理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
妊産褥婦の尿失禁に関する実態と関連要因について
─妊娠期から産後1ヶ月までの調査より─
田尻 后子曽我部 美恵子田村 一代藤沢 しげ子丸山 仁司
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2010 年 25 巻 4 号 p. 551-555

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抄録
〔目的〕女性の尿失禁を改善するための運動療法の基礎研究として妊娠中,産後1ヶ月までの尿失禁の実態を捉えることとした。対象:産後1ヶ月の褥婦560名とした。〔方法〕質問用紙(属性,生活習慣,尿失禁に関する項目合計21質問項目)にて実施した。〔結果〕尿失禁があった者は54.5%で,腹圧性尿失禁が69.8%で最も多く,次に混合性尿失禁で20.0%,切迫性尿失禁が10.2%であった。初発時期は妊娠期に86.3%と多く,その中でも妊娠8ヶ月が最も多かった。尿失禁の関連要因としてロジステック回帰分析を行った結果,有意差がみられたものは,分娩様式,初・経産,年齢の3項目であった。〔結語〕妊産褥婦の半数以上に尿失禁がみられ,その発症の多くは妊娠期あること,また今回の結果においての関連要因(分娩様式,初・経産,年齢)は共に骨盤底筋群の筋力低下に影響を及ぼすものであり妊娠早期からの継続的な骨盤底筋群の訓練が必須であることが示唆された。
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© 2010 by the Society of Physical Therapy Science
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