2012 年 27 巻 2 号 p. 147-150
〔目的〕理学療法士を目指す学生の仮想的有能感が職業的アイデンティティ形成に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.〔対象〕学生177名を対象とした.〔方法〕質問紙法にて職業的アイデンティティと仮想的有能感を評価し,職業的アイデンティティの各項目における尺度が仮想的有能感の型によって異なるかどうかを分析した.〔結果〕職業的アイデンティティの「選択への自信」は仮想型が自尊型よりも有意に低いことが示された.「療法士観の確立」,「必要とされていることへの自負」はともに仮想型,萎縮型が自尊型よりも有意に低いことが示された.「社会貢献志向」は仮想型,全能型が自尊型よりも有意に低いことが示された.〔結語〕仮想型を示す学生には,課題達成の機会を通して,勤勉性の獲得を促し,職業的アイデンティティ形成に繋げるための教育的支援の必要性がある.