抄録
〔目的〕筋萎縮性側索硬化症患者に対する咳嗽運動が呼吸機能と自律神経系機能へ及ぼす効果を検証した.〔対象〕対象は,患者群としてレスパイト入院期間中のALS患者群6名,コントロール群として健常成人10名とした.〔方法〕12日間の低負荷咳嗽運動を施行し,呼吸機能と自律神経系機能を介入前後で比較した.〔結果〕患者群は,咳嗽運動によりPeak Cough Flow(PCF)が増加傾向を示し,下部胸郭拡張差が有意に拡大した.健常対照群は,PCFが増加し,下部ならびに上部胸郭拡張差に拡大を認めた.心副交感神経活動は,コントロール群と同様のパターンを呈す様になった.〔結語〕ALS患者への短期間の咳嗽運動は,学習効果により呼気筋を有効に使えるようになり,さらに自律神経系機能を改善し得る可能性が示唆された.