理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
26 巻 , 1 号
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原著
  • 平瀬 達哉, 井口 茂, 中原 和美, 松坂 誠應
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕在宅虚弱高齢者に対し異なる運動介入を行い,身体機能に及ぼす影響について経時的な変化から検討することである。〔対象〕65歳以上で要支援1~要介護1の在宅虚弱高齢者51名とした。〔方法〕対象者を事業所別にバランス運動群24名,筋力増強運動群27名に振り分け,週1回1時間の運動を3ヶ月間実施した。身体機能として,開眼片足立ち,椅子起立時間,Timed Up & Go Test(TUG),下肢筋力を評価し,各運動群におけるそれらの経時的変化を解析した。〔結果〕経時的変化では,バランス運動群は下肢筋力が1ヶ月後より有意に増加し,その後全ての身体機能評価が有意に改善されていた。筋力増強運動群では,下肢筋力が2ヶ月後より有意に増加し,その後椅子起立時間,TUGが有意に改善されていた。[結論]各運動群ともに下肢筋力の増加後にパフォーマンス能力が向上していた。また,バランス運動と筋力増強運動では効果の反応が異なることが示された。
  • 和久田 未来, 西田 裕介
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究では,呼吸循環器疾患患者において息切れが発生しやすい上肢運動の特性を解明するために,使用筋群の違いによる心臓迷走神経活動と呼吸循環器機能との関係について検討した。〔対象〕若年健常男性11名とした。〔方法〕エルゴメータを使用し,カルボーネン30%の低強度にて上肢運動と下肢運動を行わせ,心拍減衰時定数(T30)と心拍の変動係数と呼吸数を測定した。〔結果〕上肢運動でのT30と変動係数およびT30と呼吸数との間に有意な正の相関関係が認められた。一方,下肢運動では関連性は認められなかった。〔結語〕健常成人において,上肢運動の場合はT30が遅く,運動後の迷走神経の再興奮が弱い人ほど,急速な迷走神経活動の退縮と早期の交感神経活動の亢進により,呼吸数が増加し,また,心負荷が増大している可能性が示唆された。
  • 中村 浩一, 向野 義人, 兒玉 隆之
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕Individual Muscle Stretching(ID)が心身に及ぼす影響を検討した。〔対象〕健常男子学生60名60肢右脚とした。〔方法〕IDを施行する群(ID群),Static Stretchingを施行する群(SS群),ストレッチングを施行しない群(control群)に被験者を分け,群間及び各ストレッチング前後で,ゴニオメーター,サイベックス,アンケートを用いて比較検討した。〔結果〕柔軟性と筋出力において,ID群は介入後有意に柔軟性の向上と筋出力の低下を認めた。アンケートの結果,ID,SS群ともに,介入後,有意に身体的疲労及び気分の改善を示す結果を得た。〔結語〕IDは柔軟性向上,筋出力低下,精神心理の改善をもたらすことが示唆された。
  • 中山 朗, 長住 達樹
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,成長期児童の下肢柔軟性と体格的要因との関係性を検討することである。〔対象〕小学6年生の男子61名,女子75名の136名であった。〔方法〕下肢柔軟性は下肢伸展挙上角度と膝関節伸展位での足関節背屈角度を測定し,身長・体重・BMIとの関連性を検討した。〔結果〕男子に比べて女子の柔軟性が有意に高かった。男女とも身長と柔軟性の関連は認められなかった。女子では体重の影響も認められなかった。しかし男子では体重の重い児童あるいは肥満傾向にある児童が柔軟性は低かった。〔結語〕小学6年生男子の柔軟性は身長ではなく,体重とBMIと関連があり,女子では体格的要因とは関連がないことが示された。
  • 岩佐 知子, 菅沼 一男, 知念 紗嘉, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕中学生野球選手が青少年の野球障害に対する提言での上限である70球投を投げることによる投球前後の肩関節機能の変化について検討した。〔対象〕中学生野球クラブチームに所属する男性投手10名であった。〔方法〕投球前後に投球側の肩関節内旋可動域および肩関節内外旋筋力,疲労度,球速の測定を行った。投球は実践投球を意識しストレートと変化球を合わせた計70球とした。投球前後の肩関節内旋可動域および肩関節内外旋筋力,疲労度については,対応のあるt検定を用い,球速については1元配置の分散分析を用いて分析を行った。〔結果〕肩関節内旋可動域は投球後に可動域が有意に減少した。肩関節内外旋筋力は投球前後において筋力に差が認められなかった。肩関節の疲労度は,投球前後において有意に増加したが,球速については差が認められなかった。〔結語〕高校生を対象とした報告と同様に投球後は肩関節内旋可動域が低下し,肩関節内外旋筋力は差が見られなかった。したがって,投球練習後は肩関節外旋筋のストレッチを行う必要があると考えられた。
  • 金子 雅明, 岡崎 倫江, 上條 史子, 上田 泰久, 柿崎 藤泰, 桜庭 景植
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕足部・足関節アライメントに着目しACL損傷の危険肢位とされる膝関節軽度屈曲・外反および着地直前および直後の下肢筋群筋活動との関係を明確にし,予防や再建術後プログラムの指導に役立つ指標を示すことを目的とした。〔対象〕健常成人男性27名を対象とした。〔方法〕左片脚着地後の最大膝関節屈曲角と外反角,着地直前直後の筋活動,下肢アライメント評価として,脛骨捻転角,thigh foot angle,leg-heel angle,navicular drop testを計測した。〔結果〕navicular drop testの値が小さい場合,左片脚着地後の最大膝関節外反角が大きくなるとともに着地直前直後の半腱様筋の筋活動が大きくなった。〔結語〕navicular drop testの値が小さいことは,ACL損傷の危険肢位である膝関節外反を生じる可能性が高い選手を把握する指標になることが示唆された。
  • 正保 哲, 洲崎 俊男, 出口 清喜, 廣瀬 昇, 奥 壽郎, 立野 勝彦
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕安全な背臥位での運動療法を提供するため,目標心拍数を指標とした背臥位での運動と自律神経活動からみた背臥位での安全な運動負荷の設定について検討を行った。〔対象〕運動習慣の無い健常男性11名とした。〔方法〕運動強度はカルボーネンの式を用いて,目標心拍数に達した負荷の80%と40%とした。運動は背臥位で自転車エルゴメーターを用いて行い,安静時から運動終了5分までの心電図を記録し,自律神経活動を測定した。〔結果〕HFnuの変化は,運動負荷80%では安静時に対して有意に抑制され,運動終了後有意に亢進した。LF/HFの変化は運動負荷80%では安静時に対して有意に亢進し,運動終了後運動時に対して有意に低下した。運動負荷40%では運動終了後に有意に低下した。〔結語〕 運動負荷40%程度の運動負荷における臥位でのペダリング運動は,運動終了後に副交感神経活動の上昇傾向,交感神経活動の抑制が期待されるため,背臥位での低強度の運動が低体力者に対する安全な運動療法の提供を可能にすることが示唆される。
  • 河合 恒, 大渕 修一, 小島 基永, 新井 武志, 中野 美恵子, 横山 義昭
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕身体的活動能力測定の介護予防事業の対象となる高齢者における信頼性を検討することを目的として,一般高齢者,虚弱高齢者を対象として,「自立体力テスト」の再現性,構成概念妥当性,安全性を検証した。〔対象〕地域在住高齢者129名と要支援高齢者48名であった。〔方法〕自立体力テストのテスト・再テストの一致度を調べるために,級内相関を用いた。構成概念妥当性検証のために,自立体力テストと運動機能評価指標との相関を調べた。リスクアセスメントによってテスト実施の安全性を検討した。〔結果〕自立体力テストのテスト・再テスト間の級内相関は,0.75以上であった。自立体力テストは,歩行速度やTimed Up & Goテストとは0.39~0.92,開眼片足立ち時間とは-0.36~-0.45の相関を示した。〔結語〕自立体力テストは,介護予防対象者に対して再現性があり,既存の運動機能評価指標との相関が見られ,構成概念妥当性があることが確認されたことから信頼性の高いテストであると判断された。
  • 横山 茂樹, 蒲田 和芳, 根地嶋 誠
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕足関節位置覚検査法における測定方法の相違による特性を把握するために,自動的検査法と他動的検査法について実測誤差および絶対誤差を検証した。〔方法〕健常者を対象とし,測定肢位は,足関節回外0 °もしくは20°位において,背屈10 °,底屈10°,底屈30°の3条件,計6肢位とした。〔結果〕実測誤差では,他動的検査法の方が自動的検査法よりも足関節底屈30 °時において小さく見積もられた。しかし絶対誤差では自動的検査法と他動的検査法に相違は認められなかった。〔結語〕他動的検査法の実測誤差において,足関節底屈位となることによって背屈方向へ誤認する傾向を示唆した。今後は障害発生との関連性を検討する必要がある。
  • 大室 和也, 柴 喜崇, 大渕 修一, 高平 尚伸
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕足部重錘負荷歩行が前方動揺量および半腱様筋活動に及ぼす影響を検討した。〔対象〕地域在住高齢女性39名を対象とした。〔方法〕重錘なし歩行,1.5 kg重錘歩行,2.5 kg重錘歩行の3条件において,膝関節前方動揺量(mm),一歩行周期及び荷重応答期の半腱様筋活動量( μV)を算出し,条件間で比較した。〔結果〕前方動揺量は,2.5 kg重錘歩行および重錘なし歩行において,1.5 kg重錘歩行のそれと比較して有意に低値を示した。一歩行周期の半腱様筋活動量は,重錘が重いほど有意に増加した。一方,荷重応答期の筋活動量は,1.5 kg重錘歩行と重錘なし歩行において有意な差を認めなかった。〔結語〕2.5 kg重錘歩行は,半腱様筋のトレーニングとして有用になる可能性がある。
  • 河野 英美, 宇野 彩子, 北浜 伸介
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,ショルダーバッグを使用した立位における体幹可動性を“習慣的に携帯している側(習慣使用側)”と“習慣的に携帯していない側(非習慣使用側)”で比較し,習慣使用側と体幹側屈運動(LB)との関連を検討した。〔対象〕健常人10人(年齢20.1±1.5歳)とした。〔方法〕3次元動作解析装置を用いて,ショルダーバッグ使用下立位での体幹可動性を測定し,左右で比較した。LB時の可動性も左右で比較し,習慣使用側との関係について検討した。〔結果〕習慣使用側では下部体幹の対側側屈及び後方傾斜の増大が見られた。LB時下部体幹可動性は習慣使用側と対側への側屈可動性の増大が認められた。〔結語〕下部体幹側屈可動性の非対称性が問題となるような腰痛患者や,腰椎後方傾斜により不安定性が惹起されるような症例に対し,ショルダーバッグ携帯下での立位保持時の注意や指導が必要であると考えられた。
  • 芳川 晃久, 小形 洋悦, 楊箸 隆哉, 藤原 孝之, 阿部 康二
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕徒手療法のテクニックが臨床において評価を得てきている。しかし効果の背景にあるメカニズムが明らかになっているとはいえない。本研究は第5・6頸椎への持続的椎間関節自然滑走法と頸部屈曲の関節可動域変化の関係について調べた。〔方法〕20名の健常成人を対象とし,被験者内の繰り返し測定にてコントロール,自動運動,SNAGSの3種類の条件を施行して比較した。各条件において頸椎の屈曲角度を4回(0分,5分後,10分後,40分後)測定した。介入条件である自動運動とSNAGSは2回目の計測直前時施行された。また,施術者による第5頸椎棘突起に対する母指を用いた徒手的操作の力(N)も計測した。〔結果〕SNAGS群の2回目の測定時のみに統計的に有意な頸椎屈曲角度の変化があった。健康人対象では持続的な関節可動域の増加効果は得られなかった。〔結語〕介入量を変化させてさらなる詳細な検討が必要と考えられる。
  • 糸数 昌史, 山本 澄子
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕二分脊椎者の歩容の改善を目的として,底背屈制動機能つき短下肢装具の効果について検討した。〔対象〕同意の得られたL4~L5レベルの二分脊椎者2名とした。〔方法〕AFOなし,M-AFO,底背屈制動機能つき短下肢装具(DB-AFO)の3条件にて,3次元動作分析装置を用いた歩行分析を行い,算出したパラメータを条件間で比較した。〔結果〕DB-AFOの使用によって,COGの高さは最も高い位置に保たれた。症例1では立脚初期~立脚中期にかけて,足関節底屈モーメントの増加と膝関節,股関節の屈曲角度が減少した。症例2では,立脚後期で足関節底屈モーメントの増加と膝屈曲,足関節背屈角度が減少した。〔結語〕DB-AFOは下肢の屈曲傾向を改善し,重心位置を高く保つことで,二分脊椎の歩容改善に有効と考えられた。
  • 新井 清代, 丸山 仁司
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢者の寝返り動作時,ベッド柵を使用するか否かの関連因子として身体機能,日常生活活動(ADL)の自立度がどのように影響しているかについて検討した。〔対象〕老人保健施設入所者およびデイケア利用者の計52名を対象とした。〔方法〕寝返り動作時のベッド柵使用状況を調査した後,寝返り動作パターン分類や,機能的自立度評価法(FIM),脳卒中機能障害評価法(SIAS)を評価し,各評価項目の中でベッド柵使用状況に対する関連因子は何かということについて調べた。〔結果〕判別分析において,FIM合計点・握力・腹筋力・疾患といった因子でベッド柵使用状況を判別することが可能であった。〔結語〕理学療法士が患者に対し寝返り動作指導をする場合,ベッド柵を使用させるか否かの判定においては,腹筋力・FIM合計点・握力・疾患を考慮する必要があると推察された。
  • 竹井 和人, 村田 伸, 甲斐 義浩, 村田 潤
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 79-81
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕足把持力トレーニングの効果を足把持力の経時的な変化により検討した。〔対象〕健常成人女性19名とした。〔方法〕10分程度の足把持力トレーニング(タオルギャザー)を週4日,6週間継続して実施し,トレーニング前,3週間後,6週間後の足把持力を比較した。〔結果〕トレーニング前と比較して3週間後の足把持力は有意な増加を示した。一方,3週間後と6週間後との間に有意差は認められなかった。〔結語〕足把持力トレーニングによる筋力増強効果は,3週間で生じることが示された。また,足把持力に関与する筋群は,形態的な特徴から6週間のトレーニングでは筋肥大による筋力増強は得られない可能性が推察された。
  • 高橋 一揮, 佐藤 洋一郎, 鈴木 誠, 村上 賢一, 小野部 純, 藤澤 宏幸
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,体重免荷トレッドミル歩行(BWS歩行)の下肢筋活動および呼吸循環応答を検討することとした。〔対象〕健常成人男性18名(平均年齢20.4±1.7歳)を対象とした。〔方法〕全荷重(FWB)歩行,25%BWS歩行,50%BWS歩行の3条件をランダムにて実施した。筋活動として1歩行周期の積分筋電量と筋活動パターンについて観察した。また呼吸循環応答として酸素摂取量を中心に測定した。〔結果〕筋活動パターンは各条件間で大きな変化は見られなかったが,積分筋電量は免荷量が増加するに従い減少した。また,酸素摂取量は25%BWS歩行にて約10%,50%BWS歩行にて約18%減少した。〔結語〕BWS歩行は筋活動パターンを変えず,同時にエネルギー消費量が抑えられた介入であることが示唆された。
  • 上村 さと美, 秋山 純和
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 89-93
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕健常な中年期から高年期の男性における起立回数(回/分)と生理的運動強度の関係を明らかにすることを目的とした。〔対象と方法〕対象は63から69歳の健常男性17名(以下,60歳代群)と,比較する対象として19から24歳の若年男性31名(以下,20歳代群)とした。方法は3分間ごとに起立回数が漸増するプロトコルを設定し,運動終了基準に到達するまで起立運動を負荷した。測定項目は呼気ガス諸量,心拍数,血圧とした。分析は群ごとに各起立回数における酸素摂取量,相対的心拍数,ダブルプロダクトの平均値を算出した後,各起立回数の生理的運動強度を捉えた。〔結果〕酸素摂取量,ダブルプロダクトは両群ともに起立回数に追随して増大したが,相対的心拍数は60歳代群では追随しなかった。〔結語〕60歳代群は,運動初期に収縮期血圧の上昇により,生理的運動強度を調整することが分かった。
  • 矢嶋 昌英, 浅川 康吉, 山口 晴保
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 95-99
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕高齢者の「楽しさ」を構成する因子を明らかにすることを目的とした。〔対象〕群馬県前橋市敷島及び吉岡町老人福祉センターの利用者165名とした。〔方法〕独自に作成した調査票を用い,性別,年齢,「楽しみ」の有無,「楽しい理由」について個別面接により聴取した。「楽しみ」の有無を尋ね,「有る」と回答された方には,その内容および「楽しい理由」を聴取した。「楽しい理由」はTaxonomy of Human Goals(人間が持つ目標の分類)を参照し,「はい」と「いいえ」の2件法で回答を得た。「楽しい理由」としてあげられた項目について探索的因子分析を行い,「楽しさ」を構成する項目を抽出した。〔結果〕楽しみがある人は159名(96.4%)であった。主な内容はカラオケ,センターに来ること,会話,温泉,手芸であった。「楽しい理由」として抽出されたのは3因子11項目であった。それぞれ,第1因子は探究・理解・知的創造性・熟達・課題創造性であり「認知-課題」,第2因子は個性・自己決定・優越であり「自己主張的社会関係」,第3因子は平穏・幸福・身体的健康であり「情動」と命名した。なお,11項目のCronbach α係数は0.73であった。〔結語〕地域在住高齢者の「楽しさ」は,「認知-課題」,「自己主張的社会関係」,「情動」の3因子構造を示し,抽出された11項目で評価できることが示唆された。
  • 村田 伸, 大田尾 浩, 村田 潤, 堀江 淳
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 101-104
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,Frail CS-10の有用性を検討するために,ADLとの関連について検討した。〔対象〕虚弱もしくは軽度要介護高齢者159名(男性65名,女性94名)とした。〔方法〕Frail CS-10と大腿四頭筋筋力について,FIM-MならびにFIM-M下位項目との関連をスピアマンの順位相関係数を用いて性別毎に検討した。〔結果〕Frail CS-10と大腿四頭筋筋力は,男女ともに今回評価したFIM-MおよびすべてのFIM-M下位項目とそれぞれ有意な相関が認められた。ただし,その相関係数から関連の強さを判断すると,FIM-Mのすべての項目でFrail CS-10の方が大腿四頭筋筋力よりも関連が強かった。〔結語〕従来から下肢機能の代表値として用いられている大腿四頭筋筋力よりもFrail CS-10の方が,虚弱高齢者のADLとより関連することが示唆された。
  • 島谷 康司, 関矢 寛史, 田中 美吏, 長谷川 正哉, 沖 貞明
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 105-109
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,発達障害児の障害物回避の見積もり能力を明らかにすることであった。〔方法〕対象は5~6歳の発達障害児と健常児,各9名とした。視覚弁別課題として,7.0 m離れた位置から異なる高さの2本のバーの高低を比較させた。また,接触回避を見積もる課題として,異なる高さのバーを1本ずつ呈示し,かがみ込むことなしに,身体を接触させずに通り抜けることができるかどうかを回答させた。〔結果〕視覚弁別課題では発達障害児の正答数は9.22±.63回,健常児は9.78±.42回であり,有意な差は見られなかった。見積もり課題では,発達障害児の正答数は7.78±.67回,健常児は8.56±.73回であり,発達障害児の正答数が有意に少なかった。〔結語〕発達障害児は身長とバーとの相互関係からバーへの接触回避を見積もる能力が劣っていたために,障害物に接触する頻度が高いのではないかと考えられた。
  • 細井 俊希, 澤田 豊, 加藤 剛平, 藤田 博曉, 高橋 邦泰, 黒川 幸雄
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 111-115
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕回復期リハ病棟入院患者の入院時と退院後の活動量を,活動量計を用いて計測し,退院前後での活動量の変化を客観的に明らかにした。活動量が低下した原因について聴取した。〔方法〕歩行可能な回復期リハ病棟入院患者8名を対象とし,退院前と退院後それぞれ約1ヶ月間の活動量を測定した。また,退院後に活動量が低下した原因について聴取し,ICF分類に基づき分類した。〔結果〕1日平均歩数は,すべての対象者で,入院期間中に比べ退院後に減少していた。また,すべての対象者が退院後に活動量が低下したと自覚しており,考えられる原因は,保健サービス,気候,家族の態度,屋内の移動,動機づけなどに分類された。〔結語〕退院時に対象者やその家族と退院後の目標について十分に話し合い,積極的にデイケアなどの利用を促すようなケアプランを立てることが,リハ回数や外出機会の増加にもつながり,退院後の活動量の低下を防ぐことができると考えられた。
  • 松田 雅弘, 渡邉 修, 来間 弘展, 村上 仁之, 渡邊 塁, 妹尾 淳史, 米本 恭三
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 117-122
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕脳卒中により利き手側の片麻痺を呈した場合,利き手交換練習を行うことが多い。そのため健常者における非利き手での箸操作の運動時,イメージ時,模倣時の脳神経活動を明らかにした。〔対象〕神経学的な疾患の既往のない右利き健常成人5名(平均年齢20.7歳)とした。〔方法〕課題は,左手箸操作運動課題,左手箸操作イメージ課題,左手箸操作の映像をみながら箸操作運動課題(模倣課題)の3種類とし,その間の脳内活動を3.0T MRI装置にて撮像した。〔結果〕運動課題では左右感覚運動野・補足運動野・小脳・下頭頂小葉・基底核・右Brodmann area 44が賦活した。イメージ課題では,運動課題と比べ左感覚運動野・小脳の賦活が消失していた。模倣課題では,左右感覚運動野・補足運動野・上下頭頂小葉・Brodmann area 44が賦活した。〔結語〕イメージ課題と模倣課題には,運動課題時に賦活する領域を両課題とも補う傾向にあることから,箸操作訓練の際には運動課題のみではなく両者を取り入れて行う意味があることが示唆された。
  • 松尾 奈々, 村田 伸
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 123-126
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究は,荷物挙上の際に軟性コルセットを装着することで,腰椎前彎角の増大が抑制されるかどうかを検討した。〔対象〕健常成人女性14名,平均年齢は20.1±0.3歳であった。〔方法〕軟性コルセットの装着域は,下位肋骨弓から腸骨稜までとした。測定は,両足部の幅を10 cmに合わせて置き,視線を正面に向けた安静立位姿勢で実施した。両上肢で,2 kgの重りを入れた箱を把持し,上肢を0°,90°,120°挙上した姿勢の胸椎後彎角および腰椎前彎角を測定した。これら2つの脊椎彎曲角を各挙上肢位で比較した。〔結果〕腰椎前彎角は,上肢挙上角120°で有意に大きな値を示した。胸椎後彎角については,有意な差は認められなかった。〔結語〕軟性コルセットの装着により,荷物挙上動作の際,上肢挙上角90°で腰椎前彎角の増大が抑制されることが示された。
  • 鈴木 康裕, 砂川 伸也, 千住 秀明
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 127-131
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本研究の目的は,若年健常者に有効であったEEMT法の筋力増強効果が高齢者で得られるか検討することである。〔対象〕自立歩行可能な高齢者(平均年齢80.3±5.2歳),男性11例,女性11例,計22例である。〔方法〕介入群と対照群に無作為に割り付け介入群にはEEMT法を実施した。それぞれ実施期間前後で筋力,筋持久力,持続歩行距離を測定した。〔結果〕介入群と対照群ともに実施前後の変化は,筋力では有意でなく,持続歩行距離では有意であった。また筋持久力では介入群のみ有意な変化がみられた。〔結語〕今回の結果は,高齢者(サルコペニア)に対するEEMT法の筋力増強効果の限界と,持久力向上効果の仮説を示唆するものであった。
  • 西川 正志, 山崎 俊明, 都志 和美
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 133-137
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ラットヒラメ筋廃用性萎縮後の再荷重による回復過程において,その介入効果を部位別に検討することとした。〔方法〕対象は8週齢のWistar系雄ラットを1)通常飼育の対照群(C14群),2)開始日対照群(C0群),3)後肢懸垂群(H14群),4)後肢懸垂後の通常飼育(再荷重)群(R3,R5,R7,R14群)の計7群(n=7)に分類した。実験期間終了後,右ヒラメ筋を4分割し,起始部より近位部,中央部,遠位部として試料を作成した。その後,筋線維横断面積を測定した。その他,体重,筋湿重量,筋長を測定した。〔結果〕H14群はC14群と比較し有意に低値を示し,また群内においても遠位部が有意に高値を示した。再荷重期間が延びるにつれ筋線維横断面積は増加していくが,R14群以外のR群では近位部よりも遠位部が有意に高値を示した。〔結語〕ラットヒラメ筋における後肢懸垂およびその後の再荷重では,筋の長軸部位による反応の違いが示唆された。
  • 水本 淳, 鈴川 芽久美, 牧迫 飛雄馬, 土井 剛彦, 島田 裕之
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 139-142
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ステップエルゴメーター(Biostep)を用いて,地域在住高齢者におけるアイソキネティック運動時のピークパワーと身体機能評価との関連を検討することを目的とした。〔対象〕高齢女性12名(平均年齢78.3歳)とした。〔方法〕ステップエルゴメーターによる筋パワーの測定(60および90 steps/min),Timed Up and Go Test(TUG),等尺性膝伸展,屈曲筋力を測定した。分析は測定値間の関係を検討するためPearsonの相関係数を算出し,TUGを従属変数としたステップワイズ重回帰分析を行った。〔結果〕60 steps/minパワーはTUG,膝伸展トルクに有意な相関を認めた。90 steps/minパワーはTUG,膝伸展,膝屈曲トルクに有意な相関を認めた。重回帰分析では,90 steps/minパワーのみが抽出された。〔結語〕ステップエルゴメーターを使用した筋パワーの測定は,筋力や歩行機能を反映した指標であり,高齢者の身体機能を評価する指標として妥当であると考えられた。
  • 廣瀬 昇, 松尾 洋, 平野 正広, 薄 直宏, 丸山 仁司, 橋本 尚武
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 143-147
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕2型糖尿病患者の運動習慣の有無が日常生活活動パターンやその行動の選択にどのような影響を与えるのかについて調査を実施した。〔対象〕外来通院をする2型糖尿病患者48症例。〔方法〕身体活動量質問紙票からは日常生活の活動時間数を,歩数計からは総エネルギー消費量,歩数量,活動時間数,歩行時間数,強度の強い運動時間数を算出し,その調査から運動習慣の関連する因子を抽出した。〔結果〕運動習慣に影響を与える促進因子は,日常の3 METs以下の身体活動時間,歩数量,意図的に実施した運動時間の3因子に関連が見られた。〔結語〕2型糖尿病患者が運動習慣を有することは,平地歩行などの低強度な運動を日常から行う機会により与えられ,2型糖尿病罹患者の合併症を併発しうる脂質因子に影響を及ぼすことが示唆された。
  • 浅川 育世, 佐藤 裕子, 臼田 滋
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 149-155
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)の活動制限の評価点について「活動と参加の基準(暫定案)」を使用し,検者間の信頼性を検討する。〔対象〕障害者支援施設に入所する脳血管障害者10名を対象とした。〔方法〕理学療法士2名が機能的自立度評価表(Functional Independence Measure:FIM)の評価項目を対応するICFの活動コードに分類した後,施設常勤看護師と非常勤理学療法士の2名がフローチャート式FIM質問紙および「活動と参加の基準(暫定案)」に示された採点基準を用い,対象者の活動制限についてそれぞれ採点し,各評価項目のweighted κを求めた。〔結果〕FIMの各項目のweighted κは0.44~1.00であり,ICFの各項目のweighted κは0.50~1.00であった。ともに70% 以上の項目で「substantial」以上の高い信頼性を得た。〔結語〕「活動と参加の基準(暫定案)」による採点基準を用いることで,ICFの活動制限の評価点は臨床においても十分活用できる可能性のあることが示唆された。
  • 中川 和昌, 金城 拓人, 半田  学, 猪股 伸晃, 萩原 絹代, 平井 百合子, 今野 敬貴
    原稿種別: 原 著
    2011 年 26 巻 1 号 p. 157-162
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕姿勢に着目した運動介入の効果を検討する。〔対象〕二つの介護予防特定高齢者施策事業の参加者(短期事業90名,長期事業25名)。〔方法〕介入前まで実施されていた運動に加えて,姿勢の観点から効果的と思われる運動を処方し,介入前後の測定結果を比較検討した。評価項目は体重,体脂肪率,握力,30秒椅子立ち上がりテスト,開眼片脚立位保持時間,Timed “Up and Go” Test,10 m最大歩行時間,何らかの疼痛を有していた人の割合とした。〔結果〕短期事業において片脚立位時間の有意な増加,何らかの疼痛を有している人の割合の有意な減少を認めた。長期事業群においても有意差は認められなかったものの,同様の傾向が得られた。〔結語〕姿勢に対するアプローチを加えることによって,疼痛軽減の効果が得られる可能性が示唆された。
症例研究
  • 安彦 鉄平, 島村 亮太, 安彦 陽子, 相馬 正之, 小川 大輔, 神谷 晃央, 岩田 一郎, 新藤 恵一郎
    原稿種別: 症例研究
    2011 年 26 巻 1 号 p. 163-167
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/31
    ジャーナル フリー
    〔目的〕ポリオ後遺症による下肢障害を合併した脳卒中片麻痺患者に対し,運動療法と装具療法により歩行能力が改善した一症例について報告する。〔対象〕脳梗塞を発症し,ポリオ後遺症による下肢障害と同側に片麻痺が生じた67歳の男性とした。入院時の歩行レベルは屋内歩行見守りであり,かつ反張膝と外反膝が著明なため二次的障害を予防する必要があった。〔治療方法と経過〕運動療法では,腹筋群と大殿筋を中心に約2ヶ月半エクササイズを実施した。さらに工夫を加えた靴べら式プラスチック短下肢装具を作成した。装具の特徴は,踵部の高さが調節可能,初期内転角・内側アーチ・内側ウェッジ,メタタルサルバーと足底部のウレタンフォーム,固定性の強力な足関節ベルトとした。〔結果〕退院時,T字杖で屋外歩行自立となった。退院後,歩行練習を中心に運動を継続した結果,退院3ヶ月後には身体機能,歩行能力はさらに向上した。〔結語〕ポリオ後遺症であることを考慮し,病前の歩容を生かし,二次的な障害を予防する運動療法と装具療法を行った結果,屋外歩行自立となった。
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