入院中の脳血管障害者の注意機能や身体機能と転倒との関係性を検討することである。〔対象〕対象は,45歳から87歳までの脳血管障害者41名であった。〔方法〕対象者に対し,発症1ヶ月後から3ヶ月間の転倒の有無を調査した。中枢神経疾患検査として,注意・運動・感覚機能を評価し,それぞれ転倒の有無との関係をみるとともに,転倒に影響を及ぼす因子の検討を行った。〔結果〕転倒の有無に年齢や麻痺側の違いの差はみられなかったが,転倒群では非転倒群と比較して注意・運動・感覚機能に有意な低下を示した。〔結語〕脳血管障害者の転倒リスクには,運動・感覚機能以上に注意機能が大きな影響を及ぼすことが示唆された。
  • 河西 理恵, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 203-208
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的はPBLの効果と学生因子の関係について検証することである。〔対象と方法〕対象はK大学理学療法学科の3年生19名であった。PBLの効果指標を,学生自身による自己評価とPBLにおける発言頻度とし,約2ヶ月のPBL実施後,学業成績,性格,自己学習習慣の有無,自己学習時間,テスト志向性およびPBLに対する満足度などの学生因子とPBLの学習効果の関係をSpearmanの順位相関係数により検討した。〔結果〕PBLに対する学生の自己評価と学業成績,性格,自己学習習慣の有無,PBL実施中の自己学習時間およびPBLに対する満足度の間に有意な相関が認められた。また,発言頻度と自己評価ならびに学業成績,PBL実施中の自己学習時間,PBLに対する満足度の間にも有意な相関が認められた。〔結語〕PBLの効果には複数の学生因子が関与することが示唆された。
  • 山崎 裕司, 井口 由香利, 栗山 裕司, 稲岡 忠勝, 宮崎 登美子, 柏 智之, 中野 良哉
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 209-212
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕足関節背屈可動域がしゃがみ込み動作時の足圧中心位置および動作の可否に与える影響について検討した。〔対象と方法〕健常成人42名(20.1±2.4歳)に対して足関節背屈可動域の測定としゃがみ込み動作時の重心動揺測定を実施した。〔結果〕しゃがみ込み動作が可能な対象者は42名中27名であった。足関節背屈可動域としゃがみ込み時の前後足圧中心位置偏位量の間には,r=0.718の有意な相関を認め,背屈可動域が小さいほど足圧中心位置は後方に偏位した。しゃがみ込み動作可能群と不可能群の足関節背屈可動域は,それぞれ18.9±4.6度,9.6±3.5度であり,可能群で有意に大きかった。足関節背屈可動域が小さくなるに従って,しゃがみ込み動作可能者は有意に少なくなり,10°未満では全例(9例)が不可能であった。逆に,20°以上の症例(13例)では全例が動作可能であった。〔結語〕足関節背屈可動域の不足は,しゃがみ込み動作時の足圧中心位置を後方へ偏位させ,背屈可動域がある一定以下に制限された場合,動作が不可能となることが示された。
  • 岩田 晃, 淵岡 聡, 木村 大輔, 樋口 由美, 灰方 淑恵, 上 勝也, 増原 光彦
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 213-216
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕二関節筋に対するストレッチングにおいて,肢位を変化させることによって,伸張部位が変化するかを検討した。〔対象〕若年健常男性7名とした。〔方法〕全ての被験者に1)SLR,2)HFKEの二つのストレッチングを行った。超音波を用いて半腱様筋の近位部と遠位部の二部位について構造学的評価を行い,ストレッチング方法による差を検討した。〔結果〕近位部では筋長に対する腱画,坐骨結節間距離の割合がSLRよりもHFKEの方が大きくなり,遠位部では羽状角がHFKEよりもSLRの方が小さくなり,筋厚に差は認められなかった。〔結語〕近位部はHFKEの方が,遠位部はSLRの方が伸張されることが明らかとなり,伸張部位を関節角度によって変化させることが可能であることが明らかになった。
  • 宮原 洋八, 西 三津代, 萩 裕美子
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 217-222
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,自立に影響する運動機能, 日常生活活動,社会的属性の関連を明らかにすることを目的とした。〔対象〕地域在住高齢者210名(平均年齢77.1歳)とした。〔方法〕初回調査時に性,年齢,痛み,既往歴,仕事の有無,生活機能を聴取し,運動機能4項目(握力,長座体前屈,閉眼片足立ち時間,10 m最大歩行速度)を測定した。8年後の追跡調査において,手段的自立にすべて「はい」と答えた者を自立とし,本研究の転帰とした。〔結果〕追跡調査で手段的自立が自立していた者は60%いた。追跡時の「自立群」,「非自立群」における初回調査時の測定項目の比較では,男性においては,既往歴,握力,10 m最大歩行速度,知的活動性,社会的役割に有意な差が認められ,女性においては,年齢,痛み,仕事,握力,長座体前屈,閉眼片足立ち時間,10 m最大歩行速度,手段的自立,知的活動性,社会的役割に有意な差が認められた。追跡調査時の自立と各測定項目との相関は,男性では,年齢,既往歴,知的活動性に有意な関連が認められ,女性では,既往歴以外の全ての項目に有意な関連が認められた。〔結語〕運動能力や生活機能を維持することが高齢期における自立を維持するために有用であることが示唆された。
  • 宮崎 純弥, 村田 伸, 荒川 千秋, 鈴木 秀次
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 223-226
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕Spinal Mouseを使用し,脊柱彎曲角度測定時に裸体の場合と肌着着用の場合での再現性について検討することである。〔対象〕健常成人男性20名とした。〔方法〕Spinal Mouseを用いて,裸体と肌着1枚着用した状態で脊柱彎曲角を各2回ずつ測定し,級内相関係数(ICC)を求めた。〔結果〕胸椎後彎角のICCは裸体で0.974,肌着着用で0.892であった。腰椎前彎角のICCは裸体で0.939,肌着着用で0.883であった。裸体と肌着着用の脊柱彎曲角の比較では2群間には有意差は認められず,その測定値の差は胸椎後彎角,腰椎前彎角ともに1.5度であった。〔結語〕裸体と肌着着用での再現性は「優秀」あるいは「良好」であり,2群間に差が認められず,かつ測定値の差が1.5度程度であることから,裸体になることが困難な場合は肌着着用でも信頼できる測定値が得られることが示唆された。
  • 上村 さと美, 秋山 純和
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 227-232
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕起立動作を反復する運動負荷法において,対象者の生理的運動強度と体格の関係を検討した。〔対象〕健常若年者群31名と高齢者群17名を対象とした。平均年齢は各群20.1歳と66.1歳であった。〔方法〕測定項目は酸素摂取量を生理的運動強度に設定し,身長,体重,座高,下肢筋力を体格とした。運動負荷プロトコルは3分間の安静座位の後に起立仕事率6から30(回/分)を各々3分間負荷する段階的負荷とした。酸素摂取量と体格の関係をピアソンの相関係数により検討を行った。危険率の有意水準は5%とした。〔結果〕若年者群では到達起立仕事率における酸素摂取量と身長に相関を認めた(r=0.74)。高齢者群では座高に相関を認めた(r=-0.54)。〔結語〕各対象者に同じ起立仕事率を設定する場合には,移動距離に関する身長や座高を考慮する必要がある。また年代により影響をおよぼす項目が異なることには,年代ごとの検討が示唆される。
  • 淵岡 聡, 野村 卓生, 灰方 淑恵, 林 義孝
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 233-237
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕変化著しい疾病構造に対応すべき切断者リハビリテーション(以下,切断者リハ)における理学療法教育のあり方を提言する。〔方法〕近畿圏の理学療法士養成校を対象に切断者リハに関する教育について郵送質問紙法による調査を行い,加えて臨床実習における切断症例の担当経験を調査した。〔結果〕切断者リハに関する授業時間は平均58.9時間,授業担当者は理学療法士が最も多かったが義肢装具士のみが担当している養成校もあった。教育目標は臨床実習の前後でより高いレベルに変更されていた。理学療法士の役割として断端管理や義肢装着訓練が最も重要と考えられていた。〔結語〕切断者リハにおける理学療法教育は,切断者医療の現状を把握して反映させるとともに臨床実習を含めたカリキュラムの工夫が必要であると考えられた。
  • 中島 大悟, 石丸 和也, 山崎 貴博, 阿南 雅也, 木藤 伸宏, 新小田 幸一
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 239-243
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,椅子からの立ち上がり動作(sit-to-stand,以下STS)における体幹運動への加齢及び動作スピードの影響を調べることを目的として行った。〔対象〕被験者は若年者19名と高齢者21名であった。〔方法〕快適および最大スピード条件でのSTSを三次元動作解析装置と床反力計を用いて計測した。身体重心(center of mass,以下COM)速度,COM座標-踵間距離,体幹角度と股関節角度の最大値,下肢関節モーメントを若年群と高齢群とで比較した。〔結果〕最大スピード条件での離臀時のCOM速度とCOM-踵間距離,体幹の屈曲最大値,最大スピード条件での股関節モーメントにおいて,高齢群は若年群より有意に小さかった。〔結語〕STSでは加齢により体幹屈伸運動は小さくなり,体幹運動がSTSにおける運動量の産生と制御に関与していることが示唆された。
  • 福島 浩史, 高橋 精一郎, 宮原 寿明
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 245-249
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕人工膝関節置換術後の自動介助練習と他動練習の練習方法の違いが膝関節可動性と疼痛に及ぼす影響を評価すること。〔対象〕人工膝関節の機種,術者,術式が同一の関節リウマチ患者34名。〔方法〕被検者を無作為に自動介助群17名と他動群17名に分けて理学療法を提供した。理学療法の時間・回数・量は統一した。測定項目は他動屈曲角度,他動伸展角度,120度獲得日数,CPM日数,練習時疼痛とし,各々の群間あるいは群内比較を行った。〔結果〕群間比較は他動屈曲角度,120度獲得日数,CPM日数,練習時疼痛で有意差が認められた。群内比較は他動屈曲角度,他動伸展角度で有意差が認められた。全測定項目で自動介助群では他動群と比べて良好な改善傾向がみられた。〔結語〕自動介助練習は膝関節の可動性改善と練習時疼痛の軽減により効果的であるが,適用者には理学療法士の十分な説明と指導が必要である。可動域の改善と疼痛軽減が効果的に得られる練習方法と各々の練習方法については科学的根拠に裏づけされる必要がある。
  • 峯松 亮
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 251-255
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕リラクセーション法の違いが身体反応に与える影響を調査することを目的とした。〔対象〕健常男性5名,女性6名の11名(23.7±3.6歳)とした。〔方法〕腹式呼吸,漸進的筋弛緩法,音楽鑑賞,アロマセラピーの4方法を実施し,その前後の呼吸数,心拍数,拡張期・収縮期血圧,立位体前屈指床間距離(以下FFD),膝伸展位股関節屈曲角度(以下SLR),計算問題正答数(以下計算力)の変化を調べた。〔結果〕腹式呼吸,音楽鑑賞,アロマセラピー,漸進的筋弛緩法の順で方法施行前後に有意な変化を示した測定項目が多かった。〔結語〕リラクセーション法のリハ現場への応用は,簡便でかつリラクセーション反応(筋緊張緩和など)が最も多く認められた腹式呼吸が適していると考えられた。
  • 杉浦 令人, 櫻井 宏明, 和田 弘, 坂倉 照妤, 金田 嘉清
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 257-264
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕要支援・軽度要介護高齢者が行える『安全・楽しく・長く』を念頭に構成した集団リズム運動が,高齢者の心身機能にどのような効果をもたらすのかを検証することである。〔対象〕某通所サービスを利用している要支援2~要介護度2の利用者20名(平均年齢79.5±7.2歳)である。〔方法〕対象者を無作為に介入群と対照群に割り付けた。介入群は個別運動プログラムと集団リズム運動,対照群は個別運動プログラムのみを実施した。効果判定を行うために,介入前,介入3ヶ月後,介入6ヶ月後に身体測定,体力測定,アンケート調査を実施した。〔結果〕 両群において下肢筋力の有意な改善がみられた。さらに,介入群ではバランス能力,歩行能力,精神機能の有意な改善がみられた。〔結語〕集団リズム運動は高齢者の身体機能,精神機能の改善に有益な運動療法の一つになる可能性が示唆された。
  • 松田 雅弘, 高梨 晃, 塩田 琴美, 宮島 恵樹, 野北 好春, 川田 教平, 細田 昌孝, 川口 祥子
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 265-269
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕腹部ベルトを使用し,腹部収縮時と姿勢の違いによる筋厚の変化を明らかにすることを目的とした。〔対象〕整形外科的な既往のない健常男性大学生15名(18-20歳)とした。〔方法〕腹部ベルトの有無と座位・立位姿勢で,腹部筋の収縮による腹部筋厚の変化について超音波測定装置で計測した。〔結果〕内腹斜筋・腹横筋の非収縮時と収縮時の筋厚はベルトの有無・姿勢に関係なく有意差があった。収縮圧変化を比較した結果,外腹斜筋ではベルト有りで有意に増加し,腹横筋はベルト有りで低下傾向があった。〔結語〕腹部ベルトは人工的に腹圧を向上させることで,外部腹部筋の活動に関して活動性を向上させるが,腹横筋に関しては抑制に働く傾向があると考えられる。
  • 八谷 瑞紀, 村田 伸, 新郷 修二, 大田尾 浩
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 271-274
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕地域在住の高齢者を対象に,起き上がり動作能力を定量的に評価し,それと上下肢および体幹機能との関連を検討した。〔対象〕通所リハビリテーション利用者19名(男性7名,女性12名,平均年齢76.3±8.3歳)を対象とした。〔方法〕握力(上肢機能),大腿四頭筋筋力(下肢機能),坐位バランス(体幹機能),歩行速度を測定し,起き上がり所要時間との相関を分析した。〔結果〕起き上がり所要時間と有意な相関が認められたのは坐位バランス,握力,歩行速度であった。〔結語〕比較的日常生活活動の自立度が高い高齢者の起き上がり動作には,上肢機能や体幹機能を用いることが示唆された。
  • 奥山 夕子, 園田 茂, 永井 将太, 谷野 元一, 登立 奈美, 坂本 利恵, 矢箆原 弥生, 菊池 麻里, 川原 由紀奈
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 275-280
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕訓練単位数が多くなればアウトカムもよくなるであろうという臨床上の印象を,訓練時間上限が2時間であった時点での訓練単位数とActivities of daily living(以下,ADL)の帰結との関係を後方視的に調査することで検証し,訓練時間上限3時間の効果検証を行う際の基礎情報を得ることを目的とした。〔対象〕2005年度に藤田保健衛生大学七栗サナトリウム回復期リハビリテーション病棟に入退棟した脳卒中患者362名とした。〔方法〕在棟期間を通しての理学療法と作業療法を加えた総訓練単位数と1日あたりの平均単位数を調査し,Functional Independence Measure(以下,FIM)運動項目合計点(以下,FIM-M)の相関関係と自宅復帰率を分析した。〔結果〕総訓練単位数は入退棟時のFIM-Mと負の相関があり,FIM-M利得とは正の相関を示した。1日平均5-6単位を行った群はそれより少ない訓練量の群に比べて良い成績を示さなかったが自宅復帰率は高かった。〔結語〕上限(6単位)訓練を行うことが必ずしも高いADLの帰結に結びついていなかった。訓練量と帰結の関係を検討する際は,訓練量の制限や訓練時間外の生活の影響などを考慮するべきである。
  • 江口 淳子, 小原 謙一, 渡邉 進, 石田 弘
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 281-284
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的はジムボールを用いたストレッチング運動がヒラメ筋の興奮性に及ぼす影響を評価することであった。〔対象〕下肢・体幹に疾患のない平均年齢24.7±3.9歳の健常男性10名であった。〔方法〕ヒラメ筋の興奮性の評価にはH波を用いた。運動の有無で異なる2つの条件を設定した。対照条件下では安静仰臥位を1分間とらせた。運動条件下では同じ被験者にジムボールを用いたストレッチング運動を1分間行わせた。各条件を施行する前後のヒラメ筋H波を計測し,各条件で前後のH波を比較した。〔結果〕運動条件下では運動前に比べ運動後でH波振幅は有意に小さい値を示した。一方安静条件下では,前後に有意差はなかった。〔結語〕ボールを用いたストレッチング運動を行うことで,ヒラメ筋のH波の振幅は小さくなり,ヒラメ筋の興奮性は抑制されたと考える。
  • 松田 智行, 川間 健之介, 長山 七七代, 佐藤 裕子
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 285-290
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,脳血管障害者の高いQOL実現をめざしたリハビリテーションにおいて,理学療法士(PT)と作業療法士(OT)の対応に関する要因を検討し,職種と急性期,回復期,維持期における発症期別リハビリテーションに応じて対応が異なるかを明らかにすることである。〔対象と方法〕脳血管障害者のQOL実現をめざしたPTとOTの対応に関する調査票を作成した。調査方法は,PTとOT348名を対象に,郵送による質問紙調査を実施した。〔結果〕対応に関する要因は「自己選択の尊重」,「服薬管理の指導」,「自助グループの紹介」,「全人的対応」,「家族の受け入れ」,「社会資源の活用」,「自己決定による生活機能の向上」の7要因が抽出された。そして,「全人的対応」は,PTよりもOTの方が肯定的であった。さらに,発症期により,「自己選択の尊重」と「社会資源の活用」について対応が異なることが明らかになった。〔結語〕PTとOTは,発症から回復過程に従い,脳血管障害者の自己選択の尊重や社会資源を活用した対応をすることが示唆された。
  • 中俣 修, 金子 誠喜
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 291-297
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕上肢運動の基盤を与える体幹部の姿勢保持に関わる体幹筋の活動を,運動負荷の方向と体幹筋の作用線方向の関係を考慮して筋電図学的に分析することを目的とした。〔対象〕健常男性8名を対象とした。〔方法〕前方(体幹長軸に直交)および下方(体幹長軸に平行)への等尺性の上肢の押し動作を異なる運動負荷量で行わせ,その時の体幹筋の活動を表面筋電図を用いて計測した。運動負荷方向と運動負荷量の体幹筋活動量への影響を2元配置分散分析により分析した。〔結果〕 腹直筋,外腹斜筋,内腹斜筋の筋活動は,前方および下方への運動負荷方向において運動負荷量に応じて増加した。腹直筋の筋活動には運動負荷方向の影響を認め,前方への押し動作と比較して下方への押し動作で大きかった。最長筋,多裂筋の筋活動には運動負荷量による相違を認めたが,その筋活動は小さかった。〔結語〕腹直筋の筋活動には運動負荷方向の影響を認め,作用線方向である体幹長軸方向へ作用しやすい特徴をもつと考えられた。
  • 大沼 剛, 橋立 博幸, 牧迫 飛雄馬, 阿部 勉, 鈴川 芽久美, 吉田 英世, 島田 裕之
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 2 号 p. 299-303
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/05/27
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢者における転倒の多くは滑りやつまずきといった外乱刺激が加わった時に生じており,既存の評価指標では明らかにすることのできない転倒リスク保因者を,外乱刺激を与えることで発見できる可能性がある。そこで本研究では,新たに開発した歩行時側方傾斜外乱刺激装置を用いて,高齢者と若年者の外乱負荷応答の違いを明らかにすることを目的とした。〔対象〕対象は,高齢者群13名(年齢77.9±3.9歳),若年者群15名(年齢20.1±3.1歳)であった。〔方法〕測定は重心動揺計を用い,至適歩行速度での歩行中,不意に与えられた側方傾斜外乱刺激に対する反応を計測し,反応動態を高齢者と若年者とで比較した。〔結果〕重心の座標推移から加速度を算出した結果,高齢者群は若年者群に比べ,外乱刺激に対して姿勢バランスを保持する二次的な負荷応答が有意に小さかった。〔結語〕この指標が外乱刺激に対する高齢者と若年者の反応動態の違いを反映している可能性が示唆された。
症例研究
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