理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
25 巻 , 4 号
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原著
  • 佐藤 仁
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 483-486
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕全国理学療法士養成校の固有受容器神経筋促通手技(PNF)の教授活動内容の変遷と現状を把握した。〔対象〕2003年度および2008年度に開校していた理学療法士養成校のうち,回答が得られた107校(2003年度)と114校(2008年度)とした。〔方法〕両年度それぞれで質問紙法を実施し,PNF講義内容について両年度で比較した。〔結果〕PNF講義は両年度とも90%前後の養成校が実施していた。両年度の割合の比較では,「PNF」や「神経筋促通治療学」の単独講義名が増加していた。講義内容は特殊テクニックや応用動作を教授する養成校の割合が減少している傾向であった。〔結語〕講義時間内容や講義担当講師のPNF修得過程,あるいは講義内容に相違があり,学内教育ではPNFの修得が同レベルでないことが判った。したがって,講習会や研修会などの卒後教育の充実が望まれる。
  • 金子 秀雄, 永井 良治, 吉住 浩平
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 487-492
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,反復測定による最大吸気圧(PImax)増大に伴う横隔膜と腹筋群の筋活動変化を明らかにすることとした。〔方法〕健常男性11名を対象に20回のPImaxと3回の最大呼気圧(PEmax)測定を行い,そのときの横隔膜と腹筋群(腹直筋,外腹斜筋,内腹斜筋)の筋活動を表面筋電図にて記録した。short PImax(最初の5%変動内最高値の3回平均)とlong PImax(すべての測定の5%変動内最高値の3回平均)を定義し,それぞれのPImaxと各筋の筋電図の実効値を比較した。〔結果〕short PImaxに比べlong PImaxが有意な増大に伴い横隔膜の実効値も有意に増大した。腹筋群に有意差はなかったが,内腹斜筋実効値の変動係数は明らかに減少し,short PImax法の実効値(PEmax時の実効値に対する割合)と実効値変化率(long PImax法/short PImax法)の間に有意な負の相関を認めた。〔結語〕反復測定によるPImax増大には,横隔膜の筋活動増大だけでなく内腹斜筋の筋活動制御も関与している可能性が示唆された。
  • 大槻 桂右, 石倉 隆
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 493-497
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,肩関節の臨床解剖学に基づく運動療法の適応と意義について検討することである。〔対象〕対象者は凍結肩と診断された男性患者20名(平均年齢54.0±3.3歳,右肩14例,左肩6例)を対象とした。〔方法〕従来の運動療法を実施後に臨床解剖学に基づく運動療法を実施した。内容は(1)上腕骨解剖軸回旋を用いた肩関節可動域運動,(2)肩甲下筋の第五,六頭の筋腹の直接的な伸張 (3)小円筋と上腕三頭筋が交差する部位の軽度圧擦,(4)肩甲上静脈に対する軽度圧擦,とした。(1)から(4)はランダムに全て実施した。肩甲骨固定の有無による肩関節の屈曲,外転,外旋,内旋可動域,ならびに肩関節の総合機能,疼痛については日整会肩関節疾患治療成績判定基準(The Japanese Orthopaedic Association: JOA score)を用いて評価し,4週間後のそれぞれの値をt検定にて検討した(p<0.05)。〔結果〕関節可動域は肩甲骨固定有りと肩甲骨固定なしともに,屈曲,外転,外旋,内旋可動域にそれぞれ有意な増加が認められた。JOA scoreは15.0±6.0点から25.7±3.0点へと有意な増加を示した。〔結語〕臨床解剖学に基づく運動療法は,肩関節を挙上方向へ伸張した時に第二肩関節周辺に痛みを起こす症例や肩甲上腕関節の関節可動域が減少している症例において,手術的治療を選択する前に試みられるべき保存的治療の有効な一手段であると考えられた。
  • 吉田 昌弘, 菅原 一博, 吉田 真, 谷口 圭吾, 片寄 正樹
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 499-503
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕超音波画像診断装置を用いて安静時と足関節前方引き出しテスト(ADT)時における前距腓靱帯(ATFL)の伸張距離の計測を行い,検者内および検者間の再現性を調べること。〔対象〕過去1年以内に足関節捻挫の既往がある大学生8名10足。〔方法〕8 MHzのリニアプローブを足関節前外側部にあて,安静時およびADT時における超音波画像撮影を行った。PC上にて距骨-外果の骨間距離をATFL伸張距離として計測し,検者内および検者間の再現性について級内相関係数(ICC)を用いて調べた。また,安静時およびADT時の距骨-外果距離を対応のあるt検定で比較した。〔結果〕安静時,ADT時ともに検者内および検者間において高い再現性が得られた。安静時の外果-距骨間距離は16.5±3.9 mm,ADT時では20.0±4.9 mmであり,両者に有意な差を認めた。〔結語〕安全性および高い再現性から,足関節捻挫群に対するADTに超音波画像を併用する定量評価の有用性が確認された。
  • 佐藤 剛介, 千葉 郁代, 乾 康浩, 久保 徳昌, 熊谷 奈緒子, 藤田 浩之, 森岡 周
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 505-512
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕外傷性脊髄損傷では,損傷後に幻肢や異常感覚など身体イメージの障害が生じるが,リハビリテーションによって動作能力が獲得される。本研究では脊髄損傷者の身体イメージの変化を明らかにすることを目的とする。〔対象と方法〕第12胸髄完全損傷,対麻痺の一症例に対して,インタビューを実施し修正版グラウンデット・セオリーアプローチを用いて分析した。〔結果〕「残存域と麻痺域の感覚」,「知覚している感覚モダリティ」という2項目の概念が挙がった。〔結語〕運動に起因する残存域の体性感覚や,視覚によって麻痺域を知覚することで,障害された身体イメージが変化していく可能性が考えられた。また,麻痺域の異常感覚も身体認識を行うために使用し,それらを変化させながら身体イメージが構築されていくことが推測された。
  • 村田 伸, 大田尾 浩, 村田 潤, 堀江 淳, 八木原 幸子, 甲斐 健一郎, 大塚 真
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 513-516
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕虚弱高齢者を対象に,Timed up and go test(TUG),歩行速度,下肢機能との関連について検討した。〔対象〕虚弱高齢者134名(男性60名,女性74名)であり,平均年齢は78.4±8.6歳であった。〔方法〕TUG,歩行速度のそれぞれと下肢筋力や下肢荷重力などの下肢機能検査項目との関連を性別にピアソンの相関係数により検討した。〔結果〕TUGと歩行速度は,ともにすべての下肢機能検査項目と有意な相関が認められ,虚弱高齢者の下肢機能を把握する評価尺度としての妥当性が示された。その相関係数から関連の強さを判断すると,すべての項目で歩行速度の方がTUGよりも関連が強かった。〔結語〕TUGより歩行速度の方が,虚弱高齢者の下肢機能をより反映することが示唆された。
  • 浅利 和人, 小林 孝之
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 517-522
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,腰椎椎間板ヘルニアを受傷し歩行障害が残存したダックスフンドの障害像を明らかにし,理学療法介入の方法を考察することを目的とした。〔対象〕腰椎椎間板ヘルニアと診断されたダックスフンドのうち,対麻痺によって重度の歩行障害を呈した3例を対象とした。〔方法〕これらの症例に対し理学療法評価を実施し,神経学的および運動学的視点に基づいて問題点を整理した。また明らかとなった問題点に対して理学療法目標とプログラムを立案した。〔結語〕犬における理学療法は新たな領域であり,今後,動物理学療法場面で妥当性のある意思決定をしていくためには,継続した臨床実践と科学的実証が必要であると考えた。
  • 中田 加奈子, 池田 耕二, 山本 秀美
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 523-528
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,3年目の理学療法士の終末期理学療法体験の一端を質的研究によって構造化し,無力感や意欲低下を生み出す過程を分析することである。〔対象〕3年目の理学療法士2名である。〔方法〕半構造化インタビューを行いデータ収集しSCQRMをメタ研究にM-GTAを用いてモデル構築を行った。〔結果〕本体験モデルからは,PTは何かしてあげたいという思いと患者との関わりとの間で葛藤し,それらの実践を通してPTの明暗の部分を感じていることが分かった。〔結語〕本構造モデルを視点とすることで終末期理学療法実践における無力感や意欲低下の生成過程の1プロセスを理解することができた。
  • 林 真範, 本郷 雄太
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 529-532
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕画像処理・解析ソフトImage-Jによる関節角度測定の検者内・検者間信頼性が高いことが報告されているが,回旋が加わった時の誤差が指摘されている。しかし,回旋度合いによりどの程度誤差が生じるかを検証した報告は見当たらない。そこで,意図的に回旋を加えた時の測定値にどの程度誤差があるのかを角度計モデルと人体モデルを用い比較検証した。〔方法〕角度計および膝関節屈曲角度を30度に設定し,外旋50度,内旋20度まで10度刻みで回旋を加えた肢位をデジタルカメラで撮影した。得られた写真からImage-Jを用いて角度を測定し,30度からの誤差を求めた。〔結果〕角度計モデルで外旋20度・内旋20度まで,人体モデルで外旋30度・内旋20度までは誤差が5度以内であったが,それ以外の回旋角度では5度以上の誤差を認めた。〔結語〕外旋20~30度以上になるとImage-Jでの測定誤差が5度以上生じる可能性が高く,これ以上の回旋を伴う場合,Image-Jによる二次元解析の結果は信頼性が低いことが示唆された。
  • 瓜谷 大輔, 松本 大輔, 浅野 恭代
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 533-537
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕特定健診受診者における主観的咀嚼能力とメタボリックシンドローム関連指標との関係について調査した。〔対象〕特定健診受診者56名とした。〔方法〕主観的咀嚼能力における咀嚼良好群と咀嚼不良群間での身体測定項目,血液検査項目,咬合力,食習慣についてのアンケート結果を比較した。〔結果〕咀嚼良好群の咬合力は咀嚼不良群より有意に高値であった。血液検査結果の比較ではHbA1cで咀嚼良好群が咀嚼不良群より有意に低値であった。アンケートでは咀嚼良好群の方が昼食にかける時間が長く,ゆっくりと食事をとり,軟食に偏らないように配慮していた。〔結語〕主観的咀嚼能力が高い者は食事の速さや内容に配慮しており,咬合力も強いと考えられた。また主観的咀嚼能力とHbA1c値との関係が示唆された。
  • 内田 学, 小森 博人, 加藤 宗規
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 539-542
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕深部静脈血栓症を予防するために実施されている弾性ストッキング,間欠的空気圧迫,足関節自動運動の効果を検証する為に大腿静脈の血流速度を用いて検討した。〔対象〕健常男性で過去に血管病変のない者16名とした。〔方法〕異なる5つの条件として安静時,弾性ストッキング装着,間欠的空気圧迫装着,自動運動40,自動運動80で計測された大腿静脈血流速度を比較検討した。〔結果〕大腿静脈血流速度は安静時,弾性ストッキング装着,間欠的空気圧迫装着,自動運動40,自動運動80の順に30.7±5.2 cm/sec,29.1±6.6 cm/sec,50.4±19.3 cm/sec,50.7±21.7 cm/sec,59.3±38.4 cm/secであった。自動運動80は安静時,弾性ストッキング装着との間に有意差を認めた。〔結語〕自動運動80が血流速度を増加させていた。血流速度は外部刺激や遅い筋ポンプ作用では変化が見られないことが示唆された。
  • 上條 史子, 山本 澄子
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 543-549
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,脳卒中片麻痺者の歩行自立度によって座位・立位での静止姿勢と左右への体重移動課題においての体幹アライメントの特徴が異なるかを検討した。〔対象〕対象は脳卒中片麻痺者8名で,4名は歩行自立者,4名が歩行非自立者であった。〔方法〕計測には,三次元動作分析装置と床反力計を使用した。計測結果より,座位と立位における静止姿勢と左右方向への体重移動時の際の上部体幹と骨盤の角度変化と移動量,下肢と臀部の荷重量を算出した。これらの結果が,歩行自立度で差がみられるか検討した。〔結果〕座位では,静止姿勢での骨盤後傾角度と上部体幹回旋角度,非麻痺側移動時の骨盤後傾角度,麻痺側移動時の上部体幹回旋角度,立位では,静止姿勢での上部体幹の傾斜角度と麻痺側下肢への荷重量で歩行自立度による有意差がみられた。〔結語〕座位での運動課題では移動側によって特徴がみられる部位が異なっており,動作分析をする際の注目すべきポイントと思われた。また座位と立位で共通した特徴を認めたことから,片麻痺者への治療介入が必要な場所を推察する際の有益な情報となると思われた。
  • 田尻 后子, 曽我部 美恵子, 田村 一代, 藤沢 しげ子, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 551-555
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕女性の尿失禁を改善するための運動療法の基礎研究として妊娠中,産後1ヶ月までの尿失禁の実態を捉えることとした。対象:産後1ヶ月の褥婦560名とした。〔方法〕質問用紙(属性,生活習慣,尿失禁に関する項目合計21質問項目)にて実施した。〔結果〕尿失禁があった者は54.5%で,腹圧性尿失禁が69.8%で最も多く,次に混合性尿失禁で20.0%,切迫性尿失禁が10.2%であった。初発時期は妊娠期に86.3%と多く,その中でも妊娠8ヶ月が最も多かった。尿失禁の関連要因としてロジステック回帰分析を行った結果,有意差がみられたものは,分娩様式,初・経産,年齢の3項目であった。〔結語〕妊産褥婦の半数以上に尿失禁がみられ,その発症の多くは妊娠期あること,また今回の結果においての関連要因(分娩様式,初・経産,年齢)は共に骨盤底筋群の筋力低下に影響を及ぼすものであり妊娠早期からの継続的な骨盤底筋群の訓練が必須であることが示唆された。
  • 牛 志馨, 霍 明, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 557-560
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は膝関節運動における足関節の角度の変化への影響について検討した。〔対象と方法〕対象は健常男性30名(20.6±2.4歳)とし,等速性筋力訓練機器を使用して膝屈伸運動時足関節の角度を4条件(背屈位,底屈位,背屈から底屈,底屈から背屈)として角速度60°/secで屈曲,伸展の最大筋トルク,最大筋トルク/体重比を測定した。〔結果〕4条件の中で,膝関節最大筋トルク/体重,最大筋トルク,最大筋出力は足関節が常に背屈位の時に他の肢位よりも有意に高値を認めた。〔結語〕膝関節のトレーニングの際に,足関節を背屈位にして行えば,膝屈伸筋力をより発揮し易いことが示唆された。
  • 大槻 桂右, 石倉 隆
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 561-565
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は2例のパーキンソン病患者に対して,背屈角度15度に設定した足関節矯正起立板(起立板)を用いて,自重による下腿三頭筋の持続的伸張を実施し,即時的効果を検討した。〔対象〕パーキンソン病と診断を受けた2症例を対象とした。症例1は56歳,女性,Hoehn-Yahr重症度分類(H-Y分類)にて重症度III,要介護2であった。症例2は63歳,男性,H-Y分類にて重症度IV,要介護3であった。〔方法〕研究デザインはシングルケースデザインを用いた。デザインは従来の運動療法のみを実施するベースライン期(A期),次に従来の運動療法に加えて起立板にて下腿三頭筋の持続的伸張を実施する介入期(B期),従来の運動療法施のみを実施し,B期における起立板による下腿三頭筋の持続的伸張の効果を消去するフォロー期(A'期)を設けるABA'型とした。Functional reach test(FR),Timed up and go test(TUG),最大歩行速度の3つの評価項目を,各期の治療後に測定した。3つの評価項目の測定の順番はランダムに実施した。B期のFR,TUG,最大歩行速度の増減の有無を二項分布の確率を用いて分析した。〔結果〕症例1,2ともB期のFRと最大歩行速度はA期と比較して有意な増加が認められたが,TUGは症例1では,有意差は認められなかった。〔結語〕今回の研究において,起立板を用いて,下腿三頭筋を持続的に伸張する方法はパーキンソン病患者に対してFRや最大歩行速度を増加させる手段として即時的効果があることが示唆された。しかし,TUGに対しては,有効ではなかった。
  • 大田尾 浩, 村田 伸, 八谷 瑞紀, 小野 武也, 溝上 昭宏, 川上 照彦
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 567-571
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕座位での下肢荷重力測定法の検者内および検者間信頼性を検討した。〔対象〕脳卒中片麻痺患者10名(平均年齢67.0±10.4歳)とした。〔方法〕経験年数が異なるセラピスト3名が検者となり,測定値の再現性から検者内および検者間信頼性の分析を行った。〔結果〕検者内信頼性は,経験年数が長いほど高い級内相関係数(0.866-0.994)を示したが,経験年数が浅くても95%信頼区間の下限値は0.7以上であった。また,検者間信頼性は非麻痺側(ICC=0.898)麻痺側(ICC=0.970)ともに良好な再現性が示された。〔結語〕脳卒中片麻痺患者を対象とした座位での下肢荷重力測定法の信頼性が確認され,検者の経験年数に関わらず使用可能な評価法であることが確認された。
  • 奥田 求己, 栗山 長門, 瀬尾 和弥, 増田 隆司, 武澤 信夫, 中川 正法, 長谷 斉
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 573-578
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕HTLV-1 associated myelopathy(以下HAM)患者への短期集中リハビリテーション(以下リハ)の有用性を日常生活活動(以下ADL)の改善の有無により評価すること。〔対象〕症状が安定しているHAM患者15名(男性3名,女性12名,平均51.9±11.8歳)〔方法〕HAM患者に対し, 6週間の入院リハを施行し,その前後のFunctional Independence Measure(FIM)totalスコアの変化から,ADL改善の有無を判定した。さらにFIMについては,項目ごとのスコア変化を分析した。次に歩行能力の改善の有無を判定した。FIMで移動項目を歩行の条件下で評価したスコアと納の運動機能障害重症度(OMDS)の変化を入院リハ前後で分析した。〔結果〕FIM totalスコアは,入院リハ後に有意な上昇を示した。FIMの項目ごとのスコア変化では下肢動作が関与する項目で上昇を示す一方,排尿,排便管理の項目において上昇を示さなかった。FIMで移動項目を歩行の条件下で評価したスコアは有意な上昇を示し,OMDSは低下する傾向を示した。〔結語〕HAM患者への短期集中リハの効果は,歩行を中心としたADLの改善として認められ,有用であった。
  • 松尾 奈々, 村田 伸
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 579-582
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕荷物挙上動作により,どの程度の上肢挙上角で腰椎前彎角が増加するのかについて検討した。〔対象〕健常成人女性14名,平均年齢は21.7±3.8歳であった。〔方法〕両上肢で,2 kgの重りを入れた箱を把持し,上肢を0°,60°,90°,120°挙上した姿勢での胸椎後彎角および腰椎前彎角を測定し,各挙上肢位で比較した。〔結果〕腰椎前彎角は,上肢挙上角90°以上で有意な増加が認められ,胸椎後彎角は上肢挙上角90°以上で有意な減少が認められた。〔結語〕荷物挙上動作の際に上肢挙上角を90°未満とすることは,腰痛症患者に対して,腰椎前彎角の維持を目的とした自己管理の指針となることが推察された。
  • 中平 剛志, 沖 貞明, 小野 武也, 金井 秀作, 大塚 彰
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 583-588
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕関節固定後の関節可動域制限において最大可動域運動で生じる抵抗力を測定し,その要因を明らかにすることである。〔対象〕10週齢のWistar系雌ラット18匹を使用した。〔方法〕両足関節をギプス固定し1,2,4週間固定した。各固定期間終了後にギプスを除去し,その後に皮膚切除を施行した。右側では最大背屈させるのに必要な抵抗力を測定し,左側では足関節底屈筋群切離後に同様の抵抗力を測定した。〔結果〕抵抗力は両側において固定1週間で急増し,固定期間の延長に伴い漸増した。要因としては,筋因子のみならず関節因子も関与していることが明らかとなった。〔結語〕4週までの固定期間においては,最大可動域までの関節運動には関節因子が大きく関与していることが明らかとなった。
  • 黒川 貴志, 勝平 純司, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 589-594
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,脊柱後弯を呈する高齢者の歩行の特徴を明らかにすることである。〔対象〕健常高齢者12名と脊柱後弯を呈する高齢者12名の24名とした。〔方法〕脊柱後弯の定量的指標として円背指数を用いて2群(健常群,脊柱後弯群)に分けた。運動学,運動力学的歩行計測のために,赤外線カメラ12台を含む三次元動作分析装置と床反力計6枚を用いた。計測条件は,自由速度とし,歩行動作を3回計測できるまで計測を繰り返した。〔結果〕脊柱後弯を呈する高齢者は立脚後期の股関節外転モーメントピーク値が減少した。また骨盤後傾と回旋角度が増大した。〔結語〕脊柱後弯を呈する高齢者の姿勢のアライメント変化は,前額面上の力学的変化を及ぼしていることが明らかになった。
  • 甲斐 義浩, 村田 伸, 中江 祐輔, 平沼 成一
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 595-598
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,肩関節可動性が上肢挙上時の脊柱彎曲角に与える影響について分析するために,拘縮肩における上肢挙上運動と脊柱彎曲角との関係を肩関節可動域訓練前後で比較検討した。〔対象と方法〕拘縮肩患者15例(男性10例,女性5例)15肩を対象に,可動域訓練前後における,上肢下垂位,90°,120°挙上位の胸椎後彎角と腰椎前彎角を計測し,各挙上肢位で比較した。〔結果〕可動域訓練前における上肢挙上時の胸椎後彎角は,90°挙上位より有意な減少を示し,腰椎前彎角は120°挙上位で有意な増加を示した。一方,可動域訓練後における胸椎後彎角は,120°挙上位で有意な減少を示し,腰椎前彎は各挙上位間で有意差は認められなかった。〔結語〕拘縮肩においては,90°挙上位より非生理的な脊柱伸展運動が起こること,過度な脊柱伸展運動は拘縮肩の結果として作用するものであり,上肢挙上に伴う胸腰椎の相互作用は肩関節の可動性に依存することが示された。
  • 谷出 康士, 甲田 宗嗣
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 599-602
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,第一にメンタルプラクティスのみでの大腿四頭筋の筋力増強は可能かどうか,第二に易イメージ者と非易イメージ者において,メンタルプラクティスの効果に差が生じるのかを比較検討することである。〔方法〕等尺性筋収縮を伴う筋力増強運動を実施する群,易イメージ群,非易イメージ群の3群に各8名の対象者を振り分け,それぞれ4週間の大腿四頭筋筋力増強運動を実施した後,筋力増加率を各群内,群間で比較した。〔結果〕各群間に有意差は認められなかったが,各群内では有意に筋力が増強した。〔結語〕この結果からメンタルプラクティスによる筋力増強は可能であることが示唆された。
  • 今井 樹, 須藤 裕美, 潮見 泰藏
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 603-606
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中患者を対象とした研究論文における評価指標の使用状況を明らかにすることである。〔方法〕過去5年間に「理学療法科学」,「理学療法学」の2誌に掲載された原著論文・症例研究・短報・症例報告を対象に調査を行い,その結果を日本リハビリテーション医学会による調査結果と比較・検討した。〔結果〕脳卒中患者を対象とした研究は全体の約1割を占めており,評価指標についてはBrunnstrom stageの使用頻度が最も高く,次いでFIMやBarthel IndexといったADLに関するものであった。本結果は,日本リハビリテーション医学会の調査結果と比べ,ADL以外の評価指標の使用頻度に相違が見られた。〔結語〕脳卒中患者を対象にした評価指標の使用動向について調査を行ったが,当然,他の疾患を対象とした調査も必要であろう。また,このような調査は日本理学療法士協会や関連学会が主体となって行うことが望ましく,今後定期的に実施されることを期待し,提言としたい。
  • 鈴木 誠, 村上 賢一, 榊  望, 阿部 千恵, 中鉢 泰生, 武田 涼子, 藤澤 宏幸
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 607-613
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中後遺症患者52名を対象に,考案した静的バランステスト(以下SBT)について,構成概念妥当性及び検者間信頼性を検討することである。〔方法〕端座位,開脚立位,閉脚立位,非麻痺側片脚立位,麻痺側片脚立位の5つの姿勢について4つのグレード(グレード1から4)で判定を行った。また,検者間信頼性を検証するため,記録した映像を基に判定を行った。〔結果〕姿勢保持課題は,不安定な姿勢となるにつれて通過人数は低下した。また,4つに区分したグレードは難易度が高くなるにつれて通過人数は低下した。SBTの内的整合性を示すアルファ係数は0.88であった。検者間の級内相関係数は0.92であり,信頼性は良好であった。〔結語〕SBTは脳卒中後遺症患者のバランス能力の測定を行うにあたり臨床応用が可能であると考えられた。
  • 財前 知典, 小関 博久, 小関 泰一, 小谷 貴子, 田中 亮, 平山 哲郎, 多米 一矢, 川崎 智子, 清川 一樹, 川間 健之介
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 615-619
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,入谷式足底板における長パッドが歩行および筋力に与える影響について,歩行時の骨盤加速度,大腿部筋活動,荷重応答期の時間的変化及び,静止時股関節内外転筋力変化を計測することにより明確にすることが目的である。〔対象〕健常成人男性15名(平均年齢25.1±3.2歳)を対象とした。〔方法〕表面筋電図,加速度計,Foot Switch,およびHand Held Dynamometerを用いて,歩行時大腿部筋活動,前額面上における加速度,並びに荷重応答期時間変化,股関節内外転筋力変化を自由歩行と長パッド貼付後で測定し,得られた測定値を対応のあるt検定を用いて分析した。〔結果〕長パッド貼付により,荷重応答期は早期に生じ,内側加速度の増大がみられ,立脚期初期における大腿二頭筋の活動減少,大腿直筋および大殿筋の活動増大,立脚期後半において長内転筋活動減少がみられた。また,長パッド貼付側の股関節外転筋筋力は増大した。〔結語〕長パッド貼付は,内側加速度及び歩行時大腿部筋活動を変化させ,股関節外転筋筋力を増大させる可能性が示された。
  • 安田 直史, 村田 伸
    原稿種別: 原 著
    2010 年 25 巻 4 号 p. 621-624
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕要介護高齢者女性の足把持力と足部柔軟性や足部形状との関連性を検討した。〔対象〕要介護高齢者女性52名(平均84.0±6.2歳),104肢とした。〔方法〕足把持力,足部柔軟性,足部アーチ高率,足長を測定し,足把持力との関係をピアソンの相関係数により分析した。〔結果〕足把持力と足部柔軟性とには有意な正相関が認められ,足部アーチ高率と足長との間にはそれぞれ有意な相関は認められなかった。〔結語〕要介護高齢者女性では,足部の柔軟性が高いほど足把持力が強いことが示唆された。
短報
  • 峯松 亮, 後藤 尚子, 吉崎 京子
    原稿種別: 短 報
    2010 年 25 巻 4 号 p. 625-629
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕身体機能維持を目的とした運動教室に参加した高齢者の自己運動が身体機能維持に効果があるか否かを調査すること。〔対象〕15人の自立生活を送る高齢者(68-91歳)を対象とした。〔方法〕個別の自己運動を2週間に1回の頻度で直接指導し,2ヶ月間継続した。運動機能として握力,脚力,開眼片脚立ち,ファンクショナルリーチ,座位体前屈,10 m歩行速度,timed up & go(TUG)を運動実施前後に測定し,測定項目に対する運動実施の影響をみた。また,運動実施前後での各項目間の相関を調べた。〔結果〕TUGに運動実施前後の有意な差が認められ,他項目はファンクショナルリーチを除く全ての測定項目値に改善傾向が認められた。また,年齢と開眼片脚立ちとに,握力と脚力,FRとに,脚力とFR,歩行速度,TUGとに,歩行速度とTUGとに運動実施前後ともに相関が認められた。〔結語〕自己運動の実施により身体機能が維持でき,体系化された介護予防教室への参加でなくとも,家庭での自己運動は身体機能の低下を予防または維持する可能性が考えられた。
  • 古後 晴基, 村田 伸, 村田 潤, 仲村 匡平
    原稿種別: 短 報
    2010 年 25 巻 4 号 p. 631-634
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,乾熱法と湿熱法でホットパック(以下HP)施行後の筋硬度の変化に及ぼす効果を比較検討した。〔対象〕健常成人10名(男性7名,女性3名,平均年齢22.3±6.8歳)の両下肢(20脚)を対象とした。〔方法〕被験者は腹臥位で,下腿部後面に直接HPを20分間施行した。湿熱法ではパックを直接コットンタオル(8層)で巻き,乾熱法ではパックをビニール袋で包んだ後,コットンタオル(3層)で巻いてHPを施行した。HP施行前,乾熱法および湿熱法HP施行後の腓腹筋内側頭の筋硬度を比較した。〔結果〕HP施行前の筋硬度に比べ,湿熱法および乾熱法によるHP施行後の筋硬度はともに有意に低下した。ただし,湿熱法と乾熱法後の筋硬度にも有意差が認められ,湿熱法の方が乾熱法より有意に低下した。〔結語〕HPは筋硬度を低下させる手段として有効であり,とくにその効果は湿熱法の方が乾熱法より高いことが示唆された。
症例研究
  • 笠木 広志, 岡 浩一朗
    原稿種別: 症例研究
    2010 年 25 巻 4 号 p. 635-640
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,ホームエクササイズ(Home-exercise:以下,HE)により術後治療成績の向上を図るため,HE継続率と関連している要因を明らかにすることであった。〔対象〕腰椎疾患により単椎間Laminotomyを施行した者17名。〔方法〕調査期間中のHE継続率により,高群と低群の2群に分けられた。セルフ・エフィカシーや発症前身体活動度,運動課題に対しての認識程度などについて調査を行った。〔結果〕2群間において発症前身体活動度,セルフ・エフィカシー,運動課題に対しての認識程度に有意差を認めた。〔結語〕腰椎疾患術後患者のHE継続率に影響を及ぼし得る因子が抽出でき,術後治療成績向上のためのHE指導法の指針が示唆された。
  • 吉村 晋, 吉本 好延, 堅田 裕次, 浜岡 克伺, 大山 幸綱, 梶谷 充
    原稿種別: 症例研究
    2010 年 25 巻 4 号 p. 641-644
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕バクロフェン髄腔内投与療法前後における頸髄損傷患者の理学療法から,バクロフェン髄腔内投与療法後の治療効果について検討した。〔経過報告〕バクロフェン投与前の痙縮は,平均Ashworth scaleで3.0であり,ベッド・車椅子間の移乗動作は,Functional Independence Measure(FIM)にて5点であった。転倒はベッド・車椅子間の移乗動作中に3回/月発生した。バクロフェン投与2ヶ月後の痙縮は 平均Ashworth scaleで2.0に軽減し,FIMにて6点となり,転倒は退院まで認めなかった。〔結語〕本症例では,バクロフェン髄腔内投与療法によって痙縮が軽減され,移乗動作能力の向上に繋がった。
総説
  • 中島 愛, 池田 誠
    原稿種別: 総 説
    2010 年 25 巻 4 号 p. 645-648
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/25
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は訪問リハにおけるPT・OTによる協業の必要性を明らかにすることを目的とした。〔対象〕都内で訪問リハ実施施設に勤務するPT,OT,同施設の利用者とした。〔方法〕郵送による利用者ニーズとPT・OTの専門性に関するアンケート調査とした。〔結果〕利用者のニーズは歩行や機能障害が上位に,ADLや趣味活動が下位に挙がった。またPTは下肢・体幹の機能,歩行,起居動作,呼吸を,OTはADL,趣味に関する項目を専門と回答した。PT・OTは協業の必要性を感じていたが,多くの施設で協業の明確なルールを定めていなかった。〔結語〕安全で質の高い訪問リハを提供するためには,専門能力を活かす協業が必要である。
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