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(ダンスパフォーマンスにおける上肢運動の巧みさ)
佐藤 菜穂子, 山田 哲, 水上 昌文, 冨田 和秀, 居村 茂幸
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
651-656
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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〔目的〕ダンスパフォーマンスの上肢の『ウェーブ』動作に着目し,熟練者群,未熟練者群の運動特性と,身体スキルの言語化を対応させ,身体スキルを構成する因子を模索することを目的とした。〔対象〕ウェーブ動作熟練者群5名,未熟練者群9名の計14名とした。〔方法〕三次元動作解析装置と表面筋電図を用いてウェーブ動作を測定し,パーセント上下運動,ウェーブ伝播速度,パーセント角度変化,パーセントMVCを算出した。熟練者群にはコツを別途聴取した。〔結果〕熟練者群と未熟練者群を比較し,4つの運動特性が得られ,その中の2つが熟練者群のコツの言語表現とほぼ一致した。〔結語〕言語表現とほぼ一致する2つの運動特性は,身体スキルを構成する因子として捉えることができると考えられた。
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一場 友実, 山田 拓実, 解良 武士, 藍原 章子, 八並 光信, 宮川 哲夫
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
657-662
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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フリー
〔目的〕本研究は呼吸運動出力の指標である気道閉塞圧(P
0.1)と心拍変動による自律神経機能の測定からリラクセーション肢位について検討を行うことを目的とした。〔対象〕健常大学生11名(男性5名,女性6名)を対象とした。〔方法〕測定肢位は立位,端座位,前傾座位,セミファーラー位の4肢位とし,4分間の安静中の呼吸状態と心拍変動の測定後,1分間でP
0.1を5回測定した。〔結果〕セミファーラー位は端座位に比べP
0.1と心拍数が有意に低値を示し,心拍変動では副交感神経活動指標が高値を示した。〔結語〕セミファーラー位は端座位に比べ,呼吸運動出力及び自律神経機能の面からリラクセーション肢位として有用であることが示唆された。
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野北 好春, 松田 雅弘, 高梨 晃, 塩田 琴美, 宮島 恵樹, 川田 教平, 勝木 員子, 加藤 宗規
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
663-666
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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〔目的〕高齢者を対象とした介護予防のための体力測定に聴覚刺激-口頭による声応答運動による単純反応時間測定を用いた,測定回数について検討した。〔対象〕行政が主催した転倒予防のための体力測定と運動指導に参加した整形疾患,中枢性疾患の既往のない健常高齢者24名(男性5名,女性19名)〔方法〕端座位姿勢で課題に慣れるために1回の練習を実施し,その後端座位姿勢で測定を行い,測定回数は,10回とした。〔結果〕全10回の平均値と各測定回数間におけるICC(1,1)で4-7回目において係数が0.81以上となり,係数が0.81以上となる最小の測定回数は4回目であった。〔結語〕高齢者を対象とした体力測定においては1回の練習後に,4回目を代表値として採用することが有効であることが示唆された。
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野村 高弘, 勝平 純司, 高野 雄太, 三木 啓嗣, 西山 卓志, 中島 勇樹, 丸山 仁司
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
667-672
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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〔目的〕本研究の目的は,階段降段動作における健常者とACL損傷者の動的な膝関節機能を比較すること,膝関節モーメントとOKCの膝屈伸筋力の関係を明らかにすることを目的とした。〔対象〕下肢に既往がない健常者と前十字靭帯損傷者8名ずつとした。〔方法〕三次元動作分析装置と床反力計を用いて階段降段動作を計測し,膝関節モーメントを指標とした動力学的分析を実施し,等速性筋力測定装置を用いて背臥位と坐位にて膝関節屈伸筋力の評価を実施した。これらのパラメータを群間で比較するとともに,動作計測により得られた膝関節モーメントと屈伸筋力の相関関係を示した。〔結果〕降段動作時の膝関節モーメントに群間の有意差はみられなかった。膝屈伸筋力では伸展筋力においてのみACL損傷者で低い値を示した。また,階段降段動作時膝伸展モーメントの関係について,H/Q比と膝伸展モーメントの間に健常者では有意な負の相関がみられ,ACL損傷者では有意な正の相関がみられた。〔結語〕膝屈伸筋力と階段降段動作時膝伸展モーメントの関係について,H/Q比と膝伸展モーメントの間に有意な相関が得られた。
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江崎 千恵, 村田 伸, 宮崎 純弥, 堀江 淳, 村田 潤, 大田尾 浩
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
673-676
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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フリー
〔目的〕本研究は,高齢者を対象に膝蓋骨上縁より10 cm部,15 cm部,20 cm部の周径および筋厚を測定し,どの部位が大腿四頭筋力とより関連するのかを検討した。〔対象〕地域在住の女性高齢者56名(平均年齢は71.6±6.5歳)とした。〔方法〕超音波測定装置により大腿四頭筋筋厚,メジャーにより大腿周径を計測し,ハンドヘルドダイナモメータで計測した大腿四頭筋筋力との関連をピアソンの相関係数を求めて検討した。〔結果〕すべての大腿周径および大腿四頭筋筋厚の膝蓋骨上縁10 cm部と大腿四頭筋筋力との間にはそれぞれ有意な中等度の相関が認められた。膝蓋骨上縁15 cm部と20 cm部の大腿四頭筋筋厚と大腿四頭筋筋力との間に有意な強い相関が認められた。〔結語〕これらの結果より,大腿四頭筋筋力の推定を超音波測定法で行う場合,膝蓋骨上縁15 cm以上の筋厚を計測する方がよりよいことが示唆された。
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小貫 睦巳, 丸山 仁司
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
677-681
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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〔目的〕理学療法学生に実際にeラーニングを行い,その前後に自己効力感を測定することによりeラーニングの効果を探ること,およびその自己効力感を促進する尺度を作成して理学療法学生の自己効力感に影響を与える因子について探ることである。〔対象〕四年制理学療法専門学校の2年生33名とした。〔方法〕eラーニングを活用した授業を対面授業の補足として6週間実施した。その前後にShererの特性的自己効力感尺度を測定し自己効力感の変化を比較した。また施行後に独自に作成したeラーニング自己効力感促進尺度を測定し,eラーニングに影響を与える因子を探った。〔結果〕eラーニング施行後に自己効力感尺度の数値が増加した者が23名いた。減少は8名,変化なしが2名であった。また自己効力感促進尺度については,Banduraの4つの促進因子のうち「言語的説得」が最も低く,減少群ではさらに「代理的経験」ができていなかった。〔結語〕eラーニングを行う上で学生の自己効力感を高めるには,学生を鼓舞し,臨床の場面を疑似体験させるような実践的な経験を積ませる方法が有効である。
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宮崎 純弥, 村田 伸, 堀江 淳, 鈴木 秀次
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
683-686
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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〔目的〕高齢者に行う長座体前屈距離の測定意義を検討するために,高齢者の脊柱可動性と下肢伸展挙上可動域との相関を検討した。〔対象〕地域在住高齢者161名(男性42名,女性119名,平均年齢72.6±6.9歳)とした。〔方法〕長座体前屈距離と脊柱可動性および下肢伸展挙上可動域(straight leg raising:SLR)を測定し,相関関係を検討した。〔結果〕長座体前屈距離は,SLRと有意な相関を認められた(r=0.60)が,脊柱可動性(胸椎・腰椎)とは有意な相関は認められなかった。〔結語〕長座体前屈距離は,SLRで表すことができるハムストリングスや股関節の柔軟性を反映する検査法であることが確認されたが,脊柱の柔軟性までは反映し難いことが示唆された。
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堀本 ゆかり, 丸山 仁司
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
687-691
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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フリー
〔目的〕本研究の目的は青年期の立脚期歩行パターンを測定し,足圧中心軌跡は踵から第5中足骨付近まで進みその後第1趾に向かうという先行研究と比較し,その特徴を調査することである。〔対象と方法〕対象は調査・計測に関して同意の得られた専門学校学生17例とし,身体計測と10 m歩行計測に加え,立脚期の足底圧中心軌跡の特徴について検討した。〔結果と結語〕その結果,足底圧中心軌跡が中央型となる傾向があり,荷重応答期から立脚終期に時間要因が延長する傾向を認めた。特に初期接地以降の距骨下関節の動きおよび足長,足幅(横アーチ機能),中足趾節関節背屈角度等が足底圧中心軌跡を調整する機能として寄与することが示唆された。
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―健康・生活記録手帳(仮)の作成とその考察―
芝原 美由紀
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
693-697
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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〔目的〕幼児期肢体不自由児の家庭生活を把握し,家族と情報を共有しやすくするための「健康・生活記録手帳(仮)」A4判20頁を作成した。この作成経過を報告し,家族の書きやすさと記録項目について調査検討した。〔対象〕T市肢体不自由児通園施設で療育をうけている44名の家族である。〔方法〕子どもの成長発達や家庭生活についてどのように記録しているか,また,その情報提供の現状を質問紙調査した。また,この情報を記録するため作成した「健康・生活記録手帳(仮)」を配布し,その記録項目と書きやすさについても調査した。〔結果〕44名中37名(84.1%)から回答が得られた。家族は子どもの成長記録や家庭生活,医療受診などを市販の成長記録や日記,またブログなどで記録していたが,母子健康手帳は成長するにつれ記録しなくなっていた。「健康・生活記録手帳(仮)」の記録項目は,家族が医療機関などに提供している情報が含まれ,「出生時状況」や「成長発達」は評価が高かった。〔結語〕今後の課題として関係する機関と職種が必要とする情報を検討する必要がある。
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─日常時間因子のロジスティック回帰モデルを用いて─
廣瀬 昇, 丸山 仁司
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
699-703
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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〔目的〕本研究は,運動が「好き」・「嫌い」といった感情が,身体活動量及び日常の生活時間数にどのような影響を及ぼすかについて調査した。〔対象〕健常学生115名を対象とした。〔方法〕生活全般に関わる代表的な生活時間数の5項目(睡眠時間,労働時間,家事時間,運動時間,余暇時間)と運動に対する感情についてのアンケート調査と加速度計測装置付歩数計による身体活動量(総エネルギー消費量)のそれぞれを測定した。〔結果〕運動が「好き」といった感情は,運動時間のみに有意な相関が認められ,運動が好きな者では総エネルギー量が1758kcal以上に保たれていた。〔結語〕運動に対する感情は,ヒトの身体活動を規定し,日常の運動時間数に影響を与えており,健康を保つための運動行動に影響を及ぼすことが示唆された。
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平野 康之, 藤田 佳男, 鈴木 浩子, 飯島 節
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
705-710
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
ジャーナル
フリー
〔目的〕5つの運動機能検査を用いて運動能力に関する自己認識が適切に行えているかどうかの評価(以下適切度)を実施し,転倒との関連について検討した。〔対象〕デイサービス利用高齢者76名とした。〔方法〕日常動作に関連が深い5つの運動機能検査(Functional reach test,立ち上がりテスト,またぎテスト,台昇降テスト,最大歩幅テスト)について対象者自身による予測値と実測値を測定した。得られた予測値と実測値の一致の程度をもとに適切度を評価し,適切評価群と不適切評価群の2群に分類して転倒との関連について検討した。〔結果〕「立ち上がりテスト」と「またぎテスト」に基づく評価では,不適切評価群の転倒経験者の割合が適切評価群のそれに比して有意に多い結果を示した。また,5つの運動機能検査の適切度を総合して判断した評価(以下5P適切度)においても同様の結果を示した。さらに転倒予測指標としての感度と特異度の検討では,単一検査の適切度に比して複合検査による5P適切度の方が感度ならびに特異度ともに比較的良好な値を示した。〔結語〕本研究で用いた運動能力に関する自己認識評価は転倒予測として臨床応用できる可能性があり,単一検査の適切度よりも複合的な適切度を用いる方がより転倒予測精度を向上できる可能性が示唆された。
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本山 美由紀, 小野 玲, 井上 順一朗, 牧浦 大祐, 三輪 雅彦, 黒坂 昌弘, 宇佐美 眞, 黒田 大介
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
711-715
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
ジャーナル
フリー
〔目的〕本研究の目的は食道癌患者の術前と退院時における倦怠感,心理状態,QOLの変化について検討し,さらに倦怠感と心理状態およびQOLの相互関係について検討することである。〔対象〕食道再建術を施行した食道癌患者20名。〔方法〕倦怠感,心理状態(抑うつ,自覚ストレス),QOLについて質問紙を用いて評価した。術前と退院時の比較についてpaired t testを用い,倦怠感と心理状態およびQOLとの相互関係についてはPearsonの積率相関係数を用いて検定した。〔結果〕倦怠感は術前から退院時かけて強くなっていた。抑うつ,ストレス,QOLに関しては術前から退院時まで有意な変化が認められなかった。相互関係については,倦怠感と自覚ストレス,倦怠感とQOLに相関関係が認められた。〔結語〕倦怠感,心理状態,QOLを評価することは,患者の状況を十分に把握し,心理面に配慮したリハビリテーションを実施する上で重要であると考えられる。
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─日本脳卒中学会・脳卒中高次脳機能スケールの有効性について─
五嶋 裕子, 刀根 章浩, 中村 裕貴, 麻生 よしみ, 佐野 恵美子, 高倉 保幸, 加藤 剛平, 猪股 高志, 解良 武士, 武井 圭一 ...
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
717-720
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
ジャーナル
フリー
〔目的〕大腿骨頸部骨折例の短期的な歩行予後予測において,日本脳卒中学会による脳卒中高次脳機能スケール(JSS-H)の臨床的有用性を検討した。〔対象〕大腿骨頸部骨折受傷者59例とした。〔方法〕重回帰分析を用い,術後3週目の歩行能力に影響を与える術後1週目の評価項目とその影響の強さを調べた。〔結果〕JSS-Hと健側大腿四頭筋筋力が3週目の歩行に影響を与える有意な因子として抽出され,標準偏回帰係数はそれぞれ-0.446,0.429となった。〔結語〕大腿骨頸部骨折術後の短期的な予後予測にJSS-Hは有用であり,術後評価では身体機能評価にJSS-Hを加えることでより適切な理学療法プログラムの立案が可能であると考えられた。
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─LORETA解析を用いた検討─
兒玉 隆之
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
721-727
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
ジャーナル
フリー
〔目的〕本研究の目的は,mental rotationを用いた運動イメージ想起中の脳内神経活動部位を検証し,LORETA解析の有用性を検討することとした。〔対象〕視覚障害のない健常者24名(男性13名,女性11名,平均年齢22.7±3.4歳)とした。〔方法〕運動イメージ(手および足)写真に対する左右判断を課題としたmental rotation中のERPsを求め,課題施行中の脳内神経活動をLORETA解析により検討した。〔結果〕手および足の課題では,運動イメージ想起中に前頭葉,前帯状回の有意に高い神経活動を認めた。さらに手の課題では下側頭回,扁桃体の有意に高い神経活動も認めた。〔結語〕LORETA解析により,mental rotationにおける運動イメージ想起中の脳内神経活動は,実際の手や足の運動時と類似した神経活動を示すことが明らかとなり,認知機能や情動反応を担う神経活動部位の関与の可能性も示唆された。
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樋口 大輔, 新谷 和文, 真鍋 和, 井野 正剛
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
729-734
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
ジャーナル
フリー
〔目的〕軽度頸髄症に対する手術を受けた人において異常感覚が日常生活に悪影響を及ぼしているかどうかを明らかにすることを目的とした。〔対象〕術後に歩行が安定していた35人とした。方法:下肢の異常感覚の強度,日常生活活動(ADL)に対する困難感,活動量を質問紙にて調査し,各調査項目間の関連を統計学的に検証した。〔結果〕回答率は74.3%(26人(男性19人,女性7人),62.0±10.6歳)であった。異常感覚の強度とADLに対する困難感との間には中等度の有意な相関がみられたが,異常感覚が強かった1人を除外すると有意な相関はみられなくなった。〔結語〕軽度頸髄症に対する手術を受けた人の大多数では異常感覚は日常生活にほとんど悪影響を及ぼしていなかった。
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森藤 武, 嶋田 智明, 阪本 良太, 小倉 亜弥子, 上野 隆司, 金澤 淳則
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
735-739
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
ジャーナル
フリー
〔目的〕本研究は脊柱後彎患者(円背患者)のバランス,歩行能力と関係する因子を明らかにすることを目的とした。〔対象〕対象は円背患者20名(男性6名,女性14名,平均年齢77.8±4.7歳)とした。〔方法〕脊柱の他動伸展可動性(伏臥位での脊柱伸展他動運動における胸骨柄上縁から床面までの垂直距離を指極で除した値),自動伸展可動性(伏臥上体そらしでの胸骨柄上縁から床面までの垂直距離を指極で除した値),体幹前傾角,年齢と開眼片脚立位(OLS),Timed Up and Go test(TUG),最大歩行速度(MWS),エネルギー消費の指標である生理的コスト指数(PCI)を測定した。〔結果〕脊柱の他動伸展可動性とOLS,MWSとの間には有意な正の相関,TUGとの間には負の相関が認められた。脊柱の他動伸展可動性とPCIとの間,脊柱の自動伸展可動性,体幹前傾角,年齢とOLS,TUG,MWS,PCIとの間には相関が認められなかった。〔結語〕円背患者において,脊柱の他動伸展可動性はバランス,歩行能力と関連していることが示唆された。
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井上 順一朗, 小野 玲, 牧浦 大祐, 竹腰 久容, 黒坂 昌弘, 岡村 篤夫, 佐浦 隆一
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
741-745
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
ジャーナル
フリー
〔目的〕同種移植患者において運動イメージが低下するかを検証するとともに,リハビリにより身体活動量を維持・向上することで運動イメージが改善するかを検証すること。〔対象〕同種移植を受けた患者20名とした。〔方法〕実際の歩行遂行時間(AT)と心的にイメージした歩行遂行時間(MT)を測定し,ATとMTとの誤差(M/A比)を求めた。また,歩数計で測定した身体活動量と運動イメージとの関連性について検討した。〔結果〕好中球生着後のM/A比は1.46±0.18,退院時のM/A比は1.24±0.14であった。身体活動量は退院時AT,退院時MT,退院時M/A比との間にそれぞれ負の相関が認められた。〔結語〕同種移植患者では移植治療過程で運動イメージが低下するが,身体活動量の維持・向上により運動イメージは改善することが示唆された。
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河西 理恵, 丸山 仁司
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
747-754
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
ジャーナル
フリー
〔目的〕理学療法学教育におけるPBLテュートリアルの現状および課題を明らかにするために,全国の理学療法士養成校の教員を対象にPBLテュートリアルに関するアンケート調査を行った。〔対象と方法〕平成21年11月~12月にかけて全国236の理学療法士養成校の教員に対し郵送でのアンケート調査を行った。〔結果〕有効回答を得た130校うち,現在PBLテュートリアルを実施している養成校は70校,実施していない養成校は60校であった。PBLに関する課題として,実施校では教員間の指導方法や取り組み方の違いが最も多く,未実施校ではPBLの実施方法がよくわからないが最も多かった。〔結語〕より多くの養成校が効果的なPBLを行うためには,PBLに対するガイドラインの作成や教員研修などの教員支援が必要である。
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阿南 雅也, 徳田 一貫, 木藤 伸宏, 新小田 幸一
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
755-760
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
ジャーナル
フリー
〔目的〕本研究は,体幹および下肢の運動連鎖の観点から変形性膝関節症(膝OA)の発症・進行に関与する機能障害を明らかにするために,膝OA患者における椅子からの立ち上がり動作(STS)の運動学的分析を行った。〔対象〕膝OAと診断された女性17名の膝OA群と膝関節痛を有さない女性16名の対照群とした。〔方法〕課題動作は座面高が下腿長の高さの椅子からのSTSとした。3次元動作解析システムKinema Tracer(キッセイコムテック社製)を用いて各体節および下肢関節の角度を求めた。〔結果〕身体重心(COM)前方移動期における各体節の角速度の平均値には有意差が認められなかったが,COM上方移動期における膝関節伸展,足関節底屈の角速度平均値は対照群に比し,膝OA群が有意に小さかった。〔結語〕膝OA群のSTSにおいて,臀部離床後に体幹前傾で得られた速度を下肢に伝えることができず,適切な膝関節の関節運動および肢節のアライメント保持が難しくなっていることが示唆された。
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─非糖尿病患者と糖尿病患者の動向─
山野 薫, 村上 直彦, 松永 秀俊, 秋山 純和
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
761-765
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
ジャーナル
フリー
〔目的〕現時点では理学療法の対象ではない地域在住の糖尿病患者が,将来的に理学療法の対象者となったときに備えた潜在的なリスクファクターの傾向を確認しておくことである。〔対象〕理学療法士が勤務していない診療所を調査地点とし,通院加療中の糖尿病患者18名(糖尿病群)と糖尿病を有しない患者10名(非糖尿病群)とした。〔方法〕血圧脈波検査装置を用い,脈波伝播速度と足首上腕血圧比を測定し,身長,体重,血圧,運動習慣,生化学検査値等の諸条件とともに糖尿病群と非糖尿病群で比較検討した。〔結果〕脈波伝播速度の平均値,ヘモグロビンA1c,空腹時血糖値は,糖尿病群と非糖尿病群間で有意差を認めた。〔結語〕地域に在住する糖尿病患者の潜在的なリスクファクターの傾向をとらえることができた。
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─IPAQ日本語版の信頼性・妥当性の3軸加速度計を用いた検討─
北村 菜月, 佐藤 拓, 川越 厚良, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
767-771
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
ジャーナル
フリー
〔目的〕身体活動量の評価票であるIPAQ日本語版の信頼性・妥当性について,最近開発された生活活動量計(A-MES;3軸加速度計)を用いて検討することを目的とした。〔対象および方法〕信頼性の検討では健常学生56名を対象とした。IPAQ日本語版に1週間の期間を空けて2回回答し,各質問項目において級内相関係数を算出した。妥当性の検討では健常学生16名を対象とし,A-MESにより身体活動量を1週間測定し,最終日にIPAQ日本語版に回答した。A-MESの評価結果とIPAQ日本語版の質問項目とに共通する項目に関して,Pearsonの積率相関係数を算出した。〔結果〕信頼性について,IPAQ日本語版の全ての質問項目で級内相関係数は0.75を上回った。妥当性について,「休日における総坐位・臥位時間」において有意な相関係数が得られた。〔結語〕IPAQ日本語版は信頼性の高い質問票であること,休日の坐位,臥位といった身体活動の評価においてIPAQ日本語版は妥当性が認められることが示された。しかし,対象によっては記憶の影響を受けやすく,IPAQ日本語版の正確な身体活動量の評価に対する限界が示唆された。
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神谷 晃央, 山本 拓哉, 竹井 仁
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
773-777
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
ジャーナル
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〔目的〕両上肢による支持や反対側下肢による支持の仕方で,股関節屈曲筋力値や股関節周囲筋の筋活動が異なるかどうかを検討すること。〔対象〕同意を得た健常成人男女各10名。〔方法〕股関節屈曲筋力値を両上肢による支持,反対側下肢による支持,支持なしの3条件で比較した。また,支持の仕方による股関節周囲筋への影響を確認するために,多裂筋・外腹斜筋・股関節屈曲筋群・大腿直筋・大殿筋・大腿二頭筋長頭の筋活動量を算出した。〔結果〕股関節屈曲筋力値は支持のない条件において有意に低い値を示した。両上肢による支持では両側外腹斜筋や挙上側多裂筋,反対側下肢による支持では反対側股関節屈曲筋群や反対側大腿二頭筋長頭の筋活動量が増加した。〔結語〕支持を行うことで姿勢保持筋の筋活動が上昇し,股関節屈曲筋力も増大した。
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─転倒経験の有無による検討─
伊藤 裕介, 菅沼 一男, 芹田 透, 榊原 僚子, 知念 紗嘉, 丸山 仁司
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
779-784
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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〔目的〕介護予防事業を特定高齢者に実施し,運動機能及び健康関連QOLに及ぼす影響について検証した。〔対象〕介護予防事業に参加した特定高齢者45名(男性11名・女性34名)であった。〔方法〕介護予防事業は3ヶ月間,週1回,計12回行った。時間は2時間とし,内容は講義・ストレッチ・筋力トレーニング・全身運動を行った。評価は運動機能とSF-36について行った。〔結果〕運動機能及びSF-36の介入前は転倒群と非転倒群の間に有意差は認められなかった。運動機能は,転倒群及び非転倒群共に介入前後の比較において有意差が認められた。SF-36は,非転倒群の介入前後の比較において有意差が認められたが転倒群の介入前後の比較において有意差が認められなかった。〔結語〕転倒群は転倒による精神的影響により健康関連QOLの向上が認められなかったと考えられ,転倒経験のある高齢者に対する介護予防事業では,運動機能に対する介入だけでなく,精神面を意識した介入が必要であると考えた。
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土井 眞里亜, 浦辺 幸夫, 山中 悠紀, 野村 真嗣, 神谷 奈津美
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
785-789
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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〔目的〕本研究の目的は,静的ストレッチング(static stretching;SS)と動的ストレッチング(dynamic stretching;DS)後の関節可動域や筋出力に関して経時的変化を比較し,よりスポーツ活動前に適したストレッチング方法を明らかにすることとした。〔対象〕健康な成人女性18名とした。〔方法〕下腿三頭筋に対しSSおよびDSを行い,ストレッチング直前,直後,5分後,10分後に足関節背屈可動域と底屈筋力を測定した。〔結果〕関節可動域については,SSでは直後に上昇し10分間維持したのに対し,DS後は徐々に上昇し10分後にSS後と同程度に達した。筋力については,直後から10分後までSSよりもDSのほうが有意に高い値を示した。〔結語〕最大筋力を必要とするスポーツ活動の10分前にDSを行うことでより高いパフォーマンスを行うことができる可能性が示唆された。
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─安芸の元気体操の効果─
元吉 明, 明崎 禎輝, 津野 良一, 濱窪 隆, 福島 美鈴, 谷岡 博人, 野村 卓生, 佐藤 厚
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
791-795
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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〔目的〕我々が考案した「安芸の元気体操」が,運動療法への参加と継続,および身体機能と能力の向上に有用であるかどうかを検討した。〔対象〕地域住民29名である。〔方法〕対象者をいきいき百歳体操と「安芸の元気体操」を併用した介入群(20名)と,いきいき百歳体操のみ行ったコントロール群(9名)に分類した。介入期間は13週間とした。身体機能および能力として,体脂肪率,Body Mass Index,握力,膝関節伸展筋力,長坐位体前屈距離,開眼片脚立位時間,Functional Reach Test,最大1歩幅,5 m最大歩行速度,Timed Up & Go Testを測定した。そして,介入群,コントロール群それぞれ介入前後での効果を分析した。〔結果〕運動参加日数は,介入期に介入群が平均4日/週,コントロール群は平均1日/週を示した。介入群が体脂肪率,5 m最大歩行速度,Timed Up & Go Testにおいて介入前後での有意な改善を認めた。〔結語〕今回の介入方法は,運動参加への意欲および身体機能と能力の向上に有効であった。
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竹内 伸行, 桑原 岳哉, 臼田 滋
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
797-801
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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〔目的〕Ankle Plantar Flexors Tone Scale(APTS)により腓腹筋とヒラメ筋の筋緊張の鑑別が可能か否かを検討した。〔対象〕脳血管障害患者74人。〔方法〕足関節底屈筋の筋緊張をAPTSにより膝伸展位と膝屈曲位で測定した。APTSの測定結果をWilcoxonの符号付順位検定で比較した。〔結果〕Stretch Reflexは膝伸展位に比して膝屈曲位が有意に高値であった。Middle range resistanceとFinal range resistanceは膝屈曲位に比して膝伸展位が有意に高値であった。〔結語〕APTSは腓腹筋とヒラメ筋の筋緊張を鑑別可能であることが示された。
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仲保 徹, 山本 澄子
原稿種別: 原 著
2010 年 25 巻 5 号 p.
803-810
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/25
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〔目的〕側屈は簡易な運動であるが,側屈位が呼吸運動に与える影響については不明な点が多い。本研究は側屈位の胸壁運動を3次元動作解析装置で測定し,呼吸運動に与える影響を検討した。〔対象〕健常成人男性12名とした。〔方法〕側屈位での胸壁運動を体表マーカーの変化量で測定した。胸壁の拡張変化量と縮小変化量について,直立位との比較,側屈側と非側屈側との比較を行った。〔結果〕直立位に比べ側屈位では呼吸変化量,胸壁運動の変化量の減少がみられた。また,非側屈側に比べ側屈側で吸気運動が大きく,呼気運動では側屈側に比べ非側屈側の方が大きくなることが分かった。〔結語〕側屈位は呼吸運動では拘束的肢位であるが,呼吸との組み合わせにより片側病変の改善を見込めることが推測された。
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