理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
25 巻 , 3 号
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原著
  • 井上 順一朗, 小野 玲, 平田 総一郎, 西山 隆之, 三輪 雅彦, 黒坂  昌弘
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 311-316
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,股関節障害を有する者について,運動習慣の現状を調査し,運動習慣と関連する要因を痛み,歩行能力,self-efficacy,social supportから検討することである。〔対象〕股関節障害にて通院中の90名(61.4±11.6歳)とした。〔方法〕運動習慣は現在の運動の有無と最もよく行っている運動の種目とした。痛み,歩行能力は股関節機能判定基準を用い,self-efficacy,social supportについては質問紙を用いた。〔結果〕運動習慣は38名(42%)が有しており,最も多かった種目はプールで16名(42%)であった。ロジスティック回帰分析による関連要因の調整後では,運動習慣と関連する要因はself-efficacyのみであった。〔結語〕股関節に障害を有している者の運動習慣の定着化には,運動self-efficacyなどの心理的側面を考慮したアプローチが重要であることが示唆された。
  • 山田 英司, 森田 伸, 田仲 勝一, 内田 茂博, 伊藤 康弘, 藤岡 修司, 板東 正記, 田中 聡, 真柴 賛, 千頭 憲一郎, 有馬 ...
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 317-321
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕膝関節術後早期の膝伸展筋力の回復と神経因子との関係について明らかにする。〔対象〕当院にて人工膝関節単顆置換術が施行された11名とした。〔方法〕術前と術後5日目より休祭日と特別な場合を除いて退院時まで毎日,最大等尺性膝伸展筋力と外側広筋の表面筋電図を測定した。最大筋力発揮時の平均積分値と高速フーリエ変換による中間周波数を算出し,術後5日目の値を100%として正規化し,比較した。〔結果〕最大等尺性膝伸展筋力は術直後,最も低下し,13日目以降の値は術前値と有意差を認めなかった。平均積分値も術直後に最も低下し,その後増加した。しかし,中間周波数は術後から有意に低下した。〔結語〕発揮する筋力を増強させ,かつ,積分値の増加と周波数の低下をもたらす因子は同期化のみである。これらのことから,術後早期の筋力回復に運動単位の同期化が関与している可能性が示唆された。
  • 井上 和章, 清水 ミシェル・アイズマン, 沖田 一彦
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 323-328
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中片麻痺者の自立歩行能力を判別するのに有効な指標について検討した。〔対象〕脳卒中発症後1ヶ月以上経過した片麻痺者62名(歩行自立群34名,非自立群28名)であった。〔方法〕歩行時に必要と考えられる運動機能と認知機能を,Functional Balance Scale(FBS)下位4項目(立位保持・移乗・前方リーチ・360°回転)のテストと,‘Stops walking when talking' test(SWWT)によって評価した。なお,FBSは境界点への到達項目数で判定した。統計的手法としては,二群間で各調査項目の差異を比較し,有意差の認められた項目を独立変数に,歩行自立度を従属変数にしてロジスティック回帰分析を行った。〔結果〕1) FBS4項目到達・SWWT歩行継続,2) FBS4項目到達・SWWT歩行停止,3) FBS3項目到達・SWWT歩行継続の場合には自立歩行が可能と判定された。〔結語〕境界点への到達項目数という新たな視点からFBSを用いるとともに,歩行中の認知機能評価という新たな指標を取り入れることで,より実践的な自立歩行能力の把握が可能になると考えられた。今後は縦断的かつ前向きな調査を行い,判断指標としての妥当性を検証していく必要がある。
  • 中野 英樹, 芝田 都季子, 川見 清豪, 藤田 浩之, 吉田 慎一, 河村 章史, 森岡 周
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 329-332
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,随意運動および運動観察が運動関連脳電位に及ぼす影響について検討した。〔対象〕対象は,エディンバラ利き手テストにて右利きを示した健常成人8名とした。〔方法〕机上にて対象者自身がカップを把持し,肘関節屈曲運動を行う課題(課題A)と,他者が同様の運動を行うのを対象者が観察する課題(課題B)を実施した。課題A,Bにおける対象者の運動関連脳電位を測定した。測定部位は国際10-20法におけるCzとした。筋電図は上腕二頭筋から測定し,波形の立ち上がりをトリガーとした。抽出項目は運動関連脳電位の出現時間と最大振幅とした。〔結果〕課題A,Bともに運動関連脳電位の出現が認められ,出現時間と最大振幅に有意差は認められなかった。〔結語〕運動観察時には随意運動時と同様の運動関連脳電位が出現することが明らかとなった。
  • 河戸 誠司, 千住 秀明, 濱出 茂治
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 333-336
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕筋力増強を目的とする筋への電気刺激と,同時にその拮抗筋の求心性収縮により生じる遠心性収縮を利用した筋力増強法の効果について,大腿四頭筋を対象に検討することである。〔対象〕健常成人20名を対象とした。〔方法〕低周波電気刺激を内側広筋,大腿直筋,外側広筋に与え,膝関節の屈曲運動によって生じる遠心性収縮を利用した筋力トレーニングを20分間/回,週3回,4週間行った。測定項目を大腿四頭筋力と大腿周囲径とし,トレーニング前,2および4週間後に測定した。〔結果〕大腿四頭筋力は2週間後に22.9%,4週間後に44.3%に増加し,大腿周囲径は4週間後に有意に増加した。〔結語〕本法は関節運動を利用した筋力増強法であり,簡便な電気刺激装置を用いているため臨床の理学療法に幅広く利用可能と考えられた。
  • 木野田 典保
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 337-342
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,成人健常者(20・30歳代)について歩行時に発生する身体に関する意識について明らかにすることにある。〔対象〕成人健常者48名。年齢は20歳から30歳代とし,平均25.7±3.6歳である。〔方法〕対象者に室内平地にて10 mの裸足歩行を行わせ,その時の身体感覚について半構造化面接を実施した。インタビューによる回答は筆記にて記録し,得られた言語データを修正版グラウンデッドセオリーアプローチにて分析した。〔結果〕得られた言語データより注目すべき点を抽出し分類を試みると,【違和感として感じる身体】,【外部環境との間に生じる感覚】,【意識化されやすい身体イメージ】という3つの概念が下層である定義の内容とともにあげられた。〔結語〕これらの結果はもっぱら環境との関係や身体内部間の関係として意識され報告されており,身体の意識とは関係の意識であると考えられた。臨床への応用として患者への指導においても関係の意識を探り,重視していくことが大切であると提案できる。
  • 山崎 貴博, 木藤 伸宏, 阿南 雅也, 新小田 幸一
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 343-348
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,膝OAの歩き始めに生じる膝関節のメカニカルストレスを解明することを目的とし,歩き始めを捉えるうえで,外部膝関節内反モーメントが重要な指標であることを明らかにすることである。〔対象〕対象者は変形性膝関節症の女性10名と健常中年者の女性9名であった。〔方法〕課題動作は歩き始めと定常歩行とし,各動作は3次元動作解析装置と床反力計を用いて立脚肢の外部膝関節内反モーメントを算出した。そして,変形性膝関節症者と健常者における歩き始めと定常歩行時の立脚肢の外部膝関節内反モーメントの差を比較することとした。〔結果〕外部膝関節内反モーメントは二元配置分散分析の結果,群の主効果のみに有意差が認められ,課題動作の主効果には有意差は認められなかった。〔結語〕膝OAは健常者より外部膝関節内反モーメントが増大しており,歩き始めと定常歩行とでは同程度の外部膝関節内反モーメントの大きさであった。膝OAの歩き始めを捉えるうえで,外部膝関節内反モーメントは膝関節のメカニカルストレスを反映する重要な指標であると考えられる。
  • 武井 圭一, 金子 誠喜, 國澤 洋介, 高倉 保幸, 山本 満
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 349-355
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕発症後早期の脳卒中片麻痺者への部分免荷トレッドミル歩行練習(BWSTT)短期介入の適応となり得る対象を選定することである。〔対象〕脳卒中片麻痺者28例。〔方法〕免荷量を体重の20%としたBWSTT介入を連続5日間で行った。対象の分類には,従属変数を介入前後の歩行速度変化,独立変数を年齢,病型,発症後日数,下肢ブルンストロームステージ(下肢ステージ),介入前の歩行速度,遊脚相の対称性(対称性)としてClassification & Regression Trees(CRT)を用いた。〔結果〕下肢ステージがV以上,対称性が0.90以下の左右非対称群(n=11)の予測値は19.6 m/min,下肢ステージがV以上,対称性が0.91以上の高歩行能力群(n=6)は7.2 m/min,下肢ステージがIV以下の中等度麻痺群(n=11)は8.1 m/minであった。決定係数は0.60であった。〔結語〕発症後早期におけるBWSTTの短期介入は,麻痺側下肢運動機能は良好ながら,左右非対称の歩行パターンを呈する症例に対して適応になり得ると考えた。
  • 小比賀 柚木, 山田 拓実, 江原 義弘, 伊藤 弥生
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 357-362
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕前方・側方ステップの接地後に生じる下肢の各関節パワーとエネルギーについて,若年者と高齢者の違いを明らかにした。〔対象〕若年者10人,高齢者12人とした。〔方法〕3次元動作解析装置を用いてステップ動作を計測してパワーを算出し,2つのステップ動作を分析し比較した。〔結果〕前方ステップでは,高齢者で各関節の負のパワーの負のピーク値,負のエネルギーが有意に小さく,各関節の制動時間が長かった。側方ステップでは,高齢者で負のパワーの負のピーク値が有意に小さく,制動時間が長かった。〔結語〕高齢者では若年者に比べ,エネルギーを吸収する迄の時間が長く,エネルギーを下肢3関節で素早く吸収する能力が低下していることが転倒の要因として考えられた。
  • 足立 和美, 山崎 俊明
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 363-367
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ラットの後肢懸垂法による廃用性筋萎縮において筋核数と筋核ドメインサイズの変化が筋線維横断面積の減少にどのように関与しているかを分析・検討することである。〔対象〕7週齢のWistar系雄ラット45匹のヒラメ筋とした。〔方法〕非荷重期間を3日,7日,10日,14日に分類し,筋萎縮過程を分析した。〔結果〕筋核数は非荷重7日から14日に著明に減少し,非荷重14日群でのみ有意な減少を認めた。一方,筋核ドメインサイズは非荷重0日から7日で著明な減少が認められた。〔結語〕筋萎縮過程において筋核数・筋核ドメインサイズ共に減少したが,筋核数と筋核ドメインサイズの著明な減少時期に相違が認められた。この変化の違いが,再荷重や治療的介入を行った際の治療・予防効果に影響を与える可能性がある。
  • 松尾 奈々, 村田 伸, 宮崎 純弥, 甲斐 義浩
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 369-372
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高さの異なる足台に,片脚を乗せた際の胸椎後彎角と腰椎前彎角の変化について検討した。〔対象〕某医療系大学所属の健常成人女性13名(21.7±3.8歳)とした。〔方法〕10 cm,20 cm,30 cmの足台に,それぞれ片脚を乗せた姿勢での胸椎後彎角と腰椎前彎角の変化を比較した。〔結果〕]腰椎前彎角は,安静立位および前方踏み出し姿勢と比較して,20 cm足台と30 cm足台で有意な減少が認められた。胸椎後彎角については,有意な変化は認められなかった。〔結語〕20 cm以上の高さがある足台に片脚を乗せることは,腰痛患者に対して,腰椎前彎の減少を目的としたADL指導における一指標となることが推察された。
  • 峯松 亮
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 373-377
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕理科科目の履修状況と運動学の成績との間に関連があるか否かを調査することを目的とした。〔対象〕運動学履修者214名を対象とした。〔方法〕高校時および大学教養課程での理科科目履修状況と運動学講義後の定期試験の成績との関連を調べた。〔結果〕理系,非理系間の運動学成績には有意な差は認められなかった。高校時の化学履修者は化学非履修者よりも有意に成績は高かったが,大学教養過程における理科科目の履修状況別による成績の差は認められなかった。理系および非理系と再試該当者との間に関連は認められなかった。〔結語〕運動学の成績は理科科目の履修状況に影響される可能性は低いと考えられた。その理由として,本学学生は高校,大学で一通り理科科目を履修していること,運動学の履修においては,物理,化学,生物を学ぶのではなく,これらの知識の一部を利用する程度であることが考えられた。
  • 宮崎 純弥, 村田 伸, 堀江 淳, 鈴木 秀次
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 379-383
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕男性高齢者における30秒間の開眼片足立ち保持の臨床的意義ついて,身体機能との関係から検討した。〔対象〕健康調査に参加した男性高齢者57名とした。〔方法〕30秒間の開眼片足立ち保持が可能な者(可能群)と保持ができない者(不可能群)における矢状面脊柱アライメント,大腿四頭筋筋力,足把持力,最大歩行速度,Timed Up and Go test,10 m障害物歩行,6分間歩行距離テストについて,年齢を共変量とした共分散分析で比較した。〔結果〕胸椎後彎角以外のすべての測定項目で,2群間に有意差を認め,可能群が高い能力を示した。〔結語〕開眼片足立ち保持時間が30秒保持可能群と不可能群では,明らかに身体機能に差を認めることから,臨床的意義があることが示唆された。
  • 渡邉 陽介, 横山 仁志, 笠原 酉介, 堅田 紘頌, 八木 麻衣子, 小山 照幸
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 385-390
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,肺切除術における術後呼吸器合併症の併発率や,合併症併発の予測因子について明らかにすることを目的に検討した。〔方法〕肺切除術を施行した全146例を対象とし,呼吸器合併症の有無を診療録より後方視的に調査し,呼吸器合併症の併発率,併発日を算出した。そして,術後呼吸器合併症の予測因子について,ロジスティック回帰分析を用いて検討した。〔結果〕術後呼吸器合併症の併発率は4.1%(146例中6例)と極めて低値を示し,併発日は2.2±2.2日であった。また,術前屋外自立歩行の可否(オッズ比15.2),慢性呼吸器疾患合併の有無(オッズ比9.9)が,呼吸器合併症の併発に独立して影響を与えていた。〔結語〕従来の報告に比較し,術後呼吸器合併症の併発率は低下傾向にあり,その予測因子も変化していることが推察された。
  • 内山 圭太, 寺田 茂, 宮田 伸吾, 松井 伸公, 三秋 泰一
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 391-395
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕運動耐容能の指標である最高酸素摂取量(peak VO2)に最も強く関与している局所筋機能を検証した。〔対象〕健常男性30名(平均年齢:22.9±2.1歳)とした。〔方法〕対象者に心肺運動負荷試験を課した。運動負荷には自転車エルゴメーターにて30 Watt/分のramp負荷運動を用い,呼気ガス分析からpeak VO2を測定した。同時に近赤外線分光法にて外側広筋の筋酸素動態測定を行い,脱酸素化レベルを算出した。筋力は膝関節屈曲90度での最大等尺性収縮にて測定し,筋持久力は最大筋力の30%の負荷で等張性膝関節伸展運動にて測定した。統計学的分析は重回帰分析を行った。〔結果〕脱酸素化レベルと筋力が有意な説明変数として選択され,その標準化偏回帰係数はそれぞれ0.442と0.347であった。〔結語〕peak VO2に強い関与を示す局所筋機能として脱酸素化レベル,筋力が選択され,この両者を向上させるプログラムがpeak VO2の向上に効果的であることが示された。
  • 今 直樹, 高見 彰淑, 皆方 伸, 佐々木 誠
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 397-402
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,脳卒中片麻痺患者において,歩行・立ち上がり能力には両脚同時での筋力発揮,片脚ずつの筋力発揮のいずれが重要なのかを明らかにすることを目的とした。〔対象〕対象は,下肢Brunnstrom stage III以上の脳卒中片麻痺患者53名とした。〔方法〕対象者の等速性脚伸展筋力を測定しこれらを体重で除した値(以下,レッグパワー)を算出し,また対象者の10 m最大歩行時のパラメータ,30秒間立ち上がりテスト(以下,CS-30)を測定した。〔結果〕麻痺側レッグパワーは麻痺が重度なほど低値を示した。歩行能力は麻痺側レッグパワーとの相関が最も高く,CS-30は麻痺側・非麻痺側レッグパワーの和との相関が最も高かった。また,両脚レッグパワーを麻痺側・非麻痺側レッグパワーの和で除した値は重度片麻痺群で高値を示し,歩行能力,CS-30は,両脚レッグパワーを麻痺側・非麻痺側レッグパワーの和で除した値との間に負の相関を認めた。〔結語〕歩行能力には麻痺側レッグパワー,立ち上がり能力には麻痺側,非麻痺側それぞれのレッグパワーが重要と考えられた。また,重度片麻痺患者において,両脚同時の伸展運動が麻痺脚の機能を改善させる可能性が示唆された。
  • 川中 麻由美, 佐々木 誠
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 403-406
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,悪路が立位バランスならびに歩行中の段差の踏み越え動作に及ぼす影響を明らかにすることである。〔対象〕健常学生16名を対象とした。〔方法〕平地と砂利における静的立位姿勢での重心動揺測定と歩行中の段差踏み越え動作における床反力測定を行った。〔結果〕静的立位姿勢での重心動揺は,総軌跡長,矩形面積,実効値面積,X方向最大振幅,Y方向最大振幅ともに,2条件間で有意差は認められなかった。歩行中の段差踏み越え動作における床反力測定では,平地に比較して砂利で垂直方向第2ピーク荷重,前後方向駆動力ピーク荷重が有意に低値を示した。〔結語〕以上より,砂利による悪路は静的バランスには影響しないが,歩行ではdouble knee actionの不備が生じ,足尖離地期の蹴りが弱くなることが明らかとなった。
  • 大藤 範之, 水上 憲昭, 薗田 謙, 鈴木 昌道, 勝平 純司, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 407-411
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では階段昇段における足底感覚鈍麻の影響を示すために,足底冷却前後の階段昇段動作を運動学,運動力学的に分析した。〔対象〕健常成人男性8名とした。〔方法〕氷塊による足底冷却前後での階段昇段動作を三次元動作分析装置と床反力計を用いて計測した。〔結果〕冷却後では冷却前と比較して,体幹の前傾角度,腰部・股関節・足関節の伸展モーメントの増大と膝関節伸展モーメントの減少がみられた。〔結語〕冷却による足底感覚鈍麻により被験者は感覚が優位な前足部で踏面に接地したと考えられる。このストラテジーにより,体幹前屈角度が増加し,膝関節伸展モーメントが低下した一方で,腰部・股関節・足関節の伸展モーメントが増大したと考えられる。以上より,足底感覚が昇段動作における腰部および下肢関節の運動学,運動力学的なストラテジーに影響を与えていることが示唆された。
  • 田中 真一, 古島 由紀, 村田 伸, 梅井 凡子
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 413-417
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,学生のシャイネス感情と社会的スキルとの関連性を検討するとともに,実習前後のシャイネス感情と社会的スキルの変化を検討することである。〔対象〕学生88名,PT・OTの有資格者57名を対象とした。〔方法〕3週間の実習前後に特性シャイネス尺度と社会的スキル(KiSS-18)の調査を実施した。またPT・OTの有資格者に同様の調査を実施した。〔結果〕学生のシャイネス尺度は実習後有意に高まったが,社会的スキルには有意な変化は認められなかった。シャイネス尺度とkiss-18の相関は,学生の実習前後,および有資格者,すべてに有意な相関が認められた。〔結語〕本研究の結果,学生の実習後において,シャイネス感情は有意に高まったが,社会的スキルに変化は認められなかった。実習において社会的スキルの向上が認められなかった原因の一つにシャイネス感情の高まりが考えられ,学内教育においても対人スキルの教育が重要であると考えられた。
  • 信迫 悟志, 清水 重和, 三鬼 健太, 玉置 裕久, 森岡 周
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 419-425
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,機能的近赤外分光法(fNIRS)を使用し,後方観察による他者の視線方向の認知に関与する大脳皮質領域を調査することである。〔方法〕対象は健常成人7名とし,安静条件と以下の課題3条件における大脳皮質の神経細胞活動を反映する酸素化ヘモグロビン(Oxy Hb)濃度長を測定した。課題条件1.自己の頭部運動による視線移動。課題条件2.他者の視線移動の後方からの観察。課題条件3.後方からの観察による他者の視線方向の認知。統計学的検討にはwilcoxon符号付き順位和検定を使用し,有意水準は5%未満とした。〔結果〕安静条件と比較して,課題条件1では左前運動皮質に,課題条件2では左上側頭溝領域に,課題条件3では左上側頭溝領域に加えて両側前運動皮質に,それぞれOxy Hb濃度長の有意な増加が認められた。〔結語〕後方からの観察による他者の視線方向の認知には,自己の頭部運動のシミュレーションや観察対象の行為の目標を認識する前運動皮質が関与していることが示された。
  • 大田尾 浩, 村田 伸, 村田 潤, 中村 正造, 溝上 昭宏, 小野 武也, 川上 照彦
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 427-430
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕座位での下肢荷重力測定法について,下肢筋力や座位保持能力との関連性から,その測定値が示す意義と臨床的有用性を検討した。〔対象〕脳卒中片麻痺患者15名(男性10名,女性5名),平均年齢は74.7±5.3歳であった。〔方法〕下肢荷重力比,下肢筋力比,座位保持能力を測定し,それぞれの測定値について相関分析を行った。〔結果〕それぞれの測定項目間に有意な正の相関が認められた。脳卒中片麻痺患者における下肢荷重力比は下肢筋力比のみならず,座位保持能力との関係が示された。〔結語〕座位での下肢荷重力測定法は,脳卒中片麻痺患者の下肢機能ならびに体幹機能を総合的かつ定量的に評価できることが示唆された。
  • 村田 伸, 大田尾 浩, 村田 潤, 堀江 淳, 鬼塚 美佳, 横山 智子, 原 広光
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 431-435
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,CS-30を虚弱高齢者用に修正したFrail CS-10の有用性について,虚弱高齢者の下肢筋力や歩行能力との関連性から検討した。〔対象〕虚弱もしくは軽度要介護高齢者117名(男性54名,女性63名),平均年齢は77.9±9.0歳であった。〔方法〕Frail CS-10と大腿四頭筋筋力および歩行速度やTUGとの関連について,性別毎にピアソンの相関係数を求めて検討した。〔結果〕Frail CS-10は下肢筋力の指標とした大腿四頭筋筋力,歩行能力および立位バランス能力の指標とした歩行速度やTUGとの間に,男女ともに有意な相関が認められた。〔結語〕Frail CS-10は虚弱高齢者の下肢筋力のみならず,歩行能力やバランス能力をも反映する簡便なテスト法である可能性が示唆された。
  • 長谷川 正哉, 島谷 康司, 金井 秀作, 沖 貞明, 清水 ミシェルアイズマン, 六車 晶子, 大塚 彰
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 437-441
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕浮き趾が歩行中の足底圧に与える影響について調べることを目的とした。〔対象〕健常成人女性104名に対し静止立位時の足趾接地状態の評価を行った結果から,浮き趾群20名および完全接地群15名を実験対象として抽出した。〔方法〕浮き趾群および完全接地群に対し歩行中の足底圧の計測を行い,足趾および前足部の荷重量,足底圧軌跡の軌跡長を抽出し比較検討した。また軌跡の特徴を分類し比較検討した。〔結果〕完全接地群と比較し浮き趾群では,足底圧軌跡長,足趾荷重量が小さく,足底圧軌跡が足趾まで到達しないことが確認された。〔結語〕浮き趾群では足趾による安定した支持基底面の形成ができず,歩行中の重心の前方移動が困難であること,および中足骨頭部に荷重が集中し,足部のアライメント異常につながる可能性があることが示唆された。
  • 柏 智之, 明崎 禎輝, 野村 卓生, 田岡 理佳子, 加藤 正広, 中村 久子, 佐藤 厚
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 443-446
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,女性勤労者における弾力性ストッキングによる下肢の浮腫抑制効果について検討した。〔対象〕立位勤務を主とする女性勤労者30名(平均年齢45.1±9.8歳)を対象とした。〔方法〕実験開始から,各1週間で計3週間の3つのステージ,ベースライン期(通常のストッキング着用),介入期(弾力性ストッキング着用),フォローアップ期(通常のストッキング着用)をこの順に設け,下肢周径の1日の変化率をステージ間で比較した。〔結果〕下腿最大部は左右ともに,下腿最小部および前足部は左下肢のみに,ベースライン期と比較して介入期で下肢周径の平均変化率に有意な減少を示した。〔結語〕弾力性ストッキングの着用は下肢浮腫抑制に有用な方法であることが示唆された。
  • 加藤 明未, 佐々木 誠
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 447-450
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は下肢機能の左右の相違を明らかにすることである。〔対象〕健常学生24名とした。〔方法〕片膝しゃがみ位における骨盤に対する重錘による外乱刺激を,利き脚を前に出して利き脚側から加えた場合,非利き脚を前に出して非利き脚側から加えた場合の2種類,利き脚を前に出して非利き脚側から加えた場合,非利き脚を前に出して利き脚側から加えた場合の2種類それぞれで重心動揺と床反力を比較した。〔結果〕重心動揺ではX方向(左右方向)最大振幅が,非利き脚を前に出して非利き脚側からの外乱刺激を加えた場合より,利き脚を前に出して利き脚側からの外乱刺激を加えた場合で有意に小さかった。また,床反力測定値で,Z方向(垂直方向)最大床反力が,利き脚を前に出して非利き脚側からの外乱刺激を加えた場合より,非利き脚を前に出して利き脚側からの外乱刺激を加えた場合で有意に小さかった。〔結語〕以上の結果より,非利き脚は外乱刺激に対して対処することに優れている脚であることが示唆され,利き脚と非利き脚の機能の相違の一部が示された。
  • 万行 里佳
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 451-455
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕参加型糖尿病予防教室の中で,行動変容理論を用いたグループワーク(以下,GW)を行い,その役割や効果について検討した。〔対象〕参加者は境界型糖尿病者男性3名,女性5名(平均年齢57.6±11.2歳)。〔方法〕教室の内容は,保健師らによる講義や実習12回のうち,行動変容理論を用いたGWを6回実施した。介入前後に生活習慣,血液検査,血圧,肥満度を測定し,終了後にGW内容の評価を実施した。〔結果〕介入後,半数以上に生活習慣の改善がみられた。血圧,血液検査,肥満度の変化はなかった。GWの評価は中-高評価であった。〔結語〕行動変容理論を用いたGWと講義や実習により生活習慣が改善された。しかし,血液検査や肥満度への改善効果はなかった。
  • 万行 里佳
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 457-462
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕糖尿病患者の運動療法を指導している理学療法士(以下PT)からみた指導の実施状況や問題点について質問紙による調査および検討を行った。〔対象〕日本糖尿病学会認定医が所属する医療施設においてPTが勤務する772施設のPTを対象とした。〔方法〕自記式質問紙を郵送し,回収した。〔結果〕質問紙の回収率は81%。そのうちPTが糖尿病患者の指導を実施している施設は4割未満であった。実施上の主な問題点は「糖尿病は,理学療法の診療報酬の対象とならない」,「動機付けの低い糖尿病患者への効果的な指導が困難」などであった。〔結語〕糖尿病患者への理学療法の施行では,医療保険制度上,実施が容易ではなく,また,指導する場合は,疾患の特性に配慮することやチームアプローチが重要であることが示された。
  • 平井 達也
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 463-467
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕目標物の有無が座位でのリーチ距離の見積もりに与える影響を調べた。〔対象〕対象は健常若年成人25名(平均年齢23.2±3.6歳)であった。〔方法〕目標物あり条件と目標物なし条件でリーチ距離の見積もりを測定し,実際のリーチ距離と見積もり距離の差(見積もり誤差)とその絶対値(|見積もり誤差|)を算出した。〔結果〕見積もり誤差では目標物あり条件の方がなし条件に比べ有意に大きかったが,|見積もり誤差|では2つの条件に有意差は認められなかった。目標物あり条件では92%の対象者が過大(見積もり値>実測値)に,なし条件においても92%の対象者が過小(見積もり値<実測値)に見積もる傾向にあった。〔結語〕目標物の有無は見積もりに影響を与えることが明らかとなった。
  • 安田 直史, 村田 伸, 村田 潤
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 3 号 p. 469-472
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕軽度要介護後期高齢者女性の手指運動機能と,手指筋力や感覚機能,および反応時間との関連について検討した。〔対象〕通所リハビリテーション施設を利用中の軽度要介護後期高齢者女性23名(平均年齢83.4±4.2歳),46肢とした。〔方法〕手指運動機能,手指筋力(握力・ピンチ力),感覚機能,反応時間を測定し,手指運動機能とそれ以外の項目との関係の有無をピアソンの相関係数により分析した。〔結果〕手指運動機能と光反応時間および手指感覚との間に有意な負の相関が認められた。一方,握力,ピンチ力との間には有意な相関は認められなかった。〔結語〕軽度要介護後期高齢者女性の手指運動機能は手指筋力よりむしろ,反応時間や手指感覚に影響を受けやすいことが示唆された。
症例研究
  • 榊原 僚子, 加藤 宗規, 菅沼 一男, 芹田 透, 知念 紗嘉
    原稿種別: 症例研究
    2010 年 25 巻 3 号 p. 473-479
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/28
    ジャーナル フリー
    〔目的〕股関節痛と歩行困難を呈していた症例に対して,応用行動分析学に基づいた介入を行った結果について検討すること。〔対象〕両側変形性股関節症による股関節痛の増強により歩行不可能となり他院での4ヶ月の入院後,当院での外来通院を開始した52歳女性であった。〔方法〕1日で歩行した歩数(歩行量),歩行時痛についてベースライン測定後に行動分析を行い,規定した目標歩行量の遵守と自己記録を行動とした介入を設定した。介入の有効性について,1セッションが約3ヶ月間の7セッションの経過における歩行量,歩行時痛,使用する歩行補助具から検討した。〔結果〕行動は継続され,歩行量のばらつきと歩行時痛が減少し,歩行補助具は両松葉杖からT字杖に変化した。[結語]応用行動分析学を用いた今回の介入は,変形性股関節症で慢性的な強い歩行時痛を有していた症例に対して,理学療法士による1日の歩数を制限する指導を長期にわたり遵守させ,痛みと歩行能力の改善に影響したと考えられた。
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