抄録
〔目的〕変形性膝関節症患者の跨ぎ動作の特性を知るため,片側膝関節伸展制限が跨ぎ動作に及ぼす影響を検討した.〔対象〕健常若年者11人とした.〔方法〕膝装具にて右膝関節最大伸展角度を-10°に制限した場合と制限しない場合の2条件下で,身長の10%の高さの障害物を非制限側下肢から跨ぐ動作を行わせた.3次元動作解析システム,4基の床反力計を用いて計測された動作を2条件間で比較した.〔結果〕膝関節制限時には,非制限時と比較し,遊脚側股関節,体幹屈曲角度,身体重心(COM)-足圧中心(COP)傾斜角,床反力進行方向成分が有意に増加し,立脚側足関節角度変化量が有意に減少した.〔結語〕片側膝関節伸展制限は,跨ぎ動作時の遊脚側下肢,立脚側下肢および体幹の運動に影響を及ぼし,転倒を引き起こす要因となることが示唆された.