2010 年 25 巻 3 号 p. 357-362
〔目的〕前方・側方ステップの接地後に生じる下肢の各関節パワーとエネルギーについて,若年者と高齢者の違いを明らかにした。〔対象〕若年者10人,高齢者12人とした。〔方法〕3次元動作解析装置を用いてステップ動作を計測してパワーを算出し,2つのステップ動作を分析し比較した。〔結果〕前方ステップでは,高齢者で各関節の負のパワーの負のピーク値,負のエネルギーが有意に小さく,各関節の制動時間が長かった。側方ステップでは,高齢者で負のパワーの負のピーク値が有意に小さく,制動時間が長かった。〔結語〕高齢者では若年者に比べ,エネルギーを吸収する迄の時間が長く,エネルギーを下肢3関節で素早く吸収する能力が低下していることが転倒の要因として考えられた。