抄録
〔目的〕理学療法学生に実際にeラーニングを行い,その前後に自己効力感を測定することによりeラーニングの効果を探ること,およびその自己効力感を促進する尺度を作成して理学療法学生の自己効力感に影響を与える因子について探ることである。〔対象〕四年制理学療法専門学校の2年生33名とした。〔方法〕eラーニングを活用した授業を対面授業の補足として6週間実施した。その前後にShererの特性的自己効力感尺度を測定し自己効力感の変化を比較した。また施行後に独自に作成したeラーニング自己効力感促進尺度を測定し,eラーニングに影響を与える因子を探った。〔結果〕eラーニング施行後に自己効力感尺度の数値が増加した者が23名いた。減少は8名,変化なしが2名であった。また自己効力感促進尺度については,Banduraの4つの促進因子のうち「言語的説得」が最も低く,減少群ではさらに「代理的経験」ができていなかった。〔結語〕eラーニングを行う上で学生の自己効力感を高めるには,学生を鼓舞し,臨床の場面を疑似体験させるような実践的な経験を積ませる方法が有効である。