2011 年 26 巻 2 号 p. 197-201
〔目的〕背臥位,座位,立位での応答信号と声での応答運動による単純反応時間の測定における再現性を基に必要最小限の測定回数について検討した.〔対象〕理学療法学科に所属する学生(34名から36名)及び行政が主催した転倒予防のための体力測定と運動指導に参加した整形疾患,中枢性疾患の既往のない健常高齢者(24名から27名)とした.〔方法〕背臥位,端座位,立位での単純反応時間を各10回測定した.得られた結果より,級内相関係数(ICC(1,1))と対応のあるt検定を用いて,再現性が高くかつ10回の平均値(平均測定値)と差がない連続する測定回数を検討した.〔結果〕各体位において平均測定値と有意差を認めずICC(1,1)が0.9以上を示した最小の連続する測定回数は,若年者では,座位2-3回,立位1-2回,背臥位2-3回であった.また,同様に高齢者では,座位3-4回,立位は3-4回,背臥位2-3回であった.〔結語〕3体位での測定回数を統一するならば,若年群の測定回数は3回,高齢群では4回の測定回数が必要であることが示唆された.