理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
低強度での心拍一定負荷における上肢運動の特性に関する研究
―心臓迷走神経活動の調節の違いによる検討―
和久田 未来西田 裕介
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2011 年 26 巻 1 号 p. 7-11

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抄録

〔目的〕本研究では,呼吸循環器疾患患者において息切れが発生しやすい上肢運動の特性を解明するために,使用筋群の違いによる心臓迷走神経活動と呼吸循環器機能との関係について検討した。〔対象〕若年健常男性11名とした。〔方法〕エルゴメータを使用し,カルボーネン30%の低強度にて上肢運動と下肢運動を行わせ,心拍減衰時定数(T30)と心拍の変動係数と呼吸数を測定した。〔結果〕上肢運動でのT30と変動係数およびT30と呼吸数との間に有意な正の相関関係が認められた。一方,下肢運動では関連性は認められなかった。〔結語〕健常成人において,上肢運動の場合はT30が遅く,運動後の迷走神経の再興奮が弱い人ほど,急速な迷走神経活動の退縮と早期の交感神経活動の亢進により,呼吸数が増加し,また,心負荷が増大している可能性が示唆された。

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© 2011 by the Society of Physical Therapy Science
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