2014 年 29 巻 3 号 p. 383-387
〔目的〕ヒトの骨格筋に対する静的ストレッチングにおけるリラクセーションの効果について検討した.〔対象〕 健常成人男性10名を用いた.〔方法〕足関節の背屈運動を等速性筋力評価訓練装置で制御し,下腿三頭筋の伸張を行い,ストレッチング前,ストレッチング中,ストレッチング後の心拍変動スペクトル解析を行った.〔結果〕ストレッチング後で心拍変動高周波数帯域成分(high frequency component: HF)の増加と心拍変動低周波帯域成分(low frequency component: LF)/HFの減衰,呼吸周期の低下を有意に認め,副交感神経活動の亢進と交感神経活動の減衰の効果が明らかとなった.評価により,ストレッチング開始直後に被験者に気持ち良さが得られたことが明らかとなった.〔結語〕下腿三頭筋への静的ストレッチングがリラクセーションを誘発することが示唆された.